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遺産分割協議書と印鑑証明書いさんぶんかつきょうぎしょといんかんしょうめいしょ

不動産登記 第5章 相続・遺贈の登記 過去問で20肢

法定相続分と異なる内容で相続登記を申請するときに、登記原因証明情報の一部として提供する遺産分割協議書と、その真正を担保する相続人全員の印鑑証明書です。印鑑証明書に3か月の期限がない点が突かれます。

遺産分割協議書は、共同相続人全員が遺産の分け方を合意したことを記した書面で、法定相続分と違う持分で相続登記を申請するときに登記原因証明情報の一部になります。協議が本当に全員の合意によるものかを登記官が確かめる手段として、協議書に押した相続人の印鑑証明書を併せて提供します。申請人となる相続人自身の分は省略できます。昭和30年4月23日民事甲第742号回答がこの取扱いを示し、遺産分割の効力は相続開始の時にさかのぼるので、被相続人の名義から直接申請する相続登記の登記原因は「遺産分割」ではなく「相続」のままです。法定相続分で登記した後の遺産分割は別項の更正登記で扱い、肢では印鑑証明書の期限、協議への参加者、代償財産の登記原因が問われます。

民法 第907条第1項

共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

家族が協議書に実印を押し、脇の印鑑証明書の砂時計にバツ印がある
遺産分割協議書に添える印鑑証明書には3か月の期限がありません
全員の実印印鑑証明書に期限なし原因は相続のまま

協議書の印鑑証明書には3か月の期限がありません

登記義務者が申請書や委任状に押す印鑑証明書には、作成後3か月以内という期限があります。しかし遺産分割協議書に添える印鑑証明書は、協議書に押された印が本人のものであることを示すために登記原因証明情報の一部として提供するものなので、期限の適用がありません。相続開始前に発行された印鑑証明書でも差し支えないとされています。3か月の制限と混同させる肢が定番なので、どの印鑑証明書の話かを見分けます。協議書の作成日と印鑑証明書の発行日の前後も問われません。

協議書は全員の合意を示せれば形式を問いません

協議書は1通である必要はなく、「Dが甲土地を取得する旨の記載のあるBおよびC間の証明書と、同旨の記載のあるDの証明書の2通を提供して」相続登記を申請できるとする肢は正しい肢です。相続人から委任を受けた代理人が協議に参加し、代理人として署名押印した協議書でも、登記原因証明情報の一部として提供できます。相続開始後に相続人の一人が破産手続開始の決定を受け、相続分が破産財団に属しているときは、その破産管財人が協議に参加し、裁判所の許可を証する情報を添えて登記を申請します。遺産分割調停が成立していれば、調停調書が協議書と印鑑証明書の代わりになります。

代償として固有の財産を渡すときは登記原因が変わります

遺産分割で相続人の一人が遺産を取得する代わりに、自分の固有財産である不動産を他の相続人に渡すことがあります。固有財産の移転は遺産の分割そのものではないので、「乙土地についてBからCへの所有権の移転の登記を申請するときの登記原因は、遺産分割である」という肢は誤りです。登記原因は遺産分割による贈与などとなり、調停調書にその旨の条項があっても、判決による登記のようには扱われず、単独申請はできません。遺産に属する不動産の分割と、固有財産による代償を分けて考えます。

遺贈の登記では協議書ではなく遺言書が原因証明情報です

遺産分割は相続人と、相続人と同一の権利義務を持つ包括受遺者の間の話し合いですが、遺言で第三者に特定の不動産が遺贈されているときは、遺言書そのものが登記原因証明情報の一部になり、登記原因は「遺贈」です。「Bに甲土地を遺贈する旨の記載があるAの遺言書を登記原因証明情報の一部として提供し、登記原因を遺贈とする」肢は正しい肢です。遺言があるのに協議書で相続登記をしようとする肢や、逆に遺贈なのに相続を原因とする肢が作られます。遺言と協議が並ぶ事例では、どちらが優先するかを先に決めます。

協議後に相続人が変わっても、協議書はやり直しになりません

遺産分割協議が成立した後で、被相続人の子として認知された人が現れることがあります。認知の遡及効は既にされた遺産分割の効力を妨げず、認知された子は価額の支払いを請求できるだけです。したがって、協議書の作成日が認知の裁判の確定より前であっても、その協議書に基づく相続登記は申請できます。協議のやり直しや協議書の再作成を要求する肢は誤りの方向で作られます。逆に、協議に参加すべき相続人を一人でも欠いた協議書は、最初から無効です。

民法 第909条第1項

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

試験ではこう問われる

  1. 遺産分割協議書に添える印鑑証明書に作成後3か月以内の制限があるか(ない)
  2. 協議書が複数通に分かれていても相続登記を申請できるか(できる)
  3. 代理人が相続人に代わって協議に参加し署名押印した協議書で申請できるか(できる)
  4. 代償として固有財産を渡す場合の登記原因は遺産分割か(違う)
  5. 遺贈の登記の登記原因証明情報は何か(遺言書)
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