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民事執行法の令和元年改正(令和2年4月1日施行)みんじしっこうほうのれいわがんねんかいせい

民事執行法 第5章 非金銭執行・財産開示・情報取得 過去問で1肢

民事執行法の令和元年改正とは、民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第2号)による改正で、令和元年5月17日に公布され、令和2年4月1日に施行されました。財産開示手続の見直し、第三者からの情報取得手続の新設、子の引渡しの強制執行の規定の新設、不動産競売における暴力団員の買受けの防止、差押禁止債権に関する規律の見直しが主な内容です。

民事執行法の令和元年改正は、財産開示手続と第三者からの情報取得による債務者の財産の調査、子の引渡し、不動産競売、差押禁止債権の各分野にわたる改正です。施行は令和2年4月1日なので、令和元年(平成31年)までの肢は改正前の規定で、令和2年以降の肢は改正後の規定で出題されています。

黒板の左右に改正前と改正後を並べ、仮執行宣言付判決での財産開示の可否が逆になると示す
令和元年改正で、財産開示手続は債務名義の種類を問わず申し立てられるようになり、出題当時と結論が逆になる肢があります
改正前は仮執行宣言付判決で不可現行は種類を問わない制裁は刑事罰に令和2年4月1日施行

財産開示手続は、申立権者が広がり、制裁が強化されました

改正前の197条1項は、仮執行の宣言を付した判決、支払督促、執行証書などに基づく申立てを認めていませんでした。改正後は、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者であれば、債務名義の種類を問わず申し立てられます。仮執行の宣言を付した判決を有する金銭債権の債権者は財産開示手続を申し立てることができないとした令和元年の肢は、出題当時の規定では正しいとされていますが、現行法では結論が逆になります。財産開示期日への不出頭や虚偽の陳述に対する制裁も、30万円以下の過料(改正前206条1項)から、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に改められました。この懲役は、2025年6月1日から拘禁刑になっています(213条1項5号・6号)。

民事執行法 第197条第1項

執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。
二 知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

第三者からの情報取得手続が新設されました

204条から211条までにより、執行裁判所が、登記所に不動産の情報を(205条)、市町村や日本年金機構等に給与債権の情報を(206条)、銀行等や振替機関等に預貯金債権・振替社債等の情報を(207条)提供させる手続が設けられました。不動産と給与債権の情報は財産開示手続の前置が要り(205条2項、206条3項)、給与債権の情報を求められるのは、扶養義務等に係る請求権や生命・身体の侵害による損害賠償請求権の債権者などに限られます(206条1項)。

民事執行法 第206条第1項

執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 市町村 債務者が支払を受ける地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百十七条の二第一項ただし書に規定する給与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(当該市町村が債務者の市町村民税(特別区民税を含む。)に係る事務に関して知り得たものに限る。)
二 日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団 債務者(厚生年金保険の被保険者であるものに限る。以下この号において同じ。)が支払を受ける厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第三条第一項第三号に規定する報酬又は同項第四号に規定する賞与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(情報の提供を命じられた者が債務者の厚生年金保険に係る事務に関して知り得たものに限る。)

子の引渡しの強制執行と、暴力団員の買受けの防止が定められました

改正前の民事執行法には子の引渡しの強制執行を定める規定がなく、改正で174条から176条までが置かれました。執行官に子の引渡しを実施させる方法と間接強制の方法があり、執行官による実施には、間接強制決定の確定から2週間の経過などの要件があります(174条2項)。不動産競売では、買受けの申出をしようとする者が暴力団員等に該当しないことなどを陳述しなければならなくなり(65条の2)、最高価買受申出人が暴力団員等であることなどが売却不許可事由になりました(71条5号)。

民事執行法 第65条の2第1項

不動産の買受けの申出は、次の各号のいずれにも該当しない旨を買受けの申出をしようとする者(その者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、その者が法人である場合にあつてはその代表者)が最高裁判所規則で定めるところにより陳述しなければ、することができない。
一 買受けの申出をしようとする者(その者が法人である場合にあつては、その役員)が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この目において「暴力団員等」という。)であること。
二 自己の計算において当該買受けの申出をさせようとする者(その者が法人である場合にあつては、その役員)が暴力団員等であること。

差押禁止債権について、取消しの申立ての教示と取立ての時期の延長が加わりました

裁判所書記官は、差押命令を送達する際に、債務者に差押命令の取消しの申立てができる旨などを教示しなければならなくなりました(145条4項)。給料などの債権を差し押さえた場合、差押債権者が取り立てられるようになるまでの期間は債務者への送達の日から4週間に延び(155条2項)、転付命令も、確定し、かつ同じ期間を経過するまでは効力を生じなくなりました(159条6項)。扶養義務等に係る金銭債権を請求する場合は、どちらも除かれます。

民事執行法 第155条第2項

差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「一週間」とあるのは、「四週間」とする。

試験ではこう問われる

  1. 改正前は、仮執行の宣言を付した判決を有する債権者は財産開示手続を申し立てられなかった(改正前197条1項。R1 午後 問7 オ ○・出題当時)
  2. 現行法では、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者は、債務名義の種類を問わず財産開示手続を申し立てられる(197条1項)
  3. 財産開示期日への不出頭などに対する制裁は、過料から刑事罰に改められた(213条1項5号・6号)
  4. 第三者からの情報取得手続が新設された(204条〜211条)
  5. 暴力団員等に該当しない旨などの陳述がなければ、不動産の買受けの申出はできない(65条の2)
  6. 給料などを差し押さえた債権者の取立ては、債務者への送達の日から4週間を経過した後になった(155条2項)

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