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子の引渡しの強制執行このひきわたしのきょうせいしっこう

民事執行法 第5章 非金銭執行・財産開示・情報取得

子の引渡しの強制執行とは、子の引渡しを命ずる債務名義に基づく強制執行で、執行裁判所が決定により執行官に子の引渡しを実施させる方法と、間接強制の方法のいずれかにより行います(174条1項)。令和元年改正(令和2年4月1日施行)で規定が設けられました。

子は意思を持つ人なので、動産の引渡しと同じ方法では扱えません。令和元年改正前の民事執行法には、子の引渡しの強制執行を定める規定がありませんでした。改正で174条から176条までが置かれ、執行官が子の引渡しを実施する手続が定められました。

執行官による引渡しの実施の見出しの下に、三つの要件を三つの扉として並べた黒板
執行官による子の引渡しの実施の申立ては、間接強制を先に試みた後などに限られます
間接強制から2週間見込みがないとき急迫の危険があるとき
民事執行法 第174条第1項

子の引渡しの強制執行は、次の各号に掲げる方法のいずれかにより行う。
一 執行裁判所が決定により執行官に子の引渡しを実施させる方法
二 第百七十二条第一項に規定する方法

執行官による引渡しの実施は、間接強制を先に試みた後などに限られます

執行官に子の引渡しを実施させる方法による申立ては、間接強制の決定が確定した日から2週間を経過したとき(決定で定めた履行の期間がこれより後であれば、その期間を経過したとき)、間接強制を実施しても債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき、又は子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行をする必要があるときでなければ、することができません(174条2項)。執行裁判所は、この決定をする場合には債務者を審尋しなければなりませんが、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、審尋しないでできます(同条3項)。申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができます(同条6項)。

民事執行法 第174条第2項

前項第一号に掲げる方法による強制執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。
一 第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあつては、その期間を経過したとき)。
二 前項第二号に掲げる方法による強制執行を実施しても、債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき。
三 子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行をする必要があるとき。

執行官は説得や立入りができますが、子に対して威力を用いることはできません

執行官は、債務者による子の監護を解くために必要な行為として、債務者に対し説得を行うほか、債務者の住居などに立ち入って子を捜索し、債権者と子を面会させるなどの行為をすることができます(175条1項)。これらの行為は、債権者が執行の場所に出頭した場合に限りすることができ(同条5項)、債権者が出頭することができない場合でも、執行裁判所は、代理人の出頭が子の利益の保護のために相当と認めるときは、債権者の申立てにより、代理人の出頭で足りるとする決定をすることができます(同条6項)。執行官は、子に対して威力を用いることはできず、子以外の者に対する威力が子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合も同じです(同条8項)。執行裁判所と執行官は、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、できる限り強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮しなければなりません(176条)。

執行官役の先生が玄関で債務者を穏やかに説得し、後ろに債権者が立ち会う場面
執行官は説得や立入りができますが、債権者が出頭した場合に限られ、子に対して威力を用いることはできません
説得・立入りができる債権者の出頭が必要子に威力は使えない
民事執行法 第175条第8項

執行官は、第六条第一項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。

試験ではこう問われる

  1. 子の引渡しの強制執行は、執行官に引渡しを実施させる方法か間接強制の方法により行う(174条1項)
  2. 執行官による実施の申立ては、間接強制決定の確定から2週間の経過、間接強制では監護を解く見込みがないとき、子の急迫の危険の防止のいずれかの場合に限られる(174条2項)
  3. 執行官による子の監護を解く行為は、債権者が執行の場所に出頭した場合に限りすることができる(175条5項)
  4. 執行官は、子に対して威力を用いることができない(175条8項)

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