共同抵当と共同担保目録きょうどうていとうときょうどうたんぽもくろく
同じ債権を担保するために複数の不動産に設定する抵当権が共同抵当で、登記官が共同担保目録を作って束ねます。追加設定のときの添付情報と登録免許税、合筆や分筆との関係が肢の軸です。
共同抵当は、一つの債権を担保するために二つ以上の不動産に抵当権を設定することです。土地と建物をまとめて担保に取る住宅ローンが典型で、どの不動産からどれだけ回収するかは民法392条の割付けで調整されます。登記では、複数の不動産を目的とする担保権の設定を申請したとき、登記官が共同担保目録を作成し、各不動産の登記記録に目録の記号と番号を記録します。既に設定した抵当権と同じ債権のために後から別の不動産を加えることを追加設定といい、登記所が違っても目録でつながります。肢では、追加設定の添付情報と税額、目録を誰が作るか、合筆や分筆との関係が問われます。
不動産登記法 第83条第2項登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。

共同担保目録は登記官が作成します
申請人が目録を作って添付するのではなく、二つ以上の不動産に関する権利を目的とする担保権の登記を申請したとき、登記官が職権で共同担保目録を作ります。目録には各不動産の表示と、担保権の登記の順位番号が記録され、登記事項証明書の請求で目録の証明を求めれば目録の内容も証明されます。登記所が異なる不動産にまたがる場合も、それぞれの登記所で目録が作られ、記号と番号で同じ担保権であることが分かるようになっています。
追加設定は前の登記の証明書を添えれば定額課税です
既に抵当権の設定の登記をした債権のために、別の不動産に追加で抵当権を設定するときは、他の登記所の管轄なら前の登記に関する登記事項証明書を添付情報として提供します。これを提供して申請すれば、登録免許税は債権額の1000分の4ではなく不動産1個につき1,500円の定額になります。同じ登記所の管轄内なら証明書の提供は要らず、申請情報に前の登記を特定する事項を書けば足ります。追加設定の申請では、既登記の利息の定めを先に変更しておく必要はありません。
追加設定の前提として住所変更の登記は要りません
共同担保として追加設定するとき、既に登記されている抵当権者や債務者の住所が行政区画の変更で変わっていても、前提として住所の変更の登記をする必要はありません。「Bの住所について地番変更を伴わない行政区画の変更がされた場合において、乙土地について甲土地と共同根抵当とする根抵当権の設定の登記を申請するときは、その前提として、甲土地についてBの住所の変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。地番の変更を伴わない行政区画の変更は、登記記録上の住所について変更の登記があったものとみなされるので、申請人が変更の登記をする必要がないからです。
合筆した土地への設定は合筆前の登記識別情報でも申請できます
甲土地を乙土地に合筆した後、乙土地に抵当権を設定する場面を考えます。合筆の登記で通知された登記識別情報の代わりに、合筆前の甲土地と乙土地についてそれぞれ通知されていた登記識別情報を提供することができます。「当該合筆の登記の際にAに対して通知された登記識別情報に代えて、当該合筆の登記がされる前の甲土地及び乙土地についてAに対してそれぞれ通知された登記識別情報を提供することができる」という肢は正しい肢です。合筆前の各土地の名義人として通知を受けた情報は、合筆後も本人確認の役目を果たすからです。
不動産登記規則 第166条(共同担保目録の作成)
登記官は、二以上の不動産に関する権利を目的とする担保権の保存又は設定の登記の申請があった場合において、当該申請に基づく登記をするとき(第百六十八条第二項に規定する場合を除く。)は、次条に定めるところにより共同担保目録を作成し、当該担保権の登記の末尾に共同担保目録の記号及び目録番号を記録しなければならない。
登記官は、前項の申請が書面申請である場合には、当該申請書(申請情報の全部を記録した磁気ディスクを除く。)に共同担保目録の記号及び目録番号を記載しなければならない。
試験ではこう問われる
- 共同担保目録を作るのは申請人か登記官か(登記官)
- 追加設定で前の登記の登記事項証明書を添えたときの登録免許税はいくらか(不動産1個につき1,500円)
- 地番変更を伴わない行政区画の変更があるとき追加設定の前提として住所変更登記は要るか(要らない。変更の登記があったものとみなされる)
- 合筆後の土地に設定するとき合筆前の登記識別情報を使えるか(使える)
- 共同担保の設定で登記原因の日付が違っても一の申請情報にできるか(できる)
この用語が問われた肢
甲土地に抵当権の設定の登記がされた後,登記された利息について利率の引下げがあり,その後に同一の債権のために乙建物に抵当権の追加設定の登記を行う場合には,その前提として,甲土地に設定された抵当権について利息に関する定めの変更の登記の申請をしなければならない。
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