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清算人せいさんにん

商業登記 第11章 解散・清算・継続 過去問で18肢

解散した会社の清算事務を行い、清算株式会社を代表する者です。誰が清算人になるか、その登記に何を添付するか、裁判所が選任した清算人の扱いが肢で突かれます。

清算人は、解散した会社の現務を結了し、債権を取り立てて債務を弁済し、残余財産を分配する清算事務を行う者です。清算株式会社には必ず一人以上の清算人を置き、他に代表清算人を定めなければ清算人が会社を代表します。会社法478条は、定款で定める者か株主総会の決議で選任された者がいればその者を、いなければ取締役を清算人とし、誰もいなければ裁判所が選任する仕組みです。登記は清算人の氏名と代表清算人の氏名・住所が対象で、添付書面は誰が清算人になったかで変わります。肢で突かれるのは、就任の経路ごとの添付書面の違いと、裁判所が選任した清算人に株主総会や互選が及ばないことです。

会社法 第478条

(清算人の就任)
次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
一 取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二 定款で定める者
三 株主総会の決議によって選任された者
前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
前二項の規定にかかわらず、第四百七十一条第六号に掲げる事由によって解散した清算株式会社については、裁判所は、利害関係人若しくは法務大臣の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。
第一項及び第二項の規定にかかわらず、第四百七十五条第二号又は第三号に掲げる場合に該当することとなった清算株式会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、同号中「取締役」とあるのは、「監査等委員である取締役以外の取締役」とする。
第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、同号中「取締役」とあるのは、「監査委員以外の取締役」とする。
第三百三十五条第三項の規定にかかわらず、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社であった清算株式会社である監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、次に掲げる要件のいずれにも該当するものでなければならない。
一 その就任の前十年間当該監査等委員会設置会社若しくは指名委員会等設置会社又はその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。次号において同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
二 その就任の前十年内のいずれかの時において当該監査等委員会設置会社若しくは指名委員会等設置会社又はその子会社の社外取締役又は監査役であったことがある者にあっては、当該社外取締役又は監査役への就任の前十年間当該監査等委員会設置会社若しくは指名委員会等設置会社又はその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
三 第二条第十六号ハからホまでに掲げる要件
第三百三十条、第三百三十一条第一項及び第三百三十一条の二の規定は清算人について、第三百三十一条第五項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「取締役は」とあるのは、「清算人は」と読み替えるものとする。

帳簿と硬貨の袋を前に腕章を付けた清算人が債権者の列に封筒を配り、奥で裁判官が別の清算人を指名している
清算人は定款か株主総会で定め、いなければ取締役がなり、添付書面は就任の経路で変わります
定款は常に添付法定清算人・裁判所選任に就任承諾書なし印鑑証明書は不要裁判所選任は総会解任も互選も不可

清算人は定款か株主総会で定め、いなければ取締役がなります

定款で清算人を定めておらず株主総会でも選任しなければ、解散の時の取締役がそのまま清算人になります。定款で定める者か株主総会で選任された者がいれば、取締役は清算人になりません。誰も清算人になる者がいないときは、裁判所が利害関係人の申立てで清算人を選任します。解散命令による解散や設立無効の判決による清算でも裁判所が選任します。休眠会社のみなし解散でも仕組みは同じで、「当該解散後に株主総会の決議により選任した清算人Bの就任の登記の前提として,当該解散の時における取締役Aが清算人となった旨の登記の申請をしなければならない」という肢は正しい肢です。取締役が法定清算人になった事実は登記の連続性のために省けません。

登記事項は清算人の氏名と代表清算人の氏名・住所です

清算株式会社の清算人の登記で登記すべき事項は、清算人の氏名、代表清算人の氏名と住所、清算人会設置会社であるときはその旨です。取締役が法定清算人になったときは解散の日から2週間以内に、株主総会などで選任されたときは選任から2週間以内に登記します。代表取締役がいた会社で取締役が清算人になると、その代表取締役が代表清算人になります。清算人会を置かない会社では、定款、定款の定めに基づく清算人の互選、株主総会の決議で代表清算人を定められます。清算人会設置会社である旨は定款で清算人会を置いたときか、監査役会を置く定めがあって清算人会が必置になるときに登記するので、「清算の開始時に会社法上の公開会社であった清算株式会社である場合には,清算人の登記の申請書には,登記すべき事項として,清算人会設置会社である旨をも記載しなければならない」という肢は誤りです。

