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未成年者の行為能力(4条〜6条・成年年齢18歳)みせいねんしゃのこういのうりょく

民法 第1章 民法の基礎と権利の主体 過去問で33肢

未成年者とは、年齢18歳に達していない者のことで(4条)、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を得なければならず、同意を得ないでした法律行為は取り消すことができます(5条1項・2項)。

高校生が親に黙って高額のバイクをローンで買ったとします。若い人は経験が浅く、不利な契約を結ばされやすいので、民法は18歳未満の者を未成年者とし、法律行為をするには親などの法定代理人の同意を要求しています。同意なしにした契約は、後から取り消して無かったことにできます。その代わり、もらうだけの行為や、親が自由に使ってよいと渡した小遣いの使い道、親が許した営業についての取引は、未成年者が一人でしても取り消せません。

バイク販売店の店先。制服姿の男子高校生(札「17歳の未成年者」)が契約書を手に持ち、横に母親(札「法定代理人」)が来ている。販売店の男性(札「販売店」)が困った顔をしている。先生が弁護士役(札「先生」)で立ち、吹き出し「法定代理人の同意を得

成年は18歳で、未成年者が同意なしにした法律行為は取り消すことができますが、同意が要らない行為は三つに限られます

4条は年齢18歳をもって成年としています(令和4年4月施行。それまでは20歳)。未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を得なければならず(5条1項本文)、これに反する法律行為は取り消すことができます(同条2項)。同意が要らないのは、①単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(5条1項ただし書)、②法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内で処分すること、目的を定めないで処分を許した財産を処分すること(同条3項)、③一種又は数種の営業を許された未成年者がその営業に関してする行為(6条1項)です。「未成年者は、法定代理人の同意を得なくても、債務の免除を受けることができる」という肢(R4 問4 ア)は①により正しいです。負担のない贈与の申込みを承諾するのも①に当たりますが、負担付贈与は未成年者に義務を負わせるので①に当たらず、「未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで、負担付贈与の申込みを承諾することができる」という肢(R6 問4 ウ)は誤りです。書面によらない贈与を解除して贈与者としての債務を免れるのも①に当たるので、同意がなくても取り消すことはできません。「法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる」という肢(R6 問4 ア)は②により正しいです。成年被後見人には日用品の購入その他日常生活に関する行為を取消しの対象から外す規定(9条ただし書)がありますが、未成年者には同じ規定がなく、日常生活に関する売買契約も同意がなければ取り消すことができます。

  • 単に権利を得、又は義務を免れる行為負担のない贈与の承諾・債務の免除を受けること(5条1項ただし書)
  • 処分を許された財産目的を定めて許した財産はその目的の範囲内で、目的を定めないで許した財産は自由に処分できます(5条3項)
  • 許された営業に関する行為その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有します(6条1項)。営業に関しない行為は取り消せます
  • 日常生活に関する行為未成年者には例外規定がなく、同意がなければ取り消せます

営業を許された未成年者が成年者と同じ行為能力を持つのはその営業に関してだけで、営業に関しない行為は取り消すことができます

6条1項は、一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有すると定めています。「未成年者が特定の営業について法定代理人の許可を受けた場合には、その営業に関する法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができない」という肢(R4 問4 エ)は正しいです。許可の効果は営業の範囲に限られるので、営業を許された未成年者がした法律行為でも、その営業に関しないものは取り消すことができます。未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人は許可を取り消し、又は制限することができます(6条2項)。

