登記事項証明書とうきじこうしょうめいしょ
登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明した書面で、何人も手数料を納めて交付を請求できます。添付情報として要る場面と、会社法人等番号で代えられる場面の線引きが肢で突かれます。
登記事項証明書は、不動産登記法119条1項が定める、登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明した書面です。登記簿が紙だった時代の登記簿謄本や抄本に当たるもので、何人も手数料を納付して登記官に交付を請求できます。同条2項の登記事項要約書は記録の概要を記載した書面で、証明文がない点で証明書と区別されます。申請の添付情報としては、他の登記所の管轄にある不動産を示す場面や、法人の代表者の資格や合併・会社分割の事実を証する場面で登場します。肢で突かれるのは、いつ添付が要り、いつ会社法人等番号や不動産番号で代えられるかの線引きです。
不動産登記法 第119条(登記事項証明書の交付等)
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面の交付を請求することができる。
前二項の手数料の額は、物価の状況、登記事項証明書の交付に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める。
第一項及び第二項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。ただし、法務省令で定める方法で登記事項証明書の交付を請求するときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。
第一項の交付の請求は、法務省令で定める場合を除き、請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもすることができる。
登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

誰でも、どの登記所でも交付を請求できます
登記事項証明書は利害関係の有無を問わず何人も請求でき、手数料は収入印紙か、オンライン請求なら現金で納めます。119条5項により、法務省令で定める場合を除き、不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官にも請求できる定めです。規則196条が定める種類は全部事項証明書、現在事項証明書、何区何番事項証明書、所有者証明書、一棟建物全部事項証明書の五つで、閉鎖した登記記録についても同じ形で交付されます。共同担保目録や信託目録の記載は、請求情報でその旨を求めたときだけ載ります。自然人の住所が公開されると生命や身体に危害が及ぶおそれがあるときは、令和6年4月1日からその者の申出により住所に代わる事項が記載される仕組みです。登記記録を確かめる入口がこの証明書で、申請の前に名義人や乙区の担保権を読むのが実務の出発点です。
他の登記所の管轄にある不動産を示すときに添付します
要役地と承役地の登記所が違う地役権の設定では、承役地の登記所に要役地の登記事項証明書を添えます。「甲土地が他の登記所の管轄に属するときであっても,甲土地の登記事項証明書を提供することを要しない」という肢は誤りです。共同担保の追加設定で前の登記が他の登記所にあるときも、前の登記に関する登記事項証明書を添付します。「当該不動産に係る不動産番号を申請情報の内容としたときは,当該登記事項証明書の提供を省略することができる」という肢は誤りで、不動産番号で省略できるのは申請情報の不動産の表示だけです。
法人の資格や合併の証明は会社法人等番号が先に立ちます
会社法人等番号を有する法人が申請人になるときは番号を提供し、作成後3か月以内の登記事項証明書を提供したときや、電子申請で商業登記の電子証明書を提供したときに番号を省けます。役員変更の登記が完了する前でも「会社法人等番号に代えて当該法人の作成後 1 か月以内の登記事項証明書を提供しなければならない」という肢は誤りで、番号の提供で足ります。代表者が委任の後に辞任し、会社法人等番号だけでは委任当時に代表者であったことを確認できないときは、「登記申請の委任を受けた当時にAが代表者であったことが確認できるB法人の登記事項証明書を提供しなければなりません」という解答が正しい肢です。吸収合併による移転の登記原因証明情報についても、「合併の記載のあるAの登記事項証明書を提供しなければならない」という肢は誤りで、会社法人等番号の提供で代えられます。
会社分割は登記事項証明書だけでは足りません
会社分割を原因とする抵当権の移転では、分割の事実に加えて、その抵当権の被担保債権が承継会社に承継されたことを証する必要があります。承継会社の登記事項証明書を提供すれば「分割契約書を提供することを要しない」という肢は誤りです。元本確定後の根抵当権の移転でも、「当該会社分割の記載のあるB株式会社の登記事項証明書を提供すれば足りる」という肢は誤りで、分割契約書や分割計画書も添付情報です。合併では権利義務が包括的に移るのに対し、分割では契約や計画で承継する財産が決まるという違いが添付情報の違いになります。
不動産登記規則 第196条(登記事項証明書の種類等)
登記事項証明書の記載事項は、次の各号の種類の区分に応じ、当該各号に掲げる事項とする。
一 全部事項証明書 登記記録(閉鎖登記記録を除く。以下この項において同じ。)に記録されている事項の全部
二 現在事項証明書 登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの
三 何区何番事項証明書 権利部の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分
四 所有者証明書 登記記録に記録されている現在の所有権の登記名義人の氏名又は名称、住所及び法人識別事項並びに当該登記名義人が二人以上であるときは当該登記名義人ごとの持分
五 一棟建物全部事項証明書 一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項の全部
六 一棟建物現在事項証明書 一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの
前項第一号、第三号及び第五号の規定は、閉鎖登記記録に係る登記事項証明書の記載事項について準用する。
試験ではこう問われる
- 登記事項証明書は誰が、どこで請求できるか(何人も。他の登記所の登記官にも請求できる)
- 他の登記所の管轄にある要役地や前の登記を示すには何が要るか(登記事項証明書。不動産番号では省略できない)
- 法人の代表者の資格は何で証するか(会社法人等番号。登記事項証明書なら作成後3か月以内)
- 合併と会社分割で登記原因証明情報はどう違うか(合併は会社法人等番号で足り、分割は契約書や計画書も要る)
この用語が問われた肢
会社法人等番号を有する法人が役員の変更の登記を申請したが,その登記が完了する前に抵当権の設定の登記を申請する場合は,当該法人の代表者の資格を証する情報として,会社法人等番号に代えて当該法人の作成後 1 か月以内の登記事項証明書を提供しなければならない。
【問】事例を変えて、Aが唯一の代表者である会社法人等番号を有するB法人が所有権の登記名義人である甲土地について、AがB法人を代表して司法書士Cに対してB法人からDへの所有権の移転の登記の申請を委任したが、当該申請前にAがB法人の代表者を辞任し、新しい代表者としてEが就任したとします。この場合において、当該登記申請の添付情報としてB法人の会社法人等番号を提供することとなりますが、それだけではAが代表者であったことが確認できないときは、添付情報として何を提供すべきですか。 登記申請の委任を受けた当時にAが代表者であったことが確認できるB法人の登記事項証明書を提供しなければなりません。
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