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配偶者居住権はいぐうしゃきょじゅうけん

不動産登記 第5章 相続・遺贈の登記 過去問で9肢

残された配偶者が、被相続人の建物に無償で住み続けられる権利です。設定登記の申請人と前提登記、登記原因と日付、登録免許税の率が肢で突かれます。

配偶者居住権は、令和2年4月1日施行の相続法改正で新設された権利で、被相続人の配偶者が、相続開始時に住んでいた被相続人所有の建物を、原則として終身、無償で使用収益できる法定の権利です。遺産分割、遺贈、死因贈与のいずれかで取得し、建物の所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負います。登記は建物の権利部乙区に「配偶者居住権設定」として入り、存続期間などが登記事項です。肢で突かれるのは、申請人と前提登記、原因と日付、仮登記の可否、変更と抹消、登録免許税です。

民法 第1028条第1項

被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

家の中に年配の女性が座り、家の外で所有者となった子が家を支えている
配偶者居住権は建物所有者と配偶者の共同申請で登記します
前提に相続登記日付は協議日税率1000分の2

設定登記は所有者と配偶者の共同申請で、前提に相続登記が要ります

配偶者居住権の設定登記は、登記権利者を配偶者、登記義務者を居住建物の所有者とする共同申請です。被相続人名義のままでは義務者が存在しないので、先に被相続人から建物を承継した相続人などへの所有権移転登記をしておかなければなりません。「その前提として当該建物について被相続人から承継人への所有権の移転の登記をすることを要しない」という肢は誤りです。登記原因証明情報は遺産分割協議書や遺言書で、配偶者であることを別に証する市町村長の情報は求められていません。「A及びBが婚姻していたことを証する市町村長が職務上作成した情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。

遺産分割で取得したときの登記原因の日付は協議の成立日です

取得の原因がそのまま登記原因になります。遺産分割で取得したときの日付は協議が成立した日(審判なら確定日)で、被相続人の死亡日ではありません。「登記原因を遺産分割として配偶者居住権の設定の登記を申請する場合には、被相続人の死亡の日を登記原因の日付としなければならない」という肢は誤りです。遺贈なら死亡日、死因贈与なら贈与者の死亡日が原因日付になります。

死因贈与なら生前に仮登記ができますが、遺贈ではできません

配偶者居住権を死因贈与契約で設定する合意があれば、贈与者の生存中に、贈与者の死亡を始期とする配偶者居住権設定の仮登記を申請できます。「配偶者居住権の設定を内容とする死因贈与契約を締結したときは、贈与者の生存中に当該配偶者居住権の設定の仮登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。遺贈は遺言者の死亡まで何の権利も生まないので、生前の仮登記はできません。

存続期間の短縮は変更登記、死亡による消滅は所有者の単独抹消です

存続期間は登記事項で、当初より短くする合意があれば変更の登記ができます。「当該短縮を内容とする配偶者居住権の変更の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。逆に存続期間を延ばすことはできません。配偶者が死亡すると権利は当然に消滅し、登記権利者である建物所有者が単独で抹消を申請できます。「登記権利者は、単独で配偶者居住権の登記の抹消を申請することができる」という肢は正しい肢で、配偶者の相続人との共同申請を要求する「A及びCが共同してしなければならない」という肢は誤りです。

登録免許税は設定が1000分の2、仮登記が1000分の1です

配偶者居住権の設定登記の登録免許税は、建物の価額の1000分の2です。所有権移転の相続と同じ1000分の4ではなく、「不動産の価額に1000分の4を乗じた額である」という肢は誤りです。仮登記はその半分の1000分の1で、「配偶者居住権の設定の仮登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の1を乗じた額である」という肢は正しい肢です。

民法 第1031条第1項

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。

試験ではこう問われる

  1. 配偶者居住権の設定登記の前提に、建物の相続登記が要るか(要る)
  2. 遺産分割で取得した配偶者居住権の登記原因の日付は死亡日か協議成立日か(協議成立日)
  3. 死因贈与による配偶者居住権の仮登記を贈与者の生前に申請できるか(できる)
  4. 配偶者の死亡による抹消は単独申請か共同申請か(所有者の単独申請)
  5. 設定登記の登録免許税の率はいくらか(1000分の2、仮登記は1000分の1)

この用語が問われた肢

R3 問24 イ誤り

被相続人が所有権の登記名義人である建物について配偶者居住権の設定の登記の申請をするときは,その前提として当該建物について被相続人から承継人への所有権の移転の登記をすることを要しない。

R6 問16 オ誤り

Aを所有権の登記名義人とする甲建物について、Aの配偶者であるBが、Aが死亡した後、甲建物に配偶者居住権の設定の登記を申請する場合には、登記原因証明情報として、A及びBが婚姻していたことを証する市町村長が職務上作成した情報を提供しなければならない。

R3 問24 ア誤り

登記原因を遺産分割として配偶者居住権の設定の登記を申請する場合には,被相続人の死亡の日を登記原因の日付としなければならない。

R3 問24 ウ正しい

配偶者居住権の設定を内容とする死因贈与契約を締結したときは,贈与者の生存中に当該配偶者居住権の設定の仮登記を申請することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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