司法書士試験AIブートラボ 司法書士試験AIブートラボ

執行証書しっこうしょうしょ

民事執行法 第2章 債務名義と執行文 過去問で4肢

執行証書とは、金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載され、又は記録されているものです(22条5号)。執行証書の執行文は、その原本を保存する公証人が付与します(26条1項)。

執行証書は、裁判を経ずに作られる債務名義です。債務者が公証人の作成する公正証書に、履行しなければ直ちに強制執行に服する旨の陳述(執行受諾文言)を記載させることで、判決と同じように強制執行の基礎になります。

公証人役の先生が公正証書の原本の棚の前で執行文に判を押し、隅の書記官に×印
執行証書の執行文は、その原本を保存する公証人が付与します
原本を保存する公証人申立てにより付与書記官ではない
民事執行法 第22条第1項第5号

金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載され、又は記録されているもの(以下「執行証書」という。)

対象は、金銭・代替物・有価証券の一定の額又は数量の給付に限られます

22条5号は、対象を金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求に限っています。裁判所の審理を経ないので、執行の対象を額や数量で特定できる給付に限っています。不動産の明渡しや特定物の引渡しは対象外で、「不動産の明渡しを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で,債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは,債務名義に該当しますか。はい」という問答の肢(R2 午後 問7 ア)は誤りです。支払の額が明記されず、公正証書の記載から一定の数額を確認し算定することもできないものは「一定の額」の要件を欠くので、債務名義に該当するとした令和元年の肢も誤りとされています。

公証人役の先生が三通の公正証書を並べ、金額の明記されたものだけに○印
執行証書の対象は、金銭・代替物・有価証券の一定の額又は数量の給付に限られます
一定の額・数量だけ明渡しは対象外算定できない額は不可

執行証書の執行文は、原本を保存する公証人が付与します

26条1項は、執行文は、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与すると定めています。「執行証書が書面をもって作成されている場合には、当該執行証書についての執行文は、申立てにより、当該執行証書の原本を保存する公証人が付与する」という肢(R8 午後 問7 ア)は正しい記述です。令和5年の改正(令和5年法律第53号)により、2025年10月1日から、執行証書が電磁的記録で作成されている場合には、その電磁的記録を保存する公証人が付与することになりました。公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所の裁判所書記官が付与するとした平成30年の肢は、誤りとされています。

民事執行法 第26条第1項

執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本(執行証書が電磁的記録をもつて作成されている場合にあつては、当該電磁的記録)を保存する公証人が付与する。

承継・請求異議・管轄では、執行証書に判決と違う扱いがあります

執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、又はこれらの者のためにすることができます(23条2項)。判決のように口頭弁論終結後の承継人という基準ではありません。請求異議の訴えでは、口頭弁論終結後の事由に限るという制限(35条2項)は確定判決についてのものなので、執行証書にはかかりません。債務名義の成立について異議があることも主張できます(35条1項後段)。執行文付与の訴えなどの管轄は、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所です(33条2項5号)。執行文の付与に関する公証人の処分に対する異議は、その公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます(32条1項)。

民事執行法 第23条第2項

執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。

令和元年改正前は、執行証書に基づいて財産開示手続を申し立てられませんでした

令和元年改正(令和2年4月1日施行)前の197条1項は、財産開示手続を申し立てられる債務名義から、執行証書(22条5号)、仮執行の宣言を付した判決、仮執行の宣言を付した支払督促などを除いていました。改正後の197条1項は「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者」と定めるだけなので、執行証書に基づいても申し立てられます。

試験ではこう問われる

  1. 書面で作成された執行証書の執行文は、その原本を保存する公証人が付与する(26条1項。R8 午後 問7 ア ○)
  2. 不動産の明渡しを目的とする公正証書は、執行受諾文言があっても債務名義にならない(22条5号。R2 午後 問7 ア ×)
  3. 支払額が明記されず算定もできない公正証書は、執行証書に当たらない(22条5号。R1 午後 問7 イ ×・出題当時)
  4. 執行証書による強制執行は、執行証書作成後の承継人に対してもすることができる(23条2項)
  5. 令和元年改正後は、執行証書に基づいて財産開示手続を申し立てられる(197条1項)

この用語が問われた肢

R2 問7 ア誤り

【問】不動産の明渡しを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で,債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは,債務名義に該当しますか。 はい。債務名義に該当します。

R8 問7 ア正しい

執行証書が書面をもって作成されている場合には、当該執行証書についての執行文は、申立てにより、当該執行証書の原本を保存する公証人が付与する。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

司法書士試験AIブートラボ

司法書士試験の対策を、
スマホひとつで。

過去問の肢別演習、記述式と雛形ドリル、先例と条文、用語集。司法書士試験の勉強に使う教材をひとつのアプリにまとめました。

関連する用語

債務名義と執行文

債務名義

債務名義とは、強制執行の基礎となる文書で、強制執行は債務名義により行います(22条)。確定判決、仮執行の宣言を付し...
債務名義と執行文

執行文(付与機関・付与の方法・再度付与)

執行文とは、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる旨を付記して、債務名義の執行力の存在と...
非金銭執行・財産開示・情報取得

財産開示手続

財産開示手続とは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者又は一般の先取特権を有することを証する文書を提...
執行機関と不服申立て

請求異議の訴え

請求異議の訴えとは、債務名義に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者が、その債務名義による強制執行の不許...