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破産手続開始と登記はさんてつづきかいしととうき

商業登記 第11章 解散・清算・継続 過去問で5肢

会社の破産手続開始の決定が商業登記にどう現れるか、役員や社員の破産が登記にどう影響するかの論点です。会社の破産は嘱託で登記され、取締役の破産は資格喪失ではなく退任で登記します。

破産手続開始と登記は、会社自身が破産手続開始の決定を受けたときの登記と、取締役や社員が破産したときの登記を分けて考える論点です。会社の破産手続開始の決定は会社法471条5号の解散事由ですが、解散の登記を会社が申請することはなく、破産法の規定により裁判所書記官が破産手続開始の登記を嘱託します。取締役の破産は委任の終了事由ではあっても取締役の欠格事由ではないので、退任の登記の原因は資格喪失ではありません。肢で突かれるのは、嘱託と申請の区別、退任の登記原因、清算中の持分会社での社員の破産の扱い、破産終了後の残余財産の処理です。

会社法 第471条

(解散の事由)
株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判

裁判所の職員が破産管財人に会社の鍵を渡し、別の職員が登記所の窓口へ嘱託の封筒を運ぶ。横で取締役が肩を落として机を離れる
会社の破産手続開始の登記は嘱託で、取締役の破産は資格喪失ではなく退任で登記します
解散の登記は申請しない取締役の破産は「退任」清算中の持分会社は破産退社なし破産終了後の清算人の登記は申請

会社の破産手続開始の登記は嘱託で、解散の登記は申請しません

株式会社や持分会社が破産手続開始の決定を受けると会社は解散しますが、会社が解散の登記を申請することはありません。破産法に基づき裁判所書記官が本店の所在地の登記所に破産手続開始の登記を嘱託し、登記記録の会社状態区に記録される仕組みです。破産手続開始による解散では取締役の登記に抹消の記号は記録されず、商業登記規則72条の職権抹消の対象からも外れています。清算株式会社が清算中に破産手続開始の決定を受けたときは、清算人が破産管財人に事務を引き継いだ時に任務を終える定めです。

破産管財人の登記は役員区にされ、終結で登記記録が閉じます

破産管財人に関する登記と、破産法の保全管理命令などの処分に関する登記は、社員区または役員区にします。破産手続開始の登記をしたときは保全管理に関する登記に、開始決定の取消しの登記をしたときは開始の登記と管財人の登記に、それぞれ抹消の記号を記録します。破産手続の終結の登記と、費用不足による同時廃止や異時廃止の登記をしたときは登記記録の閉鎖です。債権者の同意による廃止の登記では閉鎖せず、破産管財人の登記に抹消の記号を記録するにとどまります。破産手続開始の登記がされた会社でも登記記録は閉鎖されていないので、開始決定当時の代表者について「交付を受けることができません」とする代表者事項証明書の回答は誤りです。

取締役の破産は資格喪失ではなく、委任の終了による退任で登記します

取締役の欠格事由を定める会社法331条1項に破産者は含まれていないので、取締役が破産手続開始の決定を受けても資格を失いません。ただし会社と取締役の関係は委任で、委任は受任者の破産で終了するので、取締役は退任します。登記原因は「退任」で、「取締役につき破産手続開始決定があった場合には,当該取締役について「資格喪失」を原因とする退任の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。「登記原因を「資格喪失」として、当該取締役の退任の登記を申請しなければならない」という肢も誤りです。退任を証する書面として破産手続開始の決定書の謄本などを添付し、退任後に同じ人を取締役に選任し直すこともできます。

清算中の持分会社では社員の破産による退社は起きません

持分会社の社員は破産手続開始の決定で法定退社しますが、定款で破産によっては退社しない旨を定めることができ、清算持分会社には破産による退社の規定が適用されません。「清算中の合名会社において,社員の一人について破産手続開始の決定があった場合には,当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。清算中に社員が減ると清算事務や残余財産の分配に支障が出るので、死亡と合併による退社を除いて退社事由が止まる仕組みです。活動中の合名会社や合資会社の社員が破産して退社したときは退社の変更の登記を申請し、合同会社では業務執行社員でない社員の退社は登記事項の変更になりません。

破産手続の終了後の残余財産は申請で清算人を登記します

破産手続開始の決定で解散した会社は、破産手続が終了するまでは清算の規定によらず、終了後に残余財産があれば清算株式会社として清算します。清算人になる者がいないので裁判所が利害関係人の申立てで清算人を選任し、その清算人が清算人の登記を申請します。「破産手続終了後の会社につき,残余財産があることが判明した場合において,裁判所が清算人を選任したときは,清算人の選任の登記は,裁判所書記官の嘱託によって行われる」という肢は誤りです。嘱託で登記されるのは破産手続そのものの登記で、その後の清算人の登記は通常どおり申請によります。

商業登記規則 第117条

(破産に関する登記)
次に掲げる登記は、社員区又は役員区にしなければならない。
一 破産管財人に関する登記
二 破産法第九十一条第一項の規定による処分に関する登記
登記官は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定める登記を抹消する記号を記録しなければならない。
一 破産手続開始の登記をしたとき 前項第二号に掲げる登記
二 破産手続開始決定取消しの登記をしたとき 破産手続開始の登記及び前項第一号に掲げる登記
三 破産法第二百十八条第一項の規定による破産手続の廃止の登記をしたとき 前項第一号に掲げる登記
四 破産法第九十一条第一項の規定による処分の取消しの登記をしたとき 前項第二号に掲げる登記
五 民事再生法第十一条第五項において準用する同条第一項の規定により再生計画認可の登記をしたとき 前項第二号に掲げる登記
六 会社更生法第二百五十八条第七項において準用する同条第一項の規定により更生計画認可の登記をしたとき 前項第二号に掲げる登記
登記官は、次に掲げる場合には、登記記録を閉鎖しなければならない。
一 破産手続の終結の登記をしたとき。
二 破産法第二百十六条第一項又は第二百十七条第一項の規定による破産手続の廃止の登記をしたとき。

試験ではこう問われる

  1. 会社の破産手続開始の決定で解散の登記を申請するか(しない。裁判所書記官が破産手続開始の登記を嘱託する)
  2. 取締役が破産したときの退任の登記原因は何か(退任。資格喪失ではない)
  3. 清算中の合名会社の社員が破産したら退社の登記は要るか(要らない。清算中は破産による退社の規定が適用されない)
  4. 破産手続終了後に残余財産が見つかったときの清算人の登記は嘱託か申請か(申請)
  5. 破産手続開始の登記がされた会社の代表者事項証明書は交付されるか(される)

この用語が問われた肢

R2 問28 イ誤り

【問】では,破産手続開始の登記がされた会社の破産手続開始の決定当時の代表者に係る代表者事項証明書の交付を請求した場合については,どうですか。 交付を受けることができません。

R8 問31 エ誤り

取締役が破産手続開始の決定を受けた場合には、登記原因を「資格喪失」として、当該取締役の退任の登記を申請しなければならない。

R2 問34 ア誤り

清算中の合名会社において,社員の一人について破産手続開始の決定があった場合には,当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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