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新株予約権の発行(募集新株予約権)しんかぶよやくけんのはっこう

商業登記 第8章 新株予約権と社債 過去問で18肢

株式会社が、行使すると株式の交付を受けられる権利である新株予約権を、引受人を募集して割り当てる手続です。決定機関・発行日と払込みの先後・添付書面・登録免許税のどれかを入れ替えて肢が作られます。

新株予約権の発行は、株式会社が、行使によって株式の交付を受けられる権利である新株予約権を引き受ける者を募集し、割当日に割り当てる手続です。募集株式の発行と同じく募集事項の決定から始まりますが、出資は行使のときに受けるので、発行の段階では払込みがないこともあります。割当日に新株予約権者が生まれ、新株予約権の数や内容が登記事項になるので、本店所在地で変更の登記を申請します。肢で突かれるのは、誰が決めるか、発行日はいつか、何を添付するかの三点です。

会社法 第238条

(募集事項の決定)
株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権(当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権をいう。以下この章において同じ。)について次に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)を定めなければならない。
一 募集新株予約権の内容及び数
二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
三 前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額(募集新株予約権一個と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)又はその算定方法
四 募集新株予約権を割り当てる日(以下この節において「割当日」という。)
五 募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めるときは、その期日
六 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、第六百七十六条各号に掲げる事項
七 前号に規定する場合において、同号の新株予約権付社債に付された募集新株予約権についての第百十八条第一項、第百七十九条第二項、第七百七十七条第一項、第七百八十七条第一項又は第八百八条第一項の規定による請求の方法につき別段の定めをするときは、その定め
募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
一 第一項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
二 第一項第三号に規定する場合において、同号の払込金額が当該者に特に有利な金額であるとき。
種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を目的とする募集新株予約権を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

会社の代表者が投資家に株券の絵の付いた札の束を手渡し、壁のカレンダーの一日に印が付き、奥で登記所の職員が帳簿に書き込んでいる
募集新株予約権は割当日に発行され、割当日から2週間以内に変更の登記を申請します
非公開は株主総会特別決議・公開は取締役会発行日は割当日払込証明は払込期日が割当日より前のときだけ登録免許税9万円

募集事項は株主総会の特別決議で定め、公開会社は取締役会で定めます

募集事項は募集新株予約権の内容と数、払込みを要しない旨または払込金額かその算定方法、割当日、払込期日を定めるときはその期日です。公開会社でない会社では株主総会の特別決議で定め、公開会社では取締役会の決議で定めます。株主総会は、内容と数の上限、払込不要の旨または払込金額の下限を定めて、決定を取締役または取締役会に委任できます。委任の決議が効力を持つのは、割当日が決議の日から1年以内の募集だけです。公開会社が取締役会で募集事項を定めたときは、金融商品取引法の届出をした場合などを除き、割当日の2週間前までに株主へ通知または公告をします。

株主割当てと譲渡制限株式を目的とする場合は決定機関が変わります

株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える募集では、募集事項とともにその旨と申込期日を定めます。決定機関は、取締役会設置会社でない会社で定款の定めがあれば取締役の決定、取締役会の決議による旨の定款の定めがあれば取締役会、公開会社は取締役会、それ以外は株主総会です。種類株式発行会社で目的である株式の全部または一部が譲渡制限株式のときは、定款で不要と定めていない限り、その種類の種類株主総会の決議がなければ募集事項の決定は効力を生じません。この種類株主総会の規律は、株主に割当てを受ける権利を与える募集には適用されません。申込者への割当ても、目的が譲渡制限株式か譲渡制限新株予約権なら、定款に別段の定めがない限り株主総会または取締役会の決議で決めます。

発行日は割当日で、払込みは行使期間の初日の前日までで足ります

申込者は割当日に新株予約権者になり、新株予約権の発行年月日も割当日です。払込金額を定めたときの払込みは、行使期間の初日の前日までにすれば足り、払込期日を定めたときはその期日までです。払込みをしない新株予約権者は、その新株予約権を行使できなくなり、行使できなくなった新株予約権は消滅します。それでも新株予約権そのものは割当日に発行されており、発行日が払込みの日にずれることはありません。払込期日が割当日より後の日でも発行日は動かず、「当該払込みの期日が割当日より後の日であるときは、当該払込みの期日を登記すべき事項である新株予約権の発行年月日として、募集新株予約権の発行による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。

添付書面は申込みを証する書面と、割当日前の払込みの証明です

商業登記法65条が定める固有の添付書面は、募集新株予約権の引受けの申込みまたは総数引受契約を証する書面と、払込期日が割当日より前の日のときに限る払込みがあったことを証する書面です。払込期日が割当日より後なら、登記の時点で払込みが済んでいるとは限らないので証明は要りません。「当該期日が当該募集新株予約権の割当日より前の日であるときに限り、当該払込みがあったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。募集事項を定めた株主総会議事録と株主リスト、または取締役会議事録は添付書面の通則で添付し、委任を受けた発行なら委任の決議の議事録も重ねます。

登記期間は割当日から2週間で、登録免許税は9万円です

新株予約権の数と内容は登記事項なので、割当日から2週間以内に本店所在地で変更の登記を申請します。登録免許税は、新株予約権の発行による変更の登記として申請1件につき9万円で、資本金の額を課税標準にはしません。設立の段階では新株予約権を発行する手続がなく、「株式会社の設立が募集設立である場合の設立の登記において、商業登記簿の新株予約権区に記録される事項を登記することはできない」という肢は正しい肢です。発行した新株予約権が行使されて新株を発行すると、今度は発行済株式の総数と資本金の額の変更として別の登記になります。

商業登記法 第65条

(新株予約権の発行による変更の登記)
新株予約権の発行による変更の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の書面を添付しなければならない。
一 募集新株予約権(会社法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権をいう。以下この条において同じ。)の引受けの申込み又は同法第二百四十四条第一項の契約を証する書面
二 募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めたとき(当該期日が会社法第二百三十八条第一項第四号に規定する割当日より前の日であるときに限る。)は、同法第二百四十六条第一項の規定による払込み(同条第二項の規定による金銭以外の財産の給付又は会社に対する債権をもつてする相殺を含む。)があつたことを証する書面
三 会社法第二百四十四条の二第五項の規定による募集新株予約権の引受けに反対する旨の通知があつた場合において、同項の規定により株主総会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないときは、当該場合に該当しないことを証する書面

試験ではこう問われる

  1. 公開会社の募集事項は誰が決めるか(取締役会。有利発行なら株主総会の特別決議)
  2. 委任の決議の効力はいつまでか(割当日が決議の日から1年以内の募集)
  3. 新株予約権の発行年月日はいつか(割当日。払込期日が後でも動かない)
  4. 払込みを証する書面はいつ添付するか(払込期日が割当日より前のときだけ)
  5. 設立の登記で新株予約権を登記できるか(できない)

この用語が問われた肢

R7 問31 ウ誤り

募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めた場合において、当該払込みの期日が割当日より後の日であるときは、当該払込みの期日を登記すべき事項である新株予約権の発行年月日として、募集新株予約権の発行による変更の登記を申請しなければならない。

R7 問29 ア正しい

株式会社の設立が募集設立である場合の設立の登記において、商業登記簿の新株予約権区に記録される事項を登記することはできない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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