取消しは未成年者が単独でできますが、成年に達するまでに未成年者自身が追認するには法定代理人の同意が要ります

行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者本人も取り消すことができ(120条1項)、取消しに法定代理人の同意は要りません。取消しは行為の効力を遡って失わせるだけで、未成年者に新たな負担を負わせないからです。「未成年者が法定代理人の同意を得ないで法律行為をした場合には、当該未成年者は、法定代理人の同意がなければ行為能力の制限を理由として当該法律行為を取り消すことができない」という肢(R4 問4 ウ)は誤りです。取り消すことができると知って契約したときでも、未成年者は取り消すことができます。これに対し追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後でなければ効力を生じませんが(124条1項)、法定代理人の同意を得て追認するときはその必要がありません(同条2項2号)。成年に達するまでは、未成年者が自ら追認するには親権者の同意が要ります。取り消された行為に基づいて給付を受けた者は原状回復の義務を負い(121条の2第1項)、現に利益を受けている限度で返還すれば足りるのは行為の時に制限行為能力者であった者の側です(同条3項)。「未成年者を一方当事者とする売買契約が行為能力の制限を理由として取り消されて無効となった場合には、当該売買契約に基づく債務の履行として給付を受けた相手方は、現に利益を受けている限度において、その給付について返還の義務を負う」という肢(R4 問4 オ)は誤りです。相続の放棄も財産上の法律行為なので5条の適用を受け、15歳という年齢は遺言能力(961条)の基準にすぎません。15歳に達している未成年者が法定代理人の同意を得ないでした相続の放棄も、919条2項により取り消すことができます。

教室の黒板の前。先生が教師役(札「先生」)で立ち、黒板に左右二列の表を書いている。左の列「未成年者が単独でできる」に「取消し(120条1項)」、右の列「法定代理人の同意が要る」に「成年に達する前の追認(124条2項2号)」。黒板の下段に「同

未成年者も代理人になることができ、未成年者の子の親権は未成年者の親権者が代わって行います

代理行為の効果は本人に帰属し、代理人自身は不利益を受けないので、制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができません(102条本文)。「未成年者が委任による代理人としてした法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができる」という肢(R4 問4 イ)は誤りです(代理人の行為能力の語で扱います)。未成年者が子を持った場合、その子に対する親権は、未成年者について親権を行う者が代わって行います(833条)。未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始します(838条1号)。未成年後見人の選任と職務は後見の機関の語で扱います。

成年年齢の引下げで、19歳の者を未成年者とする問題や婚姻による成年擬制を前提とする問題は、前提が成り立たなくなりました

令和4年4月から成年は18歳となり、婚姻適齢も男女とも18歳になって、未成年者の婚姻(旧737条)と婚姻による成年擬制(旧753条)の規定は削除されました。現在では19歳の者は成年者で、19歳の者を未成年者とする問題や婚姻による成年擬制を前提とする問題は、前提が成り立ちません。結論そのものは未成年者に置き換えても変わらず、営業に関しない売買契約は取り消すことができ、処分を許された金銭で買った物の売買契約は取り消すことができず、書面によらない贈与の解除は取り消すことができません。未成年者の婚姻と身分行為の扱いは、身分行為と行為能力の語で扱います。

民法 第4条

(成年)
年齢十八歳をもって、成年とする。

民法 第5条

(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

民法 第6条第1項

一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

試験ではこう問われる

  1. 未成年者は、法定代理人の同意を得なくても債務の免除を受けることができる(5条1項ただし書。R4 問4 ア ○)
  2. 負担付贈与の申込みの承諾には法定代理人の同意が要る(5条1項。R6 問4 ウ ×)
  3. 目的を定めないで処分を許された財産は、未成年者が自由に処分できる(5条3項。R6 問4 ア ○)
  4. 許可を受けた営業に関する法律行為は取り消せないが、営業に関しない行為は取り消せる(6条1項。R4 問4 エ ○)
  5. 未成年者は同意を得ずにした行為を法定代理人の同意なく単独で取り消せる(120条1項。R4 問4 ウ ×)
  6. 取消し後、現存利益の返還で足りるのは未成年者の側で、相手方は原状回復の義務を負う(121条の2。R4 問4 オ ×)
  7. 未成年者が委任による代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由に取り消せない(102条。R4 問4 イ ×)
  8. 親権者が未成年者を代理して登記を申請するとき、代理権限を証する戸籍の証明書は作成後3か月以内のものを要する(R4 午後 問16 ア ×)

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