登録免許税とうろくめんきょぜい
登記を受ける者が登記のときに国に納める税で、課税標準に税率を乗じる登記と不動産の個数で定額になる登記があります。どの登記が定額か、上限がある登記はどれか、申請情報に何を書くかが肢で突かれます。
登録免許税は、登記を受ける者が納める国税で、登録免許税法が課税標準と税率を別表第一に定めています。所有権の移転や抵当権の設定のように権利の価値に応じて課す登記は、不動産の価額や債権金額を課税標準として税率を乗じます。変更・更正・抹消・回復のように価値を動かさない登記は不動産の個数で定額です。不動産登記規則189条により登録免許税額は申請情報の内容で、納付がなければ不動産登記法25条12号の却下事由です。肢で突かれるのは、課税標準と税率の組合せの取り違えと、定額の登記に上限があるかどうかです。
不動産登記規則 第189条第1項登記の申請においては、登録免許税額を申請情報の内容としなければならない。この場合において、登録免許税法別表第一第一号(一)から(三)まで、(五)から(七)まで、(十)、(十一)及び(十二)イからホまでに掲げる登記については、課税標準の金額も申請情報の内容としなければならない。

価値を動かす登記は課税標準に税率を乗じ、動かさない登記は定額です
所有権の保存・移転、担保権の設定、用益権の設定のように権利の価値が登記に表れる登記は、不動産の価額や債権金額などの課税標準に税率を乗じて税額を出します。「抵当権の設定の登記の登録免許税の課税標準は、債権金額である」という肢は正しい肢です。変更・更正・抹消・回復や登記名義人の氏名住所の変更は、原則として不動産1個につき1000円の定額になります。ただし抵当権の債権額や根抵当権の極度額を増やす変更・更正は、増加部分に設定と同じ率で課税されます。抵当権の登記を回復する登記も定額で、「債権額を 1000 万円とする抵当権の設定の登記を回復する登記の登録免許税の額は、4 万円である」という肢は誤りです。所有権の回復も同じで、「所有権の登記を回復する登記の登録免許税は,不動産 1 個につき 1000 円である」という肢は正しい肢とされています。
定額の登記で上限があるのは抹消だけです
抹消の登記は不動産1個につき1000円ですが、一つの申請情報で20個を超える不動産について申請するときは2万円が上限です。変更や更正の登記にはこの上限がなく、不動産の個数分がそのままかかります。「同一の申請情報により 20 個を超える不動産についてする錯誤による所有権の登記名義人の住所の更正の登記の登録免許税の額は, 2 万円である」という肢は誤りで、同じ趣旨の肢がもう一度出ても誤りです。抹消だけの特則だと覚えると、住所の変更や抵当権の変更に上限を及ぼす肢に引っかかりません。
変更と更正を一つの申請情報でしても不動産1個につき1000円です
登記名義人の住所が誤って登記され、その後に住所の変更もあったときは、更正の登記と変更の登記を一つの申請情報で申請できます。登記実務では、この場合の登録免許税は二つ分ではなく、不動産1個につき1000円と扱われています。「一の申請情報により当該登記名義人の住所の更正の登記と住所の変更の登記とを同時に申請するときの登録免許税の額は、不動産の個数 1個につき 2000 円である」という肢は誤りです。抵当権の変更も定額で、「債権者更改による新債務担保を登記原因とする抵当権の変更の登記の登録免許税は,2 万円である」という肢は誤りです。
地役権は承役地1個につき1500円で、変更は1000円です
地役権の設定の登記は、不動産の価額ではなく承役地の個数で定額になり、承役地1個につき1500円と定まっています。承役地が2筆なら3000円になるので、「乙土地及び丙土地を承役地とする地役権の設定の登記を一の申請情報により申請した場合の登録免許税の額は、1500 円である」という肢は誤りです。地役権の設定の範囲を変える登記は変更の登記なので1000円で、「承役地である土地 1 筆につき 1500 円である」という肢は誤りです。設定は1500円、変更は1000円という二つの定額を対で覚えると迷いません。
税額と課税標準を申請情報に書き、納めなければ却下されます
不動産登記規則189条1項により、登録免許税額は申請情報の内容で、課税標準に税率を乗じる登記では課税標準の金額も書きます。免除されているときは免除の根拠条項を、軽減されているときは税額に加えて軽減の根拠条項を書く決まりです。登記官が課税標準の金額を相当でないと認めたときは、規則190条により認定した金額を申請人に告知し、申請人は差額を納付する旨を申請情報に追加します。納付がないか不足したまま補正されないと、不動産登記法25条12号により申請は却下の扱いです。
不動産登記法 第25条第1項第12号登録免許税を納付しないとき。
試験ではこう問われる
- 抵当権の設定の登記の課税標準は何か(債権金額)
- 抵当権や所有権の回復の登記の登録免許税はいくらか(不動産1個につき1000円の定額)
- 住所の更正の登記で20個を超える不動産に2万円の上限はあるか(ない。上限は抹消だけ)
- 住所の更正と変更を一つの申請情報でするといくらか(不動産1個につき1000円)
- 地役権の設定と設定の範囲の変更の登録免許税はいくらか(設定は承役地1個1500円、変更は1000円)
この用語が問われた肢
債権額を 1000 万円とする抵当権の設定の登記を回復する登記の登録免許税の額は、4 万円である。
同一の申請情報により 20 個を超える不動産についてする錯誤による所有権の登記名義人の住所の更正の登記の登録免許税の額は, 2 万円である。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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