法定相続情報一覧図ほうていそうぞくじょうほういちらんず
登記所が戸籍一式を確認して認証した相続関係の一覧図で、その写しを戸籍謄本等に代えて相続登記に提供できます。何を代えられて何を代えられないかが肢で突かれます。
法定相続情報一覧図は、相続人が被相続人の戸籍一式と相続関係を図にした書面を登記所に提出し、登記官が内容を確認して認証文を付した写しを交付する制度です。平成29年5月に始まり、平成29年4月17日民二第292号通達が登記実務の取扱いを定めています。登記のほか預貯金の払戻しや保険金請求でも使え、戸籍の束を機関ごとに集め直す負担を一覧図の写し1枚に畳むのが狙いです。令和6年4月1日からは、写しの代わりに11桁の法定相続情報番号を申請情報に記載する方法も認められました。一覧図で代えられる書面と代えられない書面の線引きが、肢の中心です。
不動産登記規則 第247条第1項表題部所有者、登記名義人又はその他の者について相続が開始した場合において、当該相続に起因する登記その他の手続のために必要があるときは、その相続人(第三項第二号に掲げる書面の記載により確認することができる者に限る。以下本条において同じ。)又は当該相続人の地位を相続により承継した者は、被相続人の本籍地若しくは最後の住所地、申出人の住所地又は被相続人を表題部所有者若しくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対し、法定相続情報(次の各号に掲げる情報をいう。以下同じ。)を記載した書面(以下「法定相続情報一覧図」という。)の保管及び法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をすることができる。
一 被相続人の氏名、生年月日、最後の住所及び死亡の年月日
二 相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日及び被相続人との続柄

写しは相続を証する戸籍一式に代えられます
相続登記で登記原因証明情報の一部として提供する戸籍・除籍の謄本は、法定相続情報一覧図の写しで代えられます。令和6年4月1日以降は、写しを提供する代わりに法定相続情報番号を申請情報に記載する方法でもよく、登記官がその番号で法定相続情報を確認できるときに限って戸籍の提供を省略できます。平成31年の出題で「一覧図の写しに記載された法定相続情報番号を添付情報として提供すれば」足りるとする肢は誤りとされました。当時は写しそのものが要ったからで、現在は番号の提供で足ります。出題年によって答えが変わる肢です。
相続人の住所付きなら住所証明情報にも代えられます
一覧図に相続人の住所が記載されている場合、相続登記の申請でその写しを提供すれば、登記名義人になる相続人の住所を証する市町村長が職務上作成した情報の提供を省略できます。「B及びCの住所が記載されている被相続人Aの一覧図の写しを提供したときは、B及びCの住所を証する情報の提供を省略することができる」という肢は正しい肢です。住所の記載は任意なので、記載のない一覧図では住民票の写しなどが別に要ります。表題部所有者の相続人が所有権保存登記を申請するときも同じ扱いです。
放棄と遺産分割は一覧図に現れず、別の書面が要ります
一覧図は戸籍から読み取れる法定相続人の関係を示すだけなので、相続放棄の事実は載りません。「一覧図の写しを提供したときは、Bの相続放棄に係る相続放棄申述受理証明書の提供を省略することができる」という肢は誤りです。推定相続人の廃除は戸籍に記載されるため、廃除された者を除いた一覧図が作られます。廃除された者を除く一覧図を提供するときに、廃除の記載のある戸籍の全部事項証明書を別に提供する必要はないとする肢は正しい肢です。遺産分割協議書や遺言書も、一覧図とは別に提供します。
数次相続は1枚にまとめられません
一覧図は被相続人1人につき1つ作るので、相続が重なった数次相続を1枚の一覧図にまとめることはできません。被相続人ごとに一覧図を作り、それぞれの写しを提供します。相続人の一人が既に死亡している場合、その人の氏名は一覧図に載せられますが、その人の相続人までは載りません。中間省略の相続登記を申請するときは、中間の被相続人についても一覧図か戸籍が要ります。
失効の申出にも使え、つづり込み帳の保存は5年です
一覧図の写しは、相続人が被相続人の登記識別情報の失効の申出をする場合の相続を証する情報としても使えます。「一覧図の写しを提供して失効の申出をすることはできない」という肢は誤りです。一覧図つづり込み帳の保存期間は申出の翌年から5年で、「保管の申出の日から10年である」とする肢は誤りです。保存期間内は、申出人は何度でも写しの再交付を受けられます。
不動産登記規則 第37条第1項表題部所有者又は登記名義人の相続人が登記の申請をする場合において、その相続に関して法定相続情報一覧図の写し(第二百四十七条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写しをいう。以下この条及び第百五十八条の二十において同じ。)又は法定相続情報番号(十一桁の番号であって、当該法定相続情報一覧図を識別するために登記官が付したものをいう。以下この条及び第百五十八条の二十において同じ。)を提供したときは、当該法定相続情報一覧図の写し又は当該法定相続情報番号の提供をもって、相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。ただし、法定相続情報番号を提供する場合にあっては、登記官が法定相続情報(第二百四十七条第一項に規定する法定相続情報をいう。次項及び第百五十八条の二十において同じ。)を確認することができるときに限る。
試験ではこう問われる
- 一覧図の写しで戸籍謄本等を省略できるか(できる。令和6年4月1日からは番号でも可)
- 住所が記載された一覧図の写しで住所証明情報を省略できるか(できる)
- 一覧図の写しで相続放棄申述受理証明書を省略できるか(できない)
- 廃除された者を除いた一覧図を提供するとき、廃除の記載のある戸籍が別に要るか(要らない)
- つづり込み帳の保存期間(申出の翌年から5年)
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