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持分会社の種類の変更もちぶんがいしゃのしゅるいのへんこう

商業登記 第12章 持分会社 過去問で3肢

合名・合資・合同の間で、社員の責任の別に関する定款の変更によって会社の種類が変わることです。登記は変更後の会社の設立と変更前の会社の解散を同時に申請し、解散側に添付書面が要らないことが肢で突かれます。

持分会社の種類の変更は、合名会社・合資会社・合同会社の間で、社員の責任の別についての定款の変更により会社の種類が変わることです。会社法638条が定款変更による変更を、639条が合資会社の社員の退社によるみなし変更を定めています。組織変更と同じく法人格は変わらず、組織変更と違って債権者保護手続は要りませんが、登記は変更後の会社の設立の登記と変更前の会社の解散の登記を同時に申請する形をとります。肢で突かれるのは、どちらの申請書に何を添付するか、みなし変更が起きる場面、合同会社になるときの出資の履行です。

会社法 第638条

(定款の変更による持分会社の種類の変更)
合名会社は、次の各号に掲げる定款の変更をすることにより、当該各号に定める種類の持分会社となる。
一 有限責任社員を加入させる定款の変更 合資会社
二 その社員の一部を有限責任社員とする定款の変更 合資会社
三 その社員の全部を有限責任社員とする定款の変更 合同会社
合資会社は、次の各号に掲げる定款の変更をすることにより、当該各号に定める種類の持分会社となる。
一 その社員の全部を無限責任社員とする定款の変更 合名会社
二 その社員の全部を有限責任社員とする定款の変更 合同会社
合同会社は、次の各号に掲げる定款の変更をすることにより、当該各号に定める種類の持分会社となる。
一 その社員の全部を無限責任社員とする定款の変更 合名会社
二 無限責任社員を加入させる定款の変更 合資会社
三 その社員の一部を無限責任社員とする定款の変更 合資会社

定款の書面を出資者たちが書き換え、建物の看板を職員が掛け替える。古い帳簿を閉じて新しい帳簿を開く
持分会社の種類の変更は定款の変更で、変更後の会社の設立と変更前の会社の解散を同時に申請します
組織変更ではない、債権者保護なし合同会社へは出資完了日に効力解散側に添付書面なし合資会社のみなし変更

定款の変更で種類が変わり、組織変更ではありません

合名会社は有限責任社員を加入させるか社員の一部を有限責任社員とすれば合資会社に、全部を有限責任社員とすれば合同会社になります。合資会社は全部を無限責任社員とすれば合名会社に、全部を有限責任社員とすれば合同会社になります。合同会社は全部を無限責任社員とすれば合名会社に、無限責任社員を加入させるか一部を無限責任社員とすれば合資会社になります。株式会社との間の移動は組織変更で、種類の変更とは手続も登記も別です。種類の変更は定款の変更なので定款に別段の定めがなければ総社員の同意で決め、債権者保護手続はありません。

合同会社になるときは出資が未履行なら履行の完了日に効力が生じます

合名会社や合資会社が合同会社になる定款の変更は、社員が合同会社に対する出資を全部履行していなければ払込みと給付が完了した日に効力を生じ、全部履行済みなら定款変更の時に効力を生じます。合同会社の社員は有限責任なので、出資の未履行分を残したまま有限責任にはなれないからです。無限責任社員の退社で合同会社とみなされたときは、みなされた日から1か月以内に出資を完了しなければならず、その間に合名会社や合資会社となる定款の変更をすれば免れる仕組みです。定款の変更で合同会社になったときの設立の登記には、出資の払込みと給付が完了したことを証する書面を添付しますが、無限責任社員の退社によるみなし変更の場合はこの書面は要りません。

登記は変更後の会社の設立と変更前の会社の解散を同時に申請します

種類の変更の登記は、変更後の種類の会社についての設立の登記と、変更前の種類の会社についての解散の登記を同時に申請し、どちらかに却下事由があれば両方が却下されます。設立の登記には会社成立の年月日、変更前の商号、種類を変更した旨とその年月日も登記します。解散の登記の申請書には添付書面の規定が適用されず、何も添付しません。「合名会社の解散の登記の申請書には,当該定款の変更に係る総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。添付書面は設立の登記の側にまとめ、定款と、合資会社なら有限責任社員が既に履行した出資の価額を証する書面、加入があればその事実を証する書面です。

合資会社の社員の一方が全員退社するとみなし変更が起きます

合資会社で有限責任社員が全員退社して無限責任社員だけになれば、合名会社となる定款の変更をしたものとみなされます。無限責任社員が全員退社して有限責任社員だけになれば、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされます。「当該合資会社については解散の登記を,当該合資会社から種類を変更した合同会社については設立の登記を,それぞれ申請しなければならない」という肢は正しい肢です。退社と同時に同じ責任の社員が加入すれば一方がいなくなる瞬間がないので、みなし変更は起きません。「合資会社の解散の登記及び合名会社の設立の登記をした後でなければ,新たな有限責任社員の加入による変更の登記の申請をすることはできない」という肢は誤りです。

商業登記法 第104条

(持分会社の種類の変更の登記)
合名会社が会社法第六百三十八条第一項の規定により合資会社又は合同会社となつた場合の合資会社又は合同会社についてする登記においては、会社成立の年月日、合名会社の商号並びに持分会社の種類を変更した旨及びその年月日をも登記しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 持分会社の種類の変更は組織変更か(組織変更ではなく定款の変更。債権者保護手続はない)
  2. 合名会社が合同会社になる定款変更の効力はいつ生じるか(出資が未履行なら払込みと給付の完了日。履行済みなら定款変更の時)
  3. 種類変更の解散の登記に総社員の同意書は要るか(要らない。添付書面は設立側)
  4. 合資会社の無限責任社員が全員退社したらどうなるか(合同会社となる定款変更をしたものとみなされる)
  5. 退社と同時に同じ責任の社員が加入したときも解散と設立の登記が要るか(要らない)

この用語が問われた肢

R3 問33 イ誤り

合名会社が総社員の同意によりその社員の一部を有限責任社員とする定款の変更をした場合において,種類変更による合資会社の設立の登記及び合名会社の解散の登記を申請するときは,合名会社の解散の登記の申請書には,当該定款の変更に係る総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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