登記の申請の同時性と受付順とうきのしんせいのどうじせいとうけつけじゅん
複数の登記を同時に申請しなければならない場面、同時に申請できる場面、そして同じ不動産への申請を受付番号の順に実行する決まりです。同時申請が義務か任意か、連件で前件の結果が後件にどう及ぶかが肢で突かれます。
登記の申請の同時性は、ある登記を別の登記と同じ時に申請しなければならない、または同じ時に申請できるという決まりです。受付順は、同じ不動産への二以上の権利に関する登記の申請を受付番号の順序で実行するという不動産登記法20条の決まりです。前後が明らかでない申請は同時にされたものとみなされ、同一の受付番号が付きます。同時に出す二つの申請を実務では連件と呼び、前件の登記が完了した状態を前提に後件を審査します。肢で突かれるのは、同時申請が要るのか要らないのか、同時に出した結果として何が変わるのかの二点です。
不動産登記法 第20条(登記の順序)
登記官は、同一の不動産に関し権利に関する登記の申請が二以上あったときは、これらの登記を受付番号の順序に従ってしなければならない。

買戻しの特約の登記は所有権の移転の登記と同時に申請します
買戻しの特約は売買契約と同時にしなければならず、その登記も所有権の移転の登記と同時に申請します。所有権の移転の時期を代金完済時とする合意があるときは、特約の登記の原因日付は契約の日、移転の登記の原因日付は完済の日となり、日付が違っても同時に申請できます。「買戻しの特約の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買契約の締結の日とし、所有権の移転の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買代金全額の支払をした日として、買戻しの特約の登記と所有権の移転の登記とを同時に申請することができる」という肢は正しい肢です。他方で、所有権の移転の仮登記に買戻しの特約の仮登記を付記する場面では、登記実務では同時の申請を求めておらず、「当該買戻しの特約の仮登記と当該所有権の移転の仮登記とを同時に申請しなければならない」という肢は誤りです。
信託の登記は権利の登記と同時に申請し、受託者の持分は要りません
信託による所有権の移転の登記と信託の登記は一の申請情報で同時に申請します。受託者が複数いても信託財産は受託者の合有で、持分の定めがないので申請情報に持分を書きません。「信託の登記と当該信託に係る所有権の移転の登記を同時に申請する場合には、受託者が複数名いるときであっても、受託者ごとの持分を当該所有権の移転の登記の申請情報の内容とすることを要しない」という肢は正しい肢です。同時に出すことが法律で義務づけられた組合せと、便宜のために同時に出す組合せを分けて覚えます。
連件の後件で消える権利でも登記識別情報は通知されます
合併による抵当権の移転の登記と、弁済によるその抵当権の抹消の登記を連件で申請すると、前件で存続会社が抵当権の登記名義人になり、後件でその抵当権が消えます。すぐ消える抵当権であっても、前件の登記で申請人自らが登記名義人になる以上、登記識別情報は通知されます。「B株式会社に対して登記識別情報は通知されない」という肢は誤りです。前件で登記名義人となる者が後件の登記義務者になるときは、不動産登記規則67条により後件の登記識別情報は提供されたものとみなされます。前件の通知を待って後件に提供する必要はありません。
相続の共有登記を一部移転と持分移転に分けられません
被相続人から相続人二人への相続による所有権の移転は、一つの相続という原因で二人が共有者になる登記で、一の申請情報で申請します。一人への所有権の一部移転と、もう一人への持分全部移転とに分けて前後を付けて申請することはできません。「AからBへの相続を原因とする所有権の一部移転の登記と、AからCへの相続を原因とするAの共有持分の全部移転の登記とは、それぞれの登記の前後を明らかにして同時に申請することができる」という肢は誤りです。同時に申請できるかどうかの前に、その登記の形そのものが許されるかを先に見ます。
同時に申請しても添付情報の要否は申請ごとに判断します
共有者の一人から他の二人への持分の移転の登記を同時に申請するとき、受け取る側の住所が登記記録上の住所と一致していても、住所を証する情報の提供は要ります。「B及びCの住所が甲土地の登記記録上の住所と一致するときは,B及びCの住所を証する市町村長が職務上作成した情報を提供することを要しますか」という問いに「提供することを要しません」と答える解答は誤りです。所有権の登記名義人となる者の住所証明情報は、同時申請や既存の登記名義を理由に省けません。住所の更正と変更の登記を一の申請情報で申請するときの登録免許税は、不動産一個につき1,000円とされているので、「不動産の個数 1個につき 2000 円である」という肢は誤りです。
不動産登記法 第19条第2項同一の不動産に関し二以上の申請がされた場合において、その前後が明らかでないときは、これらの申請は、同時にされたものとみなす。
試験ではこう問われる
- 買戻しの特約の登記は所有権の移転の登記と同時に申請しなければならないか(しなければならない。仮登記どうしなら同時でなくてよい)
- 連件の後件で消える抵当権について前件の登記識別情報は通知されるか(通知される)
- 受託者が複数の信託で所有権の移転の登記に持分を書くか(書かない。合有)
- 相続による共有の登記を一部移転と持分全部移転に分けて同時申請できるか(できない)
- 同時申請なら登記記録上の住所と一致する登記名義人の住所証明情報を省けるか(省けない)
この用語が問われた肢
買戻しの特約が付された売買契約が締結され、所有権の移転の時期を後日売買代金の全額を支払ったときとする旨の合意がされた場合には、買戻しの特約の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買契約の締結の日とし、所有権の移転の登記の申請に係る登記原因の日付を当該売買代金全額の支払をした日として、買戻しの特約の登記と所有権の移転の登記とを同時に申請することができる。
信託の登記と当該信託に係る所有権の移転の登記を同時に申請する場合には、受託者が複数名いるときであっても、受託者ごとの持分を当該所有権の移転の登記の申請情報の内容とすることを要しない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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