組織変更そしきへんこう
株式会社が持分会社に、または持分会社が株式会社に、法人格を保ったまま会社の種類を変えることです。総株主または総社員の同意、債権者保護手続、設立登記と解散登記の同時申請、添付書面の違いで肢が作られます。
組織変更は、株式会社が合名会社・合資会社・合同会社のいずれかになること、または持分会社が株式会社になることです。会社法743条以下が定める、法人格の同一性を保ったまま会社の種類を変える手続です。組織変更計画を作り、株式会社なら総株主の同意、持分会社なら定款に別段の定めがない限り総社員の同意を得て、債権者保護手続を経て効力発生日に新しい種類の会社になります。登記は、変更後の会社についての設立登記と変更前の会社についての解散登記を同時に申請する形で、会社は消えていないのに設立と解散の登記をする点が独特です。肢で突かれるのは、添付書面がどちらの型のときに要るかです。
会社法 第743条(組織変更計画の作成)
会社は、組織変更をすることができる。この場合においては、組織変更計画を作成しなければならない。

総株主または総社員の同意と、全債権者への債権者保護手続が要ります
株式会社が組織変更をするときは、効力発生日の前日までに組織変更計画について総株主の同意を得ます。持分会社が組織変更をするときは総社員の同意で、定款に別段の定めがあればそれによります。どちらも全債権者が異議を述べられ、官報公告と知れている債権者への各別の催告をします。各別の催告を日刊新聞紙や電子公告で省けるのは、株式会社と合同会社だけです。合名会社と合資会社は省けず、「合名会社が組織変更をした場合において、債権者保護手続に係る公告を官報のほか定款の定めに従って時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙によってしたときは」各別の催告の書面を「添付することを要しない」という肢は誤りです。
効力発生日に種類が変わり、新株予約権は消滅します
組織変更をする株式会社は効力発生日に持分会社になり、株主はその日に持分会社の社員になります。株式会社の新株予約権は効力発生日に消滅し、新株予約権者に渡るのは計画で定めた金銭です。持分会社が株式会社になるときは、社員が株式会社の株主です。株式会社が現に株券を発行していれば株券提出公告を、新株予約権証券を発行していれば新株予約権証券提出公告をして、その書面を添付します。全部について証券を発行していないときに添付するのは、公告の代わりにその旨を証する書面です。効力発生日は組織変更をする会社が自分で変更でき、変更後の日を公告します。
持分会社から株式会社への組織変更には計上証明書が要ります
持分会社が株式会社になるときは、株式会社としての資本金の額が会社法と会社計算規則に従って計上されたことを証する書面を添付します。「合名会社が組織変更をした場合の組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。合資会社でも同じで、「必要はありません」と答える肢は誤りです。株式会社が合資会社になるときは、有限責任社員が既に履行した出資の価額を証する書面を添付し、「株式会社が合資会社となる組織変更をした場合は,組織変更による設立の登記の申請書には,有限責任社員が既に履行した出資の価額を証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
取締役の就任承諾書に印鑑証明書は要りません
商業登記規則61条が設立時取締役などの就任承諾書に印鑑証明書を求める規定は、合併と組織変更による設立を除いています。「合同会社が取締役会設置会社でない株式会社となる組織変更をした場合は、組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は誤りです。就任承諾書そのものは添付し、取締役が本人確認証明書を添付する扱いは別に残ります。組織変更後の株式会社の登記には、会社成立の年月日、持分会社の商号、組織変更をした旨とその年月日も登記します。
登記は同時申請で、無効の判決による登記は裁判所書記官が嘱託します
株式会社が組織変更をしたときは、株式会社についての解散登記と持分会社についての設立登記を同時に申請し、どちらかに却下事由があれば共に却下されます。解散登記の申請には添付書面の規定が適用されません。登録免許税は、株式会社または合同会社の設立なら資本金の額のうち変更直前の資本金に当たる部分が1000分の1.5、超える部分が1000分の7で最低3万円です。合名会社または合資会社の設立なら3万円、解散登記は3万円です。組織変更の無効の訴えを認容する判決が確定したときは、裁判所書記官が職権で登記を嘱託します。「当該組織変更を無効とする判決が確定したときは、当該合同会社は、組織変更後の会社についての解散の登記及び組織変更前の会社についての回復の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。
商業登記法 第77条前条の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 組織変更計画書
二 定款
三 会社法第七百七十九条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
四 組織変更をする株式会社が株券発行会社であるときは、第五十九条第一項第二号に掲げる書面
五 組織変更をする株式会社が新株予約権を発行しているときは、第五十九条第二項第二号に掲げる書面
六 法人が組織変更後の持分会社を代表する社員となるときは、次に掲げる書面
イ 当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の本店又は主たる事務所がある場合を除く。
ロ 当該社員の職務を行うべき者の選任に関する書面
ハ 当該社員の職務を行うべき者が就任を承諾したことを証する書面
七 法人が組織変更後の持分会社の社員(前号に規定する社員を除き、合同会社にあつては、業務を執行する社員に限る。)となるときは、同号イに掲げる書面。ただし、同号イただし書に規定する場合を除く。
八 株式会社が組織変更をして合資会社となるときは、有限責任社員が既に履行した出資の価額を証する書面
試験ではこう問われる
- 株式会社の組織変更に要る同意は何か(総株主の同意。持分会社は総社員の同意)
- 合名会社の組織変更で各別の催告を省けるか(省けない。省けるのは合同会社)
- 持分会社から株式会社への組織変更に計上証明書は要るか(要る)
- 組織変更後の株式会社の取締役の就任承諾書に印鑑証明書は要るか(要らない)
- 組織変更無効の判決が確定したとき誰が登記するか(裁判所書記官の嘱託)
この用語が問われた肢
合名会社が組織変更をした場合において、債権者保護手続に係る公告を官報のほか定款の定めに従って時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙によってしたときは、組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、知れている債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付することを要しない。
合名会社が組織変更をした場合の組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
【問】合資会社が組織変更をした場合に、組織変更による株式会社の設立の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付する必要はありますか。 必要はありません。
株式会社が合資会社となる組織変更をした場合は、組織変更による設立の登記の申請書には、有限責任社員が既に履行した出資の価額を証する書面を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。