定款は常に添付し、就任承諾書は経路で要否が分かれます

清算人の登記の申請書には、誰が清算人になった場合でも定款を添付します。「最初の清算人を裁判所が選任した場合の当該選任による清算人の登記の申請書には,当該清算人に係る選任決定書のほか,定款も添付しなければならない」という肢は正しい肢です。就任承諾書が要るのは定款で定める者と株主総会で選任された者で、法定清算人には要りません。「取締役が定款の定め又は株主総会の決議によらずに最初の清算人となった場合には、清算人の登記の申請書には、当該清算人が就任の承諾をしたことを証する書面の添付を要しない」という肢は正しい肢です。裁判所が選任した場合は選任決定書と代表清算人の氏名・住所を証する書面を添付し、「裁判所が選任した者が最初の清算人となった場合には,清算人の登記の申請書には,当該清算人が就任の承諾をしたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書は取締役や代表取締役の就任と違って清算人には要らず、「清算人の登記の申請書には,当該清算人が就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。

裁判所が選任した清算人には株主総会も互選も及びません

株主総会で選任した清算人はいつでも株主総会の決議で解任できますが、裁判所が選任した清算人は株主総会では解任できません。「裁判所が選任した清算人を株主総会において解任する決議をした場合は,当該清算人の解任を決議した株主総会の議事録を添付して,清算人の解任による変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。代表清算人の互選も裁判所が選任した清算人には及ばず、裁判所がその中から代表清算人を定めることができ、定めなければ各清算人が会社を代表します。「当該定款及び当該清算人が代表清算人を互選したことを証する書面を添付して,代表清算人の選任の登記を申請することができる」という肢は誤りです。辞任は別で、「裁判所が後任の清算人を選任したときは,清算人が辞任したことを証する書面を添付して,清算人の辞任による変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。退任の登記には退任を証する書面を添付します。

法人が清算人になる場合や登記記録の閉鎖後の再選任も問われます

法人である代表社員が合同会社の代表清算人になるときは、職務執行者の選任に関する書面と就任承諾書を添付します。「当該代表社員の職務執行者が引き続き代表清算人の職務執行者になるときは,清算人及び代表清算人の登記の申請書には,職務執行者の選任に関する書面及び当該職務執行者が就任を承諾したことを証する書面を添付することを要しない」という肢は誤りです。社員の死亡で解散する合資会社について、「Aの死亡による変更の登記,解散の登記及び清算人の登記は,同時に申請しなければならない」という肢は誤りで、同時申請の義務はありません。破産手続の終了後に残余財産が見つかって裁判所が清算人を選任したときの登記は嘱託ではなく申請で、「清算人の選任の登記は,裁判所書記官の嘱託によって行われる」という肢は誤りです。登記記録の閉鎖後に裁判所が別の清算人を選任したときの清算人の登記は変更の登記として扱われ、「清算人の登記の登録免許税の額は,6000 円である」という肢は正しい肢です。

商業登記法 第73条

(清算人の登記)
清算人の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
会社法第四百七十八条第一項第二号又は第三号に掲げる者が清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
裁判所が選任した者が清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、その選任及び会社法第九百二十八条第一項第二号に掲げる事項を証する書面を添付しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 定款の定めも株主総会の選任もないとき誰が清算人になるか(解散の時の取締役)
  2. 清算人の登記に定款の添付は要るか(常に要る。裁判所が選任した場合も要る)
  3. 法定清算人・裁判所選任の清算人に就任承諾書は要るか(要らない。定款で定めた者と株主総会選任者は要る)
  4. 清算人の就任承諾書に印鑑証明書は要るか(要らない)
  5. 裁判所が選任した清算人を株主総会で解任したり、互選で代表清算人を定めたりできるか(できない)

この用語が問われた肢

R4 問33 エ正しい

休眠会社のみなし解散による解散の登記がされた会社において、当該解散の時における取締役Aが清算人となるときは、当該解散後に株主総会の決議により選任した清算人Bの就任の登記の前提として、当該解散の時における取締役Aが清算人となった旨の登記の申請をしなければならない。

R6 問32 オ誤り

清算の開始時に会社法上の公開会社であった清算株式会社である場合には、清算人の登記の申請書には、登記すべき事項として、清算人会設置会社である旨をも記載しなければならない。

R6 問32 ア正しい

取締役が定款の定め又は株主総会の決議によらずに最初の清算人となった場合には、清算人の登記の申請書には、当該清算人が就任の承諾をしたことを証する書面の添付を要しない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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