株券発行会社と株券を発行する旨の定めかぶけんはっこうがいしゃ
株式に係る株券を発行する旨の定款の定めがある会社で、その旨は登記事項です。定めの廃止の手続と添付書面、株券提出公告が要る場面が肢で突かれます。
株券発行会社は、その株式の全部について株券を発行する旨を定款で定めている株式会社です。会社法214条が定め、種類株式発行会社では全部の種類の株式について定めなければなりません。株券発行会社である旨は登記事項で、定めの設定も廃止も変更の登記を申請します。株券発行会社は株式の併合や譲渡制限の設定など株券を無効にする行為の前に株券提出の公告をするので、登記の添付書面がそれだけ増えます。
会社法 第214条(株券を発行する旨の定款の定め)
株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。

非公開会社は株主の請求があるまで株券を出さなくてよいです
株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく株券を発行しなければなりません。株式の併合や分割をしたときも効力発生日以後遅滞なく株券を発行します。公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは株券を発行しないことができ、株式の全部について株券を発行していない状態が珍しくありません。株券を現に発行しているかどうかで、後の手続と添付書面が変わります。
定めの廃止は公告と通知が要り、全部不発行なら通知で足ります
株券を発行する旨の定款の定めを廃止するときは、効力発生日の2週間前までに、廃止する旨と効力発生日とその日に株券が無効になる旨を公告し、株主と登録株式質権者に各別に通知します。株式の全部について株券を発行していない会社は、2週間前までに通知すれば足り、通知は公告に代えることができます。申請書に添付するのは公告をしたことを証する書面か、株式の全部について株券を発行していないことを証する書面で、通知をしたことを証する書面は求められません。「株式の全部について現に株券を発行していない株券発行会社が,株主総会において,株券を発行する旨の定款の定めを廃止する決議をした場合は,当該定款の定めの廃止による変更の登記の申請書には,株主及び登録株式質権者に対し,当該定款の定めを廃止する旨及びその効力が生ずる日並びに当該日において当該株式会社の株券は無効となる旨を通知したことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。
株券提出公告は併合・譲渡制限の設定・取得・組織再編の前に要ります
株券発行会社は、譲渡制限の定めの設定、株式の併合、全部取得条項付種類株式の取得、取得条項付株式の取得をするとき、効力発生日の1か月前までに株券提出の公告と通知をします。組織変更、消滅会社となる合併、株式交換、株式移転の前も同じです。株式の全部について株券を発行していなければ要りません。登記の申請書には公告をしたことを証する書面か全部不発行を証する書面を添付し、「株券発行会社がする株式の併合による変更の登記の申請書には,株券の提出に関する公告をしたことを証する書面又は当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。株式交換完全子会社が現に株券を発行しているときは、完全親会社の申請書に子会社の公告の書面を添付し、その旨の肢は正しい肢です。
完全子会社でも現に株券を発行していれば公告の書面は省けません
消滅会社が現に株券を発行している株券発行会社なら、存続会社が消滅会社の株式を全部持っていても、株券提出公告をしたことを証する書面の添付は省けません。「B社が現に株券を発行している株券発行会社である場合において,B社がA社の完全子会社であるときは,A社の吸収合併による変更の登記の申請書には,B社が株券の提出に関する公告をしたことを証する書面を添付することを要しない」という肢は誤りです。公告の要否は株券が現に発行されているかで決まり、株主が誰かでは決まりません。譲渡制限の定めにただし書を削る変更を現に株券を発行している会社がするときも、同じ理由で公告の書面を省けません。
商業登記法 第63条(株券を発行する旨の定款の定めの廃止による変更の登記)
株券を発行する旨の定款の定めの廃止による変更の登記の申請書には、会社法第二百十八条第一項の規定による公告をしたことを証する書面又は株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 公開会社でない株券発行会社は株券を発行しなくてよいか(株主の請求があるまで発行しないことができる)
- 全部不発行の会社が定めを廃止するときの手続は何か(2週間前までの通知。公告で代えられる)
- 定めの廃止の登記に通知をしたことを証する書面は要るか(要らない。公告書面か全部不発行の証明)
- 完全子会社が現に株券を発行しているとき合併の登記に公告の書面は要るか(要る)
この用語が問われた肢
株式交換をする場合において,株式交換完全子会社が現に株券を発行している株券発行会社であるときは,株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記の申請書には,株式交換完全子会社が株券の提出に関する公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
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