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胎児・不在者と相続登記たいじ・ふざいしゃとそうぞくとうき

不動産登記 第5章 相続・遺贈の登記 過去問で7肢

相続人の中に、まだ生まれていない胎児や、どこにいるか分からない不在者がいる場合の登記の扱いです。胎児は出生前に遺産分割ができない点、不在者は財産管理人と家庭裁判所の許可で動く点が肢で突かれます。

胎児は相続については既に生まれたものとみなされ、不在者は従来の住所を去って帰る見込みが立たない人で、家庭裁判所が財産管理人を選任します。どちらも相続人の一人になり得るのに、自分で協議に加われないという共通点があります。登記実務は、胎児については出生前に胎児名義の相続登記はできるが遺産分割はできない、不在者については管理人が家庭裁判所の許可を得て遺産分割や処分をする、と整理しています。長期間生死不明なら失踪宣告で死亡とみなされ、相続開始日が動きます。肢で突かれるのは、誰が申請できるか、どの書類に期限があるか、です。

民法 第886条第1項

胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

家族の輪の中に点線で描かれた胎児と空席があり、中央に家の模型がある
胎児は相続人になれますが、出生前の遺産分割はできません
胎児は分割不可管理人は許可3か月制限なし

胎児名義の相続登記はできますが、出生前の遺産分割はできません

胎児は相続について生まれたものとみなされるので、法定相続分による相続登記は出生前でも胎児を登記名義人に加えてできます。しかし胎児には権利能力が確定しておらず、母が代理して遺産分割協議をすることも認められていません。「Dの出生前であっても、相続を登記原因とするAからDへの所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は、胎児が単独取得する協議を前提にしているので誤りです。「当該胎児の母は、当該胎児の出生前であっても、当該胎児が当該不動産を単独で取得する旨の遺産分割協議を行った旨が記載された遺産分割協議書を添付して、当該胎児を代理して相続を登記原因とする被相続人から当該胎児に対する所有権の移転の登記を申請することができる」という肢も誤りです。出生後に「年月日出生」を原因とする登記名義人の氏名及び住所の変更の登記をし、死産なら初めから相続人でなかったものとして更正します。

不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得て処分や遺産分割をします

不在者の財産管理人の権限は保存行為と管理の範囲に限られ、不動産の売却や遺産分割協議のような処分には家庭裁判所の許可が要ります。許可があったことを証する情報は添付情報になりますが、印鑑証明書のような期限はありません。「その許可があったことを証する情報は、その作成の日から3か月以内のものを提供しなければならない」という肢は誤りです。管理人が家庭裁判所に届け出た印鑑について裁判所書記官が作成した証明書も同じで、「当該証明書は、作成後3か月以内のものであることを要する」という肢は誤りです。

管理人が設定した権利は、その旨を申請情報に書きます

管理人は不在者の代理として権利を設定できますが、処分の権限を持たない者が設定した権利であることを登記記録に表します。「賃貸人が財産の処分の権限を有しない者である旨として「管理人Bの設定した賃借権」を申請情報の内容としなければならない」という肢は正しい肢です。管理人が承諾書などを提供したときの原本還付も通常どおりで、「いずれの書面についても、原本の還付を請求することができない」という肢は誤りです。

失踪宣告があれば、死亡とみなされた日が相続開始日です

生死が7年間分からない普通失踪では期間が満了した時に、船の沈没などの危難に遭った危難失踪では危難が去った時に、死亡したものとみなされます。相続はその日に開始するので、失踪宣告の審判書と戸籍が相続を証する情報になり、登記原因の日付もその日です。不在者財産管理人が付いていた場合でも、宣告後は相続人が申請人になります。宣告が取り消されても、取消し前に善意でした行為の効力は影響を受けません。相続人の中に未成年者がいて親権者と利益が相反するときは、家庭裁判所が選任した特別代理人が遺産分割協議に加わり、その選任の審判書を添付情報にします。

民法 第28条

(管理人の権限)
管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

試験ではこう問われる

  1. 胎児が単独取得する遺産分割協議に基づいて出生前に相続登記ができるか(できない)
  2. 不在者財産管理人の家庭裁判所の許可書に作成後3か月以内の制限があるか(無い)
  3. 管理人が設定した賃借権の登記で、処分権限の無い者が設定した旨を申請情報に書くか(書く)
  4. 普通失踪の相続開始日はいつか(7年の期間満了時)

この用語が問われた肢

R3 問19 オ誤り

被相続人が所有権の登記名義人である不動産について,胎児が相続人の一人である場合において,当該胎児の母は,当該胎児の出生前であっても,当該胎児が当該不動産を単独で取得する旨の遺産分割協議を行った旨が記載された遺産分割協議書を添付して,当該胎児を代理して相続を登記原因とする被相続人から当該胎児に対する所有権の移転の登記を申請することができる。

R8 問13 イ誤り

家庭裁判所によって選任された不在者財産管理人が、あらかじめその職務のために使用する印鑑を家庭裁判所に届け出た場合において、職務上行う所有権の移転の登記の申請に係る申請書に押印した印鑑に関する証明書として裁判所書記官が作成した当該印鑑に関する証明書を添付するときは、当該証明書は、作成後 3 か月以内のものであることを要する。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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