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死因贈与しいんぞうよ

不動産登記 第5章 相続・遺贈の登記 過去問で9肢

贈与者の死亡によって効力を生じる贈与契約です。遺贈と似ていますが契約なので、生前の仮登記ができる点、登録免許税が1000分の20である点、執行者の代理権限の証し方が肢で突かれます。

死因贈与は、「私が死んだら甲土地をあなたに贈与する」という、贈与者の死亡を条件とする贈与契約です。効力の発生が死亡の時である点で遺贈と同じなので遺贈の規定が準用されますが、遺贈が単独行為であるのに対し、死因贈与は契約なので、贈与者の生存中に受贈者の権利を仮登記で保全でき、方式も自由です。登記原因は死因贈与でも「贈与」で、日付は贈与者の死亡日です。登録免許税は相続人が受贈者でも売買と同じ1000分の20です。肢は遺贈との違いを軸に作られます。

民法 第554条

(死因贈与)
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

贈与者と受贈者が机を挟んで契約書に向かい、贈与者の背後に砂時計がある
死因贈与は贈与者の死亡で効力を生じる契約で、生前に仮登記ができます
税率1000分の20生前に仮登記負担付死因贈与

登録免許税は受贈者が相続人でも1000分の20です

死因贈与による所有権移転登記の登録免許税は、不動産の価額の1000分の20です。「死因贈与による所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の20を乗じた額である」という肢は正しい肢で、「不動産の価額に1000分の4を乗じた額である」という肢は誤りです。相続人に対する遺贈なら相続と同じ1000分の4になるのに対し、死因贈与は受贈者が相続人であっても軽減されません。仮登記は本登記の半分で、地上権の移転の仮登記なら1000分の5です。

贈与者の生前に始期付所有権移転仮登記ができます

死因贈与は契約として成立しているので、贈与者の死亡を始期とする所有権移転の仮登記を生前に申請できます。贈与者の承諾書を提供すれば受贈者が単独で申請でき、「Bは、Aの承諾を証する情報を提供して、単独で、始期付所有権移転仮登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。遺贈は遺言者の死亡まで何の権利も生まないので、生前の仮登記はできません。「死因贈与を原因とする仮登記を申請することができるので、遺贈を原因とする仮登記も、申請することができます」という肢は誤りです。配偶者居住権を死因贈与で設定する合意でも、生前に設定の仮登記ができます。

執行者の申請には贈与者の印鑑証明書か相続人全員の承諾書が要ります

死因贈与契約で執行者を定めておけば、贈与者の死亡後は執行者が贈与者側の申請人になります。契約書が公正証書でないときは、執行者の代理権限を証する情報の一部として、契約書に押された贈与者の印鑑証明書、またはそれに代えて相続人全員の承諾書とその印鑑証明書を提供します。「代理権限を証する情報の一部として、当該書面に押印されたAの印鑑に関する証明書又はAの相続人全員の承諾書に押された印鑑に関する証明書を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。執行者の定めがなければ、贈与者の相続人全員と受贈者の共同申請です。

登記原因は「死因贈与」ではなく「贈与」です

死因贈与による所有権移転登記の登記原因は「死因贈与」ではなく「贈与」です。受贈者に介護や債務の引受けなどの負担を付けた死因贈与でも同じで、「負担付き死因贈与契約に基づく所有権の移転の登記の登記原因は、「死因贈与」である」という肢は誤りです。負担の内容は登記事項にならず、契約の型は登記原因証明情報で示します。仮登記では「始期付所有権移転仮登記」のように、贈与者の死亡を始期とする形で表します。

表題部所有者から死因贈与を受けた人は保存登記を申請できません

所有権の登記のない不動産の表題部所有者が死亡し、その人から死因贈与を受けた人がいても、受贈者は表題部所有者の相続人その他の一般承継人ではないので、自分名義の保存登記はできません。区分建物だけは、表題部所有者から所有権を取得した人が保存登記を申請できる例外があります。「Aから死因贈与を受けた社会福祉法人Bは、社会福祉法人Bを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。表題部所有者の相続人が保存登記をしてから、死因贈与による移転登記をします。

不動産登記法 第74条第1項第1号

表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人

試験ではこう問われる

  1. 死因贈与による所有権移転登記の登録免許税の率はいくらか(1000分の20)
  2. 贈与者の生前に死因贈与を原因とする仮登記ができるか(始期付所有権移転仮登記ができる。遺贈はできない)
  3. 執行者が申請するとき、贈与者の印鑑証明書に代えられるものは何か(相続人全員の承諾書と印鑑証明書)
  4. 死因贈与による所有権移転登記の登記原因は何か(贈与。「死因贈与」ではない)
  5. 表題部所有者から死因贈与を受けた人が保存登記を申請できるか(できない)

この用語が問われた肢

R2 問27 オ正しい

死因贈与による所有権の移転の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 20 を乗じた額である。

R7 問27 イ誤り

死因贈与を原因とする所有権の移転の登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の 4 を乗じた額である。

R4 問27 エ正しい

死因贈与を原因とする地上権の移転の仮登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000 分の 5 を乗じた額である。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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