相続を証する情報そうぞくをしょうするじょうほう
相続があったことと相続人が誰かを示す、戸籍・除籍・改製原戸籍などの公務員が職務上作成した情報です。どこまで揃えるか、3か月の制限が及ぶか、何で代えられるかが肢で突かれます。
相続を証する情報は、相続を原因とする登記の登記原因証明情報の中核で、被相続人の死亡、相続人の範囲、相続人が生存していることを示す戸籍関係の書面一式です。法定相続分や遺産分割による登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍を集めて相続人を確定し、各相続人の現在の戸籍を添えます。登記原因証明情報として出す書面なので、作成後3か月以内という制限はありません。同じ登記原因証明情報の一部である遺産分割協議書の印鑑証明書にも、この制限はありません。法定相続情報一覧図の写しで代えることもできます。
不動産登記令 第7条第1項第5号権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる情報

出生から死亡までの戸籍で相続人の範囲を確定します
誰が相続人かは、被相続人に他に子がいないか、認知や養子縁組がないかを、生まれてから亡くなるまでの戸籍をつないで確かめます。戸籍の一部が滅失していて謄本が出せないときは、残っている戸籍に、除籍等の謄本を交付できない旨の市町村長の証明書を添えれば足ります。「除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村長の証明書を添付したときは、「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書の添付を要しない」という肢は正しい肢です。かつて求められていた相続人全員の証明書は、今の実務では要りません。被相続人の登記記録上の住所と本籍が違うときは、住民票の除票や戸籍の附票で同一人であることをつなぎます。
戸籍には作成後3か月以内の制限が及びません
作成後3か月以内という制限は、登記義務者の印鑑証明書や、会社の代表者の資格を証する情報、代理権限を証する戸籍などにかかるもので、登記原因証明情報としての戸籍にはかかりません。「登記原因を証する情報として戸籍謄本を添付するときは、当該戸籍謄本は、作成後3か月以内のものであることを要しない」という肢は正しい肢です。同じ戸籍でも、親権者が未成年者を代理するときの代理権限証明情報として出すなら3か月以内のものが要り、「作成後3か月以内のものであることを要しない」という肢は誤りです。何のために出す戸籍かで期限が変わります。
法定相続情報一覧図の写しで戸籍一式に代えられます
登記所が認証した法定相続情報一覧図の写しは、被相続人と相続人の関係を示す戸籍一式に代えて提供できます。廃除された相続人を除いた一覧図が作られていれば、廃除の記載のある戸籍も省略できます。「相続人をCのみとする被相続人Aの一覧図の写しを提供したときは、Bが廃除された旨の記載がされていることを証する戸籍の全部事項証明書の提供を省略することができる」という肢は正しい肢です。令和6年4月1日からは、写しの代わりに法定相続情報番号を申請情報に記載する方法も認められています。相続放棄は一覧図に表れないので、放棄の証明は別に要ります。
審判書の記載で足りる場面では戸籍を出しません
相続財産清算人の選任の審判書に、相続人不存在による選任であることと被相続人の死亡年月日が書かれていれば、相続財産法人への氏名変更登記に戸籍は要りません。「その添付情報として、Aの相続を証する戸籍謄本を提供することは要しない」という肢は正しい肢です。相続を証する情報は「相続があったことと相続人が誰か」を示すためのものなので、審判書がその役割を果たしていれば重ねて出さない、という整理です。同じ理由で、特定財産承継遺言による登記では、被相続人の死亡と取得者が相続人であることが分かる戸籍で足り、出生から死亡までをつなぐ必要はありません。
不動産登記規則 第247条第1項表題部所有者、登記名義人又はその他の者について相続が開始した場合において、当該相続に起因する登記その他の手続のために必要があるときは、その相続人(第三項第二号に掲げる書面の記載により確認することができる者に限る。以下本条において同じ。)又は当該相続人の地位を相続により承継した者は、被相続人の本籍地若しくは最後の住所地、申出人の住所地又は被相続人を表題部所有者若しくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対し、法定相続情報(次の各号に掲げる情報をいう。以下同じ。)を記載した書面(以下「法定相続情報一覧図」という。)の保管及び法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をすることができる。
一 被相続人の氏名、生年月日、最後の住所及び死亡の年月日
二 相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日及び被相続人との続柄
試験ではこう問われる
- 戸籍の一部が滅失しているとき、相続人全員の「他に相続人はない」旨の証明書が要るか(要らない。市町村長の証明書で足りる)
- 登記原因証明情報としての戸籍に作成後3か月以内の制限があるか(無い)
- 代理権限証明情報としての戸籍に3か月の制限があるか(ある)
- 廃除を反映した法定相続情報一覧図の写しで、廃除の記載のある戸籍を省略できるか(できる)
この用語が問われた肢
相続を原因とする所有権の移転の登記の申請をするに際して,相続があったことを証する除籍又は改製原戸籍の一部が滅失していることにより,その謄本を添付することができない場合において,戸籍及び残存する除籍等の謄本に加え,除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村長の証明書を添付したときは,「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書の添付を要しない。
相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、登記原因を証する情報として戸籍謄本を添付するときは、当該戸籍謄本は、作成後 3 か月以内のものであることを要しない。
親権者が未成年者を代理して不動産登記の申請をする場合において、当該親権者の代理権限を証する情報として戸籍に記載した事項に関する証明書を提出するときは、当該証明書は、作成後 3 か月以内のものであることを要しない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。