抵当権設定登記ていとうけんせっていとうき
債権を担保するために不動産に抵当権を設定したことを、乙区に記録する登記です。抵当権者と設定者の共同申請で、債権額や債務者などの登記事項と添付情報の要否が肢で突かれます。
抵当権設定登記は、債権者が債務者や第三者の不動産に抵当権の設定を受けたことを、その不動産の登記記録の乙区に記録する登記です。抵当権は占有を移さずに優先弁済を受ける担保物権で、登記をしなければ第三者に対抗できません。申請は抵当権者を登記権利者、不動産の所有者である設定者を登記義務者とする共同申請です。設定者が所有権の登記名義人なので、その登記識別情報と印鑑証明書が要ります。肢では、誰が義務者か、何を登記事項として書けるか、複数の不動産にまとめて設定するときの申請の形が問われます。
民法 第369条(抵当権の内容)
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

設定者が登記義務者として登記識別情報を提供します
抵当権の設定は所有権に負担を付ける登記なので、設定者が登記義務者です。設定者が所有権の登記名義人になったときに通知された登記識別情報を提供し、書面申請なら申請書または委任状に押した印鑑の印鑑証明書を添えます。登記識別情報を記載した書面は封をして提出し、原本の還付は請求できません。「前所有者からAへの所有権の移転の登記が完了したときにAに対して通知された登記識別情報を記載した書面を添付したときは、当該書面の原本の還付を請求することができない」という肢は正しい肢です。
利息は確定した割合でなければ登記できません
抵当権の登記事項は、債権額、債務者、利息、損害金、債権に付した条件などです。利息の定めは「年1.5%」のように割合が確定していなければならず、債権者の判断で変えられるとする定めは登記できません。「利息の定めとして『年1.5%。ただし、将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更できるものとする』旨を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。契約後に被担保債権の一部が弁済されていれば、残額を債権額として申請でき、登記原因証明情報は設定契約書に一部弁済証書を合わせたもので足ります。
共同担保なら登記原因の日付が違っても一の申請情報にできます
同じ登記所の管轄区域内にある複数の不動産に、同じ債権を担保する抵当権を設定するときは、不動産ごとに設定契約の日が違っていても、一の申請情報で申請できます。登記原因とその日付が同一でなければまとめられないという原則の例外の一つで、同一名義人の住所変更の登記などにも似た例外があります。「同一の債務を担保するため、A所有の甲土地及びB所有の乙土地について、日を異にして抵当権が設定された場合には、甲土地及び乙土地に係る抵当権の設定の登記は、一の申請情報によって申請することができる」という肢は正しい肢です。所有者が別々でも構いません。
設定者が死亡していれば相続登記を先にします
設定者が死亡した後に抵当権が消滅した場合は、抹消で権利者になるのは相続人なので、まず相続人への所有権の移転の登記をしてから抹消を申請します。設定者の生前に抵当権が消滅していれば、相続人は一般承継人として相続登記を経ずに抹消を申請できます。「抵当権の設定者である所有権の登記名義人Aが死亡した後に当該抵当権が消滅した場合において、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。設定契約の後、登記の前に設定者が死亡したときは、相続人が一般承継人として既存の契約に基づいて設定の登記を申請でき、契約の結び直しも前提の相続登記も要りません。
登録免許税は債権額の1000分の4です
抵当権の設定の登記の登録免許税は、債権額を課税標準として1000分の4です。共同担保として複数の不動産にまとめて申請しても、課税標準は債権額1本で、不動産の数で増えません。既に登記した抵当権と同じ債権のために別の不動産に追加で設定するときは、前の登記の登記事項証明書などを添えて申請すれば、不動産1個につき1,500円の定額になります。
不動産登記法 第83条(担保権の登記の登記事項)
先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
二 債務者の氏名又は名称及び住所
三 所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
四 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利
五 外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権若しくは転質又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額
登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。
試験ではこう問われる
- 登記義務者は誰か、その登記識別情報と印鑑証明書は要るか(設定者、要る)
- 債権者が利率を変更できる旨の利息の定めは登記できるか(できない)
- 共同担保の設定で登記原因の日付が違うとき一の申請情報にできるか(できる)
- 設定者の死亡後に抵当権が消滅したときの抹消は相続登記が前提か(前提になる。死亡前の消滅なら相続人が直接申請できる)
- 登録免許税の課税標準と税率は何か(債権額の1000分の4、追加設定は1,500円)
この用語が問われた肢
抵当権の設定契約がされた後,その設定の登記を申請する前に被担保債権の一部が弁済されたため,残存する債権額を被担保債権の額として抵当権の設定の登記を申請する場合は,登記原因証明情報として抵当権設定契約書に一部弁済証書を合てつしたものを提供して申請することができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。