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新株予約権の消却・消滅しんかぶよやくけんのしょうきゃくしょうめつ

商業登記 第8章 新株予約権と社債 過去問で13肢

会社が自己新株予約権を消却すること、および新株予約権者が行使できなくなって新株予約権が消滅することと、それぞれの変更の登記です。消却と消滅と取得を区別し、添付書面の要否で肢が作られます。

新株予約権の消却は、会社が保有する自己新株予約権を消して無くすことで、会社法276条が内容と数を定めて行うと規定します。新株予約権の消滅は、行使期間の満了、行使条件の不成就、放棄などで新株予約権者が行使できなくなり、287条によって当然に消えることです。どちらも新株予約権の数が減るので変更の登記をしますが、消却は会社の決定が要り、消滅は決定も証明も要りません。肢は、取得条項による取得を消滅と混同させる形や、添付書面を足す形で作られます。

会社法 第276条

株式会社は、自己新株予約権を消却することができる。この場合においては、消却する自己新株予約権の内容及び数を定めなければならない。
取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

代表者が手元の札を破って屑かごに入れ、隣では砂時計が落ちきって投資家の札が薄く消えかけ、職員が帳簿の行に線を引く
消却は自己新株予約権を会社が決めて消すこと、消滅は行使できなくなって当然に消えることです
消却は自己新株予約権のみ消滅の登記に添付書面不要取得条項の取得は消滅ではない消滅会社の新株予約権は効力発生日に消滅

消却できるのは自己新株予約権だけで、決定は取締役会か取締役です

会社が消却できるのは、取得条項による取得や買取りで自分のものになった自己新株予約権に限られます。消却には消却する新株予約権の内容と数の決定が要り、取締役会設置会社では取締役会の決議によります。取締役会設置会社でない会社では、業務執行の決定として取締役の過半数の一致で決め、株主総会の決議は要りません。「取締役会設置会社でない会社が自己新株予約権の消却を行う場合には、新株予約権の消却による変更の登記の申請書には、当該自己新株予約権の消却の決議をした株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りです。添付するのは取締役会議事録か、取締役の過半数の一致があったことを証する書面です。

行使できなくなった新株予約権は消滅し、添付書面は要りません

行使期間が満了したとき、行使の条件が成就しないことが確定したとき、新株予約権者が放棄したときは、新株予約権は287条によって消滅します。消滅は法律上当然に生じるので、登記の申請書に消滅の事実を証する書面を添付する規定はなく、委任状以外の添付書面は要りません。「当該新株予約権の全部を行使することができなくなったときの当該新株予約権の消滅による変更の登記の申請書には,当該新株予約権が消滅したことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。同じ場面で「当該条件が成就しないことを証する書面を添付しなければならない」とする肢も誤りです。「新株予約権の放棄による変更の登記の申請書には,当該登記を代理人により申請する場合におけるその権限を証する書面を除き,他の書面を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。

取得条項による取得は消滅ではなく、自己新株予約権になるだけです

取得条項付新株予約権を会社が取得すると、新株予約権は消えずに会社の自己新株予約権になります。登記簿に記録された新株予約権の数は変わらないので、取得だけでは登記は要りません。「取得条項付新株予約権を発行している会社が,当該新株予約権を取得した場合は,取得した新株予約権の消滅による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。取得した自己新株予約権を消却したときに初めて、消却による変更の登記をします。自己新株予約権を無償割当てで株主に交付しても数は動かず、「当該株式会社が自己新株予約権のみを交付したときは、新株予約権の無償割当てによる変更の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りです。

組織再編で消滅する会社の新株予約権は効力発生日に消滅します

吸収合併消滅株式会社の新株予約権は効力発生日に消滅し、組織変更をする株式会社の新株予約権も同じです。合併契約で存続会社の新株予約権を交付する定めがあれば、新株予約権者は効力発生日に存続会社の新株予約権者になります。消滅会社が新株予約権証券を発行していたときは、証券の提出に関する公告をしたことを証する書面を存続会社の申請書に添付します。「吸収合併消滅株式会社が新株予約権について新株予約権証券を発行している場合には、吸収合併存続会社についての吸収合併による変更の登記の申請書には、当該吸収合併消滅株式会社に対し当該新株予約権証券を提出しなければならない旨を公告したことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

会社法 第287条

第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。

試験ではこう問われる

  1. 消却できる新株予約権はどれか(自己新株予約権だけ)
  2. 取締役会設置会社でない会社の消却の添付書面は何か(取締役の過半数の一致を証する書面。株主総会議事録ではない)
  3. 行使条件の不成就による消滅の登記に添付書面は要るか(要らない)
  4. 取得条項による取得で消滅の登記をするか(しない。自己新株予約権になるだけ)
  5. 消滅会社の新株予約権証券の提出公告の証明はどの申請書に添付するか(存続会社の吸収合併による変更の登記)

この用語が問われた肢

R7 問31 イ誤り

取締役会設置会社でない会社が自己新株予約権の消却を行う場合には、新株予約権の消却による変更の登記の申請書には、当該自己新株予約権の消却の決議をした株主総会の議事録を添付しなければならない。

R5 問30 ア誤り

新株予約権の行使の条件を定めた場合において、当該条件が成就しないことが確定し、当該新株予約権の全部を行使することができなくなったときの当該新株予約権の消滅による変更の登記の申請書には、当該条件が成就しないことが確定したことを証する書面を添付しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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