株主総会議事録かぶぬしそうかいぎじろく
株主総会の議事について法務省令の定めに従って作成する記録で、株主総会の決議を要する登記事項の添付書面です。決議機関を取り違える肢と、議事録の記載で他の書面を省けるかを問う肢が作られます。
株主総会議事録は、会社法318条1項により株主総会の議事について作成する記録で、登記すべき事項につき株主総会の決議を要するときは申請書に添付します。商業登記法46条2項が添付の通則を置き、会社法319条1項で決議があったものとみなされたときは、議事録に代えてその場合に該当することを証する書面を添付します。議事録の記載からは決議の内容のほか、退任の時期や定款の定めが読み取れることがあり、他の書面を省けるかどうかの分かれ目になります。肢で突かれるのは、決議機関のすり替えと、議事録で足りるかどうかです。
会社法 第318条第1項株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

株主総会の決議を要する登記事項には議事録を添付します
商業登記法46条2項は、登記すべき事項につき株主総会や種類株主総会の決議を要するときは申請書にその議事録を添付すると定めます。議事録は会社法318条1項により法務省令で定める事項を記載して作成し、株主総会の日から10年間本店に備え置きます。定款変更や役員の選任のように株主総会の決議事項である登記事項は、ほぼすべてこの議事録が添付書面になります。令和3年2月15日施行の押印見直しの後は、議事録への押印の有無は印鑑証明書の添付が要る場面を除いて審査されません。
みなし決議のときは議事録に代えて同意書を添付します
会社法319条1項により、提案について議決権を行使できる株主の全員が書面や電磁的記録で同意すると、決議があったものとみなされます。みなし決議のときは商業登記法46条3項に従い、議事録に代えてみなし決議に該当することを証する書面を添付します。株主の提案への同意の書面と、提案書が一体となったものが典型です。みなし決議でも株主総会の決議を要する事項であることに変わりはないので、株主リストの添付は省けません。みなし決議の日に株主総会が終結したものとみなされる定時株主総会では、任期満了の時期もその日で数えます。
議事録の記載で定款や他の書面を省けることがあります
「定款に,取締役の任期を選任後 2 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと定めている会社の取締役が重任した場合において,取締役の重任による変更の登記の申請書に添付した当該取締役の選任に係る定時株主総会の議事録に,当該取締役がその定時株主総会の終結の時に任期満了により退任する旨が記載されているときは,当該申請書に定款の添付を要しない」という肢は正しい肢です。退任の時期が議事録から明らかなら、任期を証するための定款は要りません。「定時株主総会において,当該定時株主総会の日における欠損の額を超えない範囲で資本金の額を減少する旨の決議が普通決議によりされたとしても,その旨の記載がされた株主総会の議事録を添付して,資本金の額の減少による変更の登記の申請をすることができる」という肢も正しい肢で、欠損填補の減資は定時株主総会の普通決議で足ります。「剰余金の資本組入れによる変更の登記の申請書には,臨時株主総会の議事録を添付することができない」という肢は誤りで、剰余金の資本組入れは臨時株主総会でも決議できます。
取締役会の決議事項に株主総会議事録を求める肢は誤りです
「取締役会設置会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないで募集株式を発行する場合は,定款に別段の定めがあるときを除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,株式の割当てを決定し,又は総数引受契約を承認した株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りです。取締役会設置会社では譲渡制限株式の割当ての決定は取締役会の決議で、添付するのは取締役会議事録です。反対に、「取締役会設置会社でない会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないで譲渡制限株式を発行した場合には,定款に別段の定めがあるときを除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,株式の割当てを決定し,又は総数引受契約を承認した株主総会の特別決議に係る議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。どの機関が決めるかは会社法の条文で決まり、議事録の種類はそれに従います。
議事録があっても登記できない決議があります
株主総会の決議があっても、実体法上その決議で登記事項が変わらなければ登記はできません。「辞任により取締役を退任した後も取締役としての権利義務を有するAを解任する株主総会の決議がされた場合であっても,当該株主総会の議事録を添付して,Aの解任による変更の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。権利義務取締役はすでに取締役ではなく、解任の対象にならないので、後任を選任して退任の登記をする形になります。議事録は決議の存在を示すだけで、決議の適法性までは補えません。
商業登記法 第46条第3項登記すべき事項につき会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)又は第三百七十条(同法第四百九十条第五項において準用する場合を含む。)の規定により株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議があつたものとみなされる場合には、申請書に、前項の議事録に代えて、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 取締役会設置会社かどうかで割当ての決定機関が変わることを、議事録の種類で問う肢
- 議事録の記載から退任の時期が分かるときに定款の添付が要るかを問う肢
- 欠損填補の減資や剰余金の資本組入れの決議要件と、定時・臨時のどちらで決議できるかを問う肢
- みなし決議のときに議事録に代えて何を添付するか、株主リストは要るかを問う肢
- 権利義務取締役の解任のように、決議があっても登記できない場面を問う肢
この用語が問われた肢
取締役会設置会社が株主に株式の割当てを受ける権利を与えないで募集株式を発行する場合は,定款に別段の定めがあるときを除き,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,株式の割当てを決定し,又は総数引受契約を承認した株主総会の議事録を添付しなければならない。
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