社員の加入・退社しゃいんのかにゅうたいしゃ
持分会社に新しい社員が入り、または社員が抜けることで、加入は定款の変更の時に、退社は事由ごとの時に効力を生じ、社員の氏名などの変更の登記になります。効力発生の時期、退社の事由ごとの添付書面、嘱託になる場合が肢で突かれます。
社員の加入・退社は、持分会社の社員の構成が変わることで、合名会社と合資会社では社員全員が、合同会社では業務執行社員と代表社員が登記事項なので、変更の登記の対象になります。加入は新しい社員に係る定款の変更をした時に効力を生じ、合同会社でその時に出資が未履行なら履行を完了した時に社員になります。退社したときはその時に退社した社員に係る定款の変更をしたものとみなす定めです。退社には社員の意思による任意退社と、死亡や総社員の同意、除名などの法定退社があり、退社した社員は登記の前に生じた会社債務について従前の責任を負います。肢で突かれるのは、効力発生の時期、退社事由ごとの添付書面、裁判による退社が嘱託で登記されることです。
会社法 第604条(社員の加入)
持分会社は、新たに社員を加入させることができる。
持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる。
前項の規定にかかわらず、合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が同項の定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となる。

加入は定款変更の時、合同会社では出資の完了時に効力が生じます
社員の加入は、その社員に係る定款の変更をした時に効力を生じます。合同会社では、定款を変更した時に出資の払込みや給付を終えていなければ完了した時に社員になり、終えていれば定款変更の時に社員になります。「平成 30 年6 月 25 日にAの加入に関する事項についての総社員の同意があり,同月 28 日にAが出資に係る払込みの全部を完了した場合には,平成 30 年 6 月 28 日を変更日として業務執行社員の加入及び資本金の額の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。加入による変更の登記には加入の事実を証する書面を添付し、「当該社員の加入の事実を証する書面を添付する必要はない」という肢は誤りです。定款で代表社員の同意だけで加入できると定めていれば、「代表社員の同意書及び定款を添付して,社員の加入による変更の登記を申請することができる」という肢のとおりで、正しい肢です。
任意退社は予告だけで足り、総社員の同意は要りません
存続期間の定めがない会社や社員の終身の間存続する定めの会社では、各社員は6か月前に予告して事業年度の終了時に退社できます。やむを得ない事由があればいつでも退社できます。退社の登記には退社の事実を証する書面として予告書や退社届を添付し、総社員の同意書は要りません。総社員の同意による退社では、退社する社員の退社届と他の社員全員の同意書を添付します。
法定退社の事由は八つで、除名の登記は嘱託です
社員は、定款で定めた事由の発生、総社員の同意、死亡、合併による消滅、破産手続開始の決定、解散、後見開始の審判、除名によって退社します。破産・解散・後見開始については、定款で退社しない旨を定めることができます。除名は他の社員の過半数の決議に基づく訴えによる判決で効力を生じ、その登記は裁判所書記官の嘱託です。「当該判決の判決書の正本及び確定証明書を添付して当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。持分を差し押さえた債権者も、6か月前に予告して事業年度の終了時に社員を退社させられます。
清算中の会社では破産による退社は起きず、相続人が持分を承継します
清算持分会社には破産手続開始の決定による退社の規定が適用されず、「清算中の合名会社において,社員の一人について破産手続開始の決定があった場合には,当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。清算中に社員が死亡したときは、定款の定めがなくても相続人が持分を承継します。活動中の会社で相続人が承継する旨の定款の定めがあるときは、共同相続人全員が相続の時に社員になるので、「Aのみの相続による加入を原因とする社員の変更の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。遺産分割で一人にまとめるには、相続人全員の加入の登記の後に持分の譲渡による変更の登記を重ねる手順です。
退社した社員は登記後2年間は従前の責任を負います
退社した社員は、退社の登記をする前に生じた会社の債務について従前の責任の範囲で弁済の責任を負います。登記後2年以内に請求や請求の予告をしなかった債権者に対しては、2年を経過した時に責任が消えます。退社の登記が責任の区切りになるので、退社の日から2週間以内の申請を怠ると責任の期間が延びます。退社した社員は持分の払戻しを受けられますが、相続人が持分を承継して社員になった場合は払戻しの対象外です。
商業登記法 第96条(社員の加入又は退社等による変更の登記)
合名会社の社員の加入又は退社による変更の登記の申請書には、その事実を証する書面(法人である社員の加入の場合にあつては、第九十四条第二号又は第三号に掲げる書面を含む。)を添付しなければならない。
合名会社の社員が法人であるときは、その商号若しくは名称又は本店若しくは主たる事務所の変更の登記の申請書には、第九十四条第二号イに掲げる書面を添付しなければならない。ただし、同号イただし書に規定する場合は、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 合同会社で出資を伴う加入の効力はいつ生じるか(定款変更の時。未履行なら履行を完了した時)
- 任意退社の登記に総社員の同意書は要るか(要らない)
- 除名の判決による退社の登記は申請か嘱託か(嘱託)
- 清算中の合名会社の社員の破産で退社の登記は要るか(要らない)
- 相続人が持分を承継する定款の定めがあるとき、遺産分割で一人だけ加入の登記ができるか(できない)
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