持分会社もちぶんがいしゃ
合名会社・合資会社・合同会社を総称する、社員が出資して持分を持ち、原則として社員自身が業務を執行する会社です。株式会社との違いと三つの種類の違いが、登記事項と添付書面の形で肢になります。
持分会社は、合名会社・合資会社・合同会社の総称で、社員になろうとする者が定款を作って設立し、社員が出資の持分を持つ会社です。株主と取締役が分かれる株式会社と違い、社員は定款に別段の定めがない限り自ら業務を執行し、定款の変更も定款に別段の定めがなければ総社員の同意で行います。社員の責任が無限か有限かで三つの種類に分かれ、登記事項もそれぞれの条文で列挙されています。登記の添付書面は総社員の同意や社員の一致を証する書面が中心で、持分会社自身の決定について株主総会議事録や株主リストが出てくることはありません。肢で突かれるのは、株式会社の仕組みを持分会社に持ち込むすり替えと、三種類の間の違いです。
会社法 第575条(定款の作成)
合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

定款は社員全員が署名か記名押印して作り、認証は要りません
持分会社を設立するには、社員になろうとする者が定款を作成し、全員が署名または記名押印します。株式会社と違って公証人の認証は要らず、定款の変更も定款に別段の定めがなければ総社員の同意だけで効力を生じます。電磁的記録で作った定款はその電磁的記録を添付し、印刷した書面で代えることはできません。「当該電磁的記録の内容を印刷した書面に「本書面は電子定款に係る電磁的記録に記録された情報と同一である」旨記載して押印したときは,電磁的記録をもって作成された定款に代えて当該書面を添付して,設立の登記を申請することができる」という肢は誤りです。定款の絶対的記載事項は目的、商号、本店の所在地、社員の氏名または名称と住所、社員の責任の別、社員の出資の目的とその価額または評価の標準です。
業務は社員の過半数で決め、支配人の選任は社員の過半数です
社員が二人以上いるときは、持分会社の業務は定款に別段の定めがない限り社員の過半数で決定します。業務を執行する社員を定款で定めたときは、その業務執行社員の過半数で決めます。「業務執行社員が 2 人以上ある場合には、合名会社における支店の設置の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。支配人の選任と解任は例外で、業務執行社員を定めていても定款に別段の定めがない限り社員の過半数で決めるので、「合資会社における支配人の選任の登記の申請書には,業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。登記すべき事項について総社員の同意や社員の一致を要するときは、その同意や一致を証する書面を添付します。
合名・合資会社の代表社員は代表しない社員がいるときだけ登記します
合名会社と合資会社では業務執行社員が各自会社を代表するので、代表社員の氏名または名称は会社を代表しない社員がいる場合に限って登記事項になります。「合名会社の設立の登記を申請する場合において,当該合名会社の社員が 1 名であるときは,代表社員の氏名又は名称は登記すべき事項ではない」という肢は正しい肢です。合同会社だけは代表社員の氏名または名称と住所が常に登記事項で、業務執行社員の氏名も登記します。合名会社と合資会社では社員全員の氏名または名称と住所を登記し、業務執行社員かどうかは登記しません。
株式会社だけの制度は持分会社に持ち込めません
持分会社には株主総会や取締役会がなく、計算書類の公告義務もありません。「持分会社は貸借対照表を公告する義務はありませんが、貸借対照表の電磁的開示制度を採用し、そのウェブページのアドレスの設定の登記の申請をすることができます」という回答は誤りで、貸借対照表の電磁的開示の措置は公告義務のある株式会社だけの制度です。株式交付の親会社になれるのも株式会社だけで、合同会社を株式交付親会社とする計画書を添付して株式交付の登記を申請することはできません。持分会社自身の決定について株主リストや本人確認証明書が要ることはなく、添付書面は商業登記法93条以下の持分会社の規定で決まります。株式会社から持分会社への組織変更のように株式会社の決議が関わる登記では、その株主総会議事録と株主リストを添付します。
商業登記法 第93条(添付書面の通則)
登記すべき事項につき総社員の同意又はある社員若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 持分会社の定款に公証人の認証は要るか(要らない)
- 支店の設置と支配人の選任はそれぞれ誰が決めるか(支店は業務執行社員の過半数、支配人は社員の過半数)
- 社員が一人の合名会社で代表社員は登記事項か(登記事項でない。合同会社の代表社員は常に登記する)
- 持分会社は貸借対照表の電磁的開示のアドレスを登記できるか(できない)
この用語が問われた肢
業務執行社員が 2 人以上ある場合には、合名会社における支店の設置の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
業務執行社員が 2 人以上ある場合には、合資会社における支配人の選任の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
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