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売却許可決定と売却不許可事由(損傷による取消し・暴力団員の排除)ばいきゃくきょかけってい

民事執行法 第3章 不動産執行 過去問で2肢

売却許可決定とは、執行裁判所が売却決定期日に、最高価買受申出人への売却を許可する決定です(69条)。71条各号の売却不許可事由があると認めるときは売却不許可決定をしなければならず、売却の許可又は不許可の決定は確定しなければ効力を生じません(74条5項)。

不動産の売却は、執行官が入札などを実施して最高価買受申出人を定め、執行裁判所が売却決定期日を開いて売却の許可又は不許可を言い渡すという2段階で進みます(64条3項、69条)。売却許可決定は、この2段階目の判断です。

無効の判を押された最高額の入札書を持つ入札人が、執行抗告状を差し出す受付
売却の許可・不許可の決定には、自己の権利が害される者だけが執行抗告でき、執行官の誤りで最高価買受申出人になれなかった入札人はこれに当たります
権利を害される者だけ誤って外された入札人は可71条の事由か重大な誤り
民事執行法 第69条第1項

執行裁判所は、売却決定期日を開き、売却の許可又は不許可を言い渡さなければならない。

売却不許可事由があれば、執行裁判所は売却不許可決定をしなければなりません

71条は、強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと(1号)、最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと(2号)、売却基準価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること(7号)、売却の手続に重大な誤りがあること(8号)などを売却不許可事由として挙げています。これらがあると認めるときは、執行裁判所は売却不許可決定をしなければなりません。

民事執行法 第71条第1項

執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。
一 強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
二 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
三 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をした者であること。
四 最高価買受申出人、その代理人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
 イ その強制競売の手続において第六十五条第一号に規定する行為をした者
 ロ その強制競売の手続において、代金の納付をしなかつた者又は自己の計算においてその者に買受けの申出をさせたことがある者
 ハ 第六十五条第二号又は第三号に掲げる者
五 最高価買受申出人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
 イ 暴力団員等(買受けの申出がされた時に暴力団員等であつた者を含む。)
 ロ 法人でその役員のうちに暴力団員等に該当する者があるもの(買受けの申出がされた時にその役員のうちに暴力団員等に該当する者があつたものを含む。)
六 第七十五条第一項の規定による売却の不許可の申出があること。
七 売却基準価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。
八 売却の手続に重大な誤りがあること。

令和元年改正で、暴力団員等の買受けが排除されました

令和元年改正(令和2年4月1日施行)により、不動産の買受けの申出は、申出をしようとする者が暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(暴力団員等)に該当しないことなどを陳述しなければ、することができなくなりました(65条の2)。最高価買受申出人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が暴力団員等であるときや、法人でその役員のうちに暴力団員等に該当する者があるときは、売却不許可事由になります(71条5号)。陳述すべき事項について虚偽の陳述をした者は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられます(213条1項3号)。

民事執行法 第65条の2第1項

不動産の買受けの申出は、次の各号のいずれにも該当しない旨を買受けの申出をしようとする者(その者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、その者が法人である場合にあつてはその代表者)が最高裁判所規則で定めるところにより陳述しなければ、することができない。
一 買受けの申出をしようとする者(その者が法人である場合にあつては、その役員)が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この目において「暴力団員等」という。)であること。
二 自己の計算において当該買受けの申出をさせようとする者(その者が法人である場合にあつては、その役員)が暴力団員等であること。

売却の許可・不許可の決定には、自己の権利が害される者だけが執行抗告できます

売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができます(74条1項)。売却許可決定に対する執行抗告は、71条各号の事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければなりません(同条2項)。期間入札で自分が最高の価額で買受けの申出をしたのに、執行官の誤りでその入札が無効と判断され、他の者が最高価買受申出人と定められた入札人は、その売却許可決定で自己の権利が害される者に当たります。平成25年には、この入札人が売却許可決定に対して執行抗告をすることができるとした肢が出題され、正しいとされています。

民事執行法 第74条第1項

売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。

天災などで不動産が損傷したときは、軽微な場合を除き、売却許可決定の取消しを申し立てられます

最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後に天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、売却許可決定前にあっては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあっては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができます(75条1項本文)。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでありません(同項ただし書)。平成25年には、損傷が軽微であっても代金を納付する時までに売却許可決定の取消しを申し立てることができるとした肢が出題され、誤りとされています。売却の不許可の申出があることは売却不許可事由になり(71条6号)、取消しの申立てについての決定に対しては執行抗告をすることができます(75条2項)。

壁に小さなひびの入った家の前で、買受人の取消申立書に×印
天災などで不動産が損傷したときは、軽微な場合を除き、代金納付の時までに売却許可決定の取消しを申し立てられます
軽微なら取消し不可代金納付の時まで自己の責めでない損傷
民事執行法 第75条第1項

最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。

試験ではこう問われる

  1. 執行官の誤りで最高価買受申出人になれなかった入札人は、売却許可決定に対して執行抗告ができる(74条1項。H25 午後 問7 イ ○・出題当時)
  2. 不動産の損傷が軽微であるときは、売却許可決定の取消しの申立てはできない(75条1項ただし書。H25 午後 問7 ウ ×・出題当時)
  3. 暴力団員等に該当しない旨などの陳述をしなければ、不動産の買受けの申出はできない(65条の2)
  4. 売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければ効力を生じない(74条5項)
  5. 売却許可決定に対する執行抗告は、71条各号の事由か売却許可決定の手続の重大な誤りを理由とする(74条2項)

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