配偶者居住権の登記はいぐうしゃきょじゅうけんのとうき
被相続人の建物に配偶者が無償で住み続ける権利を、建物の乙区に公示する登記です。存続期間が必要的な登記事項であること、前提登記と申請人、原因日付、変更・抹消の形、登録免許税の率が肢で突かれます。
配偶者居住権の登記は、被相続人の建物に配偶者が無償で住み続ける権利を、建物の乙区に公示する登記です。令和2年4月1日に施行された民法1028条以下の権利で、居住建物の所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負います。登記事項は不動産登記法81条の2が定め、存続期間を必ず記載し、第三者に使用収益をさせることを許す定めがあればその定めも記載します。肢で突かれるのは、前提となる登記と申請人、登記原因の日付、変更や抹消の形、登録免許税の率です。
不動産登記法 第81条の2(配偶者居住権の登記の登記事項)
配偶者居住権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

存続期間は必要的な登記事項で、終身が原則です
配偶者居住権の存続期間は配偶者の終身の間が原則で、遺産分割や遺言、家庭裁判所の審判で別段の定めをしたときはその期間です。登記では存続期間が必要的な事項なので、終身のときも「存続期間 配偶者居住権者の死亡時まで」のように申請情報に記載します。期間を定めたときは「年月日から何年又は配偶者居住権者の死亡時までのうち、いずれか短い期間」のように書き、その日が来れば権利は消滅します。第三者に居住建物の使用や収益をさせることを許す定めがあるときは、「特約 第三者に居住建物の使用又は収益をさせることができる」と記載します。
建物の所有者と配偶者の共同申請で、相続登記が前提です
申請人は、配偶者居住権を取得した配偶者が登記権利者、居住建物の所有者が登記義務者で、共同申請です。被相続人名義のままでは義務者が存在しないので、先に相続や遺贈による所有権の移転の登記をします。「その前提として当該建物について被相続人から承継人への所有権の移転の登記をすることを要しない」という肢は誤りです。所有権の移転と配偶者居住権の設定を連件で出すのが通常で、2件目の登記義務者は1件目で所有者になった相続人や受遺者です。添付情報は登記原因証明情報、所有者の登記識別情報と印鑑証明書、代理権限証明情報で、配偶者の住所証明情報は要りません。
登記原因は遺産分割・遺贈・死因贈与で、日付が違います
登記原因証明情報は、遺産分割なら協議書や調停調書、遺贈や死因贈与なら遺言書や贈与契約書です。遺産分割による設定の日付は協議が成立した日で、「被相続人の死亡の日を登記原因の日付としなければならない」という肢は誤りです。遺贈や死因贈与では被相続人の死亡の日が原因日付になります。配偶者であることは登記原因証明情報の中で示され、「A及びBが婚姻していたことを証する市町村長が職務上作成した情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。死因贈与による取得は贈与者の生前に仮登記ができ、「贈与者の生存中に当該配偶者居住権の設定の仮登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。
変更は短縮だけ、抹消は死亡なら単独で申請できます
存続期間を短くする変更の登記はできますが、延長や更新はできません。「当該短縮を内容とする配偶者居住権の変更の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。配偶者居住権は譲渡できないので移転の登記はなく、「配偶者居住権者の死亡によって配偶者居住権が消滅したときは,登記権利者は,単独で配偶者居住権の登記の抹消を申請することができる」という肢は正しい肢です。死亡による消滅は不動産登記法69条の単独抹消の場面で、「A及びCが共同してしなければならない」という肢は誤りです。存続期間の満了や放棄、合意解除による抹消は、所有者と配偶者の共同申請になります。
登録免許税は設定が1000分の2、仮登記が1000分の1です
配偶者居住権の設定の登記の登録免許税は、建物の価額の1000分の2です。地上権や賃借権の設定の1000分の10や、相続による所有権移転の1000分の4と違うので、「不動産の価額に 1000 分の 4 を乗じた額である」という肢は誤りです。設定の仮登記は本登記の半分の1000分の1で、「不動産の価額に1000分の 1 を乗じた額である」という肢は正しい肢とされています。抹消は不動産1個につき1000円です。
民法 第1032条(配偶者による使用及び収益)
配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
配偶者居住権は、譲渡することができない。
配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。
試験ではこう問われる
- 配偶者居住権の登記で必ず書く事項は何か(存続期間。終身なら死亡時までと書く)
- 被相続人名義のまま配偶者居住権を設定できるか(できない。相続登記が前提)
- 遺産分割による設定の原因日付はいつか(協議成立日。遺贈・死因贈与は死亡日)
- 存続期間の短縮・延長の変更登記はできるか(短縮はできる。延長はできない)
- 配偶者の死亡による抹消は単独申請か(所有者の単独申請)
この用語が問われた肢
被相続人が所有権の登記名義人である建物について配偶者居住権の設定の登記の申請をするときは,その前提として当該建物について被相続人から承継人への所有権の移転の登記をすることを要しない。
登記原因を遺産分割として配偶者居住権の設定の登記を申請する場合には,被相続人の死亡の日を登記原因の日付としなければならない。
Aを所有権の登記名義人とする甲建物について、Aの配偶者であるBが、Aが死亡した後、甲建物に配偶者居住権の設定の登記を申請する場合には、登記原因証明情報として、A及びBが婚姻していたことを証する市町村長が職務上作成した情報を提供しなければならない。
配偶者居住権の設定を内容とする死因贈与契約を締結したときは,贈与者の生存中に当該配偶者居住権の設定の仮登記を申請することができる。
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