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遺産分割調停調書・審判書いさんぶんかつちょうていちょうしょしんぱんしょ

不動産登記 第3章 添付情報と登記原因証明情報 過去問で20肢

家庭裁判所の調停や審判で遺産分割が決まったときに、その調書や審判書を登記原因証明情報として提供して申請する登記です。単独申請できる条項かどうか、代償として渡す財産の登記原因は何かが肢で突かれます。

遺産分割調停調書・審判書は、相続人の協議がまとまらず家庭裁判所の調停や審判で遺産分割が決まったときに、登記原因証明情報として提供する裁判所の書面です。遺産分割の調停調書の記載は確定した審判と同じ効力を持ち、審判は確定によって効力を生じるので、審判書には確定証明書を添えます。相続を原因とする登記なら相続人が単独で申請でき、登記手続を命じる条項があれば、法定相続分の登記の後の持分移転も権利者が単独で申請できます。肢で突かれるのは、単独申請できる条項の範囲と、遺産でない財産を代償として渡す条項の扱いです。

不動産登記法 第63条第1項

第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。

家庭裁判所の調停室で調書が渡され、相続人の一人が登記所へ向かう場面
遺産分割の調停調書や審判書は登記原因証明情報として単独申請に使えます
相続を原因に取得者が単独申請代償の固有財産は贈与で共同申請期限前は単独申請できない

遺産分割の調停調書があれば取得者が相続を原因に単独申請できます

遺産分割で不動産を取得した相続人は、被相続人から直接、相続を登記原因として所有権の移転の登記を単独で申請でき、調停調書や確定した審判書がその登記原因証明情報になります。法定相続分の登記が先にされている場合、調停調書に持分移転の登記手続をする旨の条項があれば、取得者が遺産分割を原因として単独で持分の移転を申請できます。「その調停調書に,C及びDがBに対して甲不動産の持分各4 分の 1 につき遺産分割を原因とする持分移転登記手続をする旨の記載がある場合には,Bは,遺産分割を登記原因として単独でC及びDからBへの持分の移転の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。令和5年3月28日民二第538号通達により、法定相続分の登記の後の遺産分割は、取得者が単独で所有権の更正の登記を申請する形でもできます。

代償で自分の不動産を渡す条項は贈与で共同申請です

相続人が遺産を取得する代わりに自分の固有財産である建物を他の相続人に渡す条項は、遺産の分割ではなく代償財産の譲渡です。登記原因は「遺産分割による贈与」で、登記手続を命じる条項がなければ通常の共同申請になります。「Bは,当該調停調書の正本を提供することにより,乙建物につき,単独で,遺産分割による贈与を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は単独申請の点で誤りです。「B及びCは,当該調停調書の正本を提供して,乙建物について,遺産分割による代償譲渡を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は登記原因の名前が違うので誤りです。

期限付きの給付条項は期限が来るまで単独申請できません

民事調停で「令和3年7月9日限り所有権移転登記手続をする」と定めたときは、期限が到来するまで登記義務の履行期が来ていないので、権利者はその前に単独で申請できません。「Aは,令和 3 年 7 月 2 日に当該調停調書の正本を添付して,単独で,甲土地について所有権の移転の登記の申請をすることができる」という肢は誤りです。確定期限の到来は暦で分かるので執行文は要りませんが、期限の到来そのものは待たなければなりません。

審判書で分かる事実に戸籍を重ねず、破産裁判所の許可書も要りません

相続財産清算人の選任審判書に相続人不存在と死亡年月日が書かれていれば、それを証する戸籍を重ねて提供する必要はありません。遺言執行者の選任審判書を提供するときは遺言者の死亡を証する情報が要らず、「Aの死亡を証する情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢で、審判書と遺言書と死亡を証する情報の三つを要求する解答は誤りです。相続人の破産管財人が当事者になって遺産分割調停が成立したときは、調停調書の正本を提供すれば足り、「Dが遺産分割調停に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。廃除の審判が確定したことは戸籍に記載されるので、廃除の審判書と確定証明書を提供しなければならないとする肢も誤りです。

調書の氏名が登記記録と違えば、義務者の氏名変更の登記を先にします

調停調書の正本で所有権の移転の登記を申請するとき、登記義務者の氏が変わっていて調書と登記記録の氏名が食い違うなら、その前提として登記名義人の氏名の変更の登記を申請します。「氏の変更を証する情報を提供すれば,当該申請をする前提として,Aの氏名の変更の登記を申請する必要はない」という肢は誤りです。判決による登記でも同じで、登記義務者の表示が登記記録と一致していないと、登記官が同一人と判断できないからです。

不動産登記令 第7条第1項第5号

法第六十二条の規定により登記を申請するときは、相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

試験ではこう問われる

  1. 遺産分割の調停調書で法定相続分の登記の後の持分移転を単独申請できるか(登記手続をする旨の条項があればできる)
  2. 代償として自分の建物を渡す条項の登記原因と申請の形は何か(遺産分割による贈与。共同申請)
  3. 期限付きの給付条項で期限前に単独申請できるか(できない)
  4. 遺言執行者の選任審判書を出すとき遺言者の死亡を証する情報は要るか(要らない)
  5. 調書の氏名が登記記録と違うとき氏名変更の登記の前置は要るか(要る)

この用語が問われた肢

R2 問19 ウ正しい

甲不動産について法定相続分による所有権の移転の登記がされた後に,Aの遺産分割に関する調停が成立し,その調停調書に,C及びDがBに対して甲不動産の持分各4 分の 1 につき遺産分割を原因とする持分移転登記手続をする旨の記載がある場合には,Bは,遺産分割を登記原因として単独でC及びDからBへの持分の移転の登記の申請をすることができる。

R3 問18 オ誤り

AとBとの間で「Bは,Aに対し,B所有の甲土地につき,令和 3 年 7 月 9 日限り,令和 3 年 4 月 1 日売買を原因とする所有権移転登記手続をする。」旨を内容とする民事調停が成立した場合において,Aは,令和 3 年 7 月 2 日に当該調停調書の正本を添付して,単独で,甲土地について所有権の移転の登記の申請をすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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