税率(所有権移転・保存・抵当権)ぜいりつ
登録免許税法別表第一が登記の種類と登記原因ごとに定める、課税標準に乗じる率です。相続と相続人以外への遺贈・贈与で率が違うこと、用益権と担保権の率、仮登記が本登記の半分になることが肢で突かれます。
税率は、課税標準に乗じて登録免許税額を出す率で、登録免許税法別表第一が登記の種類と登記原因ごとに定めています。所有権の移転は、相続や法人の合併、共有物分割による移転が低く、売買・贈与・相続人以外への遺贈などの移転が高い二段構えです。保存は移転より低く、抵当権の設定は債権金額に対する率、用益権の設定は不動産の価額に対する率が別に定まっています。率そのものは租税特別措置法の軽減や改正で動くので、別表の本則の仕組みと、肢の正誤を分ける率の違いを覚えれば足ります。
不動産登記規則 第189条第3項登録免許税法又は租税特別措置法その他の法令の規定により登録免許税が軽減されている場合には、登録免許税額等のほか、軽減の根拠となる法令の条項を申請情報の内容としなければならない。

相続・合併は低い率、贈与・死因贈与は売買と同じ率です
所有権の移転の本則の税率は、相続(相続人に対する遺贈を含む)または法人の合併によるものが不動産の価額の1000分の4です。売買・贈与・相続人以外への遺贈など他の原因によるものは1000分の20になります。共有物分割による移転も、従前の持分に応じた価額に対応する部分は1000分の4です。「相続による所有権の移転の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 4を乗じた額である」という肢は正しい肢です。死因贈与は贈与の一種で相続ではないので、「死因贈与による所有権の移転の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 20 を乗じた額である」という肢は正しい肢で、1000分の4とする肢は誤りになります。遺産分割の過程で相続人が他の相続人に贈与する形を取ったときも贈与なので、「遺産分割による贈与を原因とする所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に 1000 分の 4 を乗じた額である」という肢は誤りです。
保存は1000分の4、抵当権の設定は債権金額の1000分の4です
所有権の保存の登記の本則の税率は不動産の価額の1000分の4で、移転の売買の率より低く設定された率です。抵当権や根抵当権の設定の登記は、債権金額または極度額の1000分の4と定まっています。抵当権の移転は債権金額の1000分の2で、相続や法人の合併によるものは1000分の1になります。根抵当権の全部譲渡は極度額、一部譲渡は極度額を譲渡後の共有者の数で割った額を課税標準にして、1000分の2を乗じます。信託の登記や仮登記のように本登記より軽い率が別に定まる登記もあり、「抵当権の信託の仮登記の登録免許税の額は、債権金額に 1000 分の 1 を乗じた額である」という肢は正しい肢です。
用益権の設定は1000分の10、配偶者居住権は1000分の2です
地上権・永小作権・賃借権・採石権の設定の登記は、不動産の価額の1000分の10です。「地上権の設定の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の 4 を乗じた額である」という肢は誤りで、抵当権の率と混同させる作りです。賃借権の転貸や、売買などによる用益権の移転も1000分の10で、相続や法人の合併による用益権の移転は1000分の2になります。配偶者居住権の設定は別に1000分の2と定まっており、「配偶者居住権の設定の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 4 を乗じた額である」という肢は誤りです。
所有権・用益権の仮登記は本登記の半分の率です
売買などによる所有権の移転の仮登記や所有権移転請求権の仮登記は不動産の価額の1000分の10で、本登記の半分に当たります。相続・合併・共有物分割による所有権移転の仮登記は1000分の2で、抵当権の設定の仮登記などその他の仮登記は不動産1個につき1000円の定額です。用益権の仮登記も同じ考え方で、「死因贈与を原因とする地上権の移転の仮登記の登録免許税の額は,不動産の価額に1000 分の 5 を乗じた額である」という肢は正しい肢です。配偶者居住権の設定の仮登記は1000分の1で、本登記の1000分の2の半分になります。仮登記に基づく本登記をするときは、登録免許税法17条1項の対象となる仮登記について、同項の表が定める割合を本登記の率から控除します。
用益権者が所有権を取得すると移転の率が半分になります
地上権・永小作権・賃借権などの登記名義人がその土地の所有権を取得したときは、登録免許税法17条4項により、所有権の移転の税率が100分の50に軽減されます。すでに用益権の登記で税を納めているからです。「当該地上権の登記名義人が当該土地を相続により取得したことによる所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に 1000 分の 2 を乗じた額である」という肢は、相続の1000分の4の半分なので正しい肢です。賃借権者が土地を買ったときは売買の1000分の20の半分になるので、「売買を原因とする所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の20を乗じた額である」という肢は誤りです。
不動産登記規則 第189条第4項登録免許税法第十三条第一項の規定により一の抵当権等の設定登記(同項に規定する抵当権等の設定登記をいう。)とみなされる登記の申請を二以上の申請情報によってする場合には、登録免許税額等は、そのうちの一の申請情報の内容とすれば足りる。ただし、同法第十三条第一項後段の規定により最も低い税率をもって当該設定登記の登録免許税の税率とする場合においては、登録免許税額等をその最も低い税率によるべき不動産等に関する権利(同法第十一条に規定する不動産等に関する権利をいう。)についての登記の申請情報の内容としなければならない。
試験ではこう問われる
- 相続と遺贈・贈与・死因贈与で所有権移転の税率は同じか(相続と相続人への遺贈は1000分の4、相続人以外への遺贈・贈与・死因贈与は1000分の20)
- 遺産分割による贈与は相続の率か(違う。贈与の率)
- 地上権の設定と抵当権の設定の税率はそれぞれ何か(地上権は価額の1000分の10、抵当権は債権金額の1000分の4)
- 仮登記の税率は本登記とどう違うか(所有権・用益権の仮登記は本登記の半分。抵当権設定の仮登記などは1個1000円)
- 地上権者や賃借権者が土地の所有権を取得したとき税率はどうなるか(移転の率の半分)
この用語が問われた肢
相続による所有権の移転の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 4を乗じた額である。
死因贈与による所有権の移転の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 20 を乗じた額である。
死因贈与を原因とする所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の 4 を乗じた額である。
遺産分割による贈与を原因とする所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に 1000 分の 4 を乗じた額である。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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