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登記官の処分と職権抹消とうきかんのしょぶんとしょっけんまっしょう

不動産登記 第13章 登記手続の流れと登記官の処分 過去問で6肢

登記官が申請に対してする受理・却下などの判断と、申請によらずに登記官が自ら登記を抹消する場面の総称です。どの場面で職権抹消が起き、どの場面では申請が要るかが肢で突かれます。

登記官の処分は、申請を受理して登記を実行する、却下する、職権で更正や抹消をするといった、登記官が登記について下す判断の総称です。処分に不服があれば審査請求と取消しの訴えで争えます。職権抹消は、申請がないのに登記官が自ら登記を抹消する場面です。不動産登記法71条のほか、仮登記に基づく本登記の109条、敷地権の登記や仮処分の手続など、法令が個別に定めるときに限って起きます。肢で突かれるのは、職権で消える登記と申請して消す登記の線引きです。

不動産登記法 第71条

(職権による登記の抹消)
登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者及び登記義務者並びに登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならない。
登記官は、通知を受けるべき者の住所又は居所が知れないときは、法務省令で定めるところにより、前項の通知に代えて、通知をすべき内容を公告しなければならない。
登記官は、第一項の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならない。
登記官は、第一項の異議を述べた者がないとき、又は前項の規定により当該異議を却下したときは、職権で、第一項に規定する登記を抹消しなければならない。

職員が一人で大きな帳簿を開き、定規を当てて一行に線を引いている。カウンターの外で司法書士と夫婦が申請書を持たずに見ている
職権抹消は法令が個別に認めた場面に限られ、承諾書があっても登記官が代わりに消すわけではありません
仮登記本登記の中間登記は職権抹消判決による登記では職権抹消されない処分は審査請求と取消訴訟で争う

処分に不服があれば審査請求も取消しの訴えもできます

登記官の処分には行政手続法の第2章と第3章が適用されず、不服の申立ては不動産登記法156条以下の審査請求によります。「登記官の処分についての審査請求は,登記官を経由してしなければならない」という肢は正しい肢です。審査請求を経なくても処分の取消しの訴えを提起でき、「登記官の処分に不服のある者は,審査請求とは別に,処分の取消しの訴えを提起することができる」という肢も正しい肢です。登記官の処分は申請の受付から完了までの各段階にあり、却下の決定が典型です。

仮登記に基づく本登記では中間の登記が職権で抹消されます

所有権に関する仮登記に基づく本登記をするときは、登記上の利害関係を有する第三者の承諾を得て申請し、登記官はその第三者の登記を職権で抹消します。仮登記の登記名義人自身が本登記までの間に登記を受けていたときは、自分の登記について自分の承諾を証する情報は要らず、やはり職権で抹消されます。「Aを登記名義人とする根抵当権の設定の登記がされた後,当該仮登記に基づく本登記を申請するときは,根抵当権の登記名義人であるAの承諾を証する情報を提供しなくても,当該根抵当権の設定の登記は登記官の職権で抹消される」という肢は正しい肢です。承諾を証する情報を求める趣旨は第三者の保護なので、本人には要りません。

敷地権の登記では土地の抵当権が職権で抹消されることがあります

区分建物とその敷地の持分に同じ内容の抵当権の設定の登記がある状態で敷地権である旨の登記をすると、建物と土地の権利が一体化し、土地の抵当権の登記は建物の登記で表せる重複になります。登記の目的・申請の受付の年月日と受付番号・登記原因とその日付が同一であるときは、登記官が土地の持分についてされた抵当権の登記を職権で抹消します。「当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は,登記官が職権で抹消しなければならない」という肢は正しい肢です。要件は登記の目的・受付の年月日・受付番号・登記原因とその日付がすべて同一であることで、一つでも違えば別の抵当権として残ります。

判決による登記や競売の売却では、中間の登記は職権で消えません

判決による所有権の移転の登記で、売主から買主への登記の間に第三者の抵当権の登記があっても、登記官はそれを職権で抹消しません。「EがCの相続人であることを証する情報及びCの抵当権の抹消についてEの承諾を証する情報を提供すれば,Cの抵当権の設定の登記は,登記官の職権で抹消されます」という解答は誤りで、抵当権を消すには抹消の登記を申請します。担保権の実行による売却で所有権の移転の登記がされても、破産手続開始の登記は裁判所書記官の嘱託で抹消するもので、「当該破産手続開始の登記は登記官の職権で抹消される」という肢は誤りです。職権抹消は法令が個別に認めた場面に限られ、承諾書があるからといって登記官が代わりに消すわけではありません。

不動産登記法 第153条

(行政手続法の適用除外)
登記官の処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。

試験ではこう問われる

  1. 登記官の処分を争うには審査請求を先にしなければならないか(しなくてよい。取消しの訴えを別に提起できる)
  2. 仮登記の名義人自身が受けた中間の登記は、本登記で承諾書なしに職権抹消されるか(される)
  3. 敷地権の登記で土地の抵当権が職権抹消される要件は何か(目的・受付年月日と受付番号・原因と日付の同一)
  4. 判決による移転の登記で中間の抵当権は承諾書があれば職権抹消されるか(されない。抹消を申請する)
  5. 競売の売却による移転の登記で破産手続開始の登記は職権抹消されるか(されない。書記官の嘱託)

この用語が問われた肢

R2 問25 イ正しい

登記官の処分についての審査請求は,登記官を経由してしなければならない。

R2 問25 ア正しい

登記官の処分に不服のある者は,審査請求とは別に,処分の取消しの訴えを提起することができる。

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