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新設分割しんせつぶんかつ

商業登記 第9章 組織再編 過去問で7肢

株式会社または合同会社が、事業に関して有する権利義務の全部または一部を、新しく設立する会社に承継させる組織再編です。設立登記が効力要件であること、分割会社の登記の出し方、登録免許税の区分で肢が作られます。

新設分割は、一または二以上の株式会社または合同会社が、その事業に関して有する権利義務の全部または一部を、分割により設立する会社に承継させる組織再編です。設立会社が株式会社なら会社法763条の事項を定めた新設分割計画を作り、分割会社が株式会社なら株主総会で承認を受け、必要なら債権者保護手続をします。合同会社が分割会社のときは総社員の同意など持分会社の手続によります。効力は設立会社の成立の日に生じ、設立会社の設立登記と分割会社の変更登記を同時に申請します。肢で突かれるのは、効力発生の日、申請人と提出先、登録免許税の額です。

会社法 第763条

(株式会社を設立する新設分割計画)
一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割により設立する会社(以下この編において「新設分割設立会社」という。)が株式会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株式会社である新設分割設立会社(以下この編において「新設分割設立株式会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数
二 前号に掲げるもののほか、新設分割設立株式会社の定款で定める事項
三 新設分割設立株式会社の設立時取締役の氏名
四 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
 イ 新設分割設立株式会社が会計参与設置会社である場合 新設分割設立株式会社の設立時会計参与の氏名又は名称
 ロ 新設分割設立株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 新設分割設立株式会社の設立時監査役の氏名
 ハ 新設分割設立株式会社が会計監査人設置会社である場合 新設分割設立株式会社の設立時会計監査人の氏名又は名称
五 新設分割設立株式会社が新設分割により新設分割をする会社(以下この編において「新設分割会社」という。)から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(株式会社である新設分割会社(以下この編において「新設分割株式会社」という。)の株式及び新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項
六 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対して交付するその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該新設分割設立株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
七 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する前号の株式の割当てに関する事項
八 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の社債等を交付するときは、当該社債等についての次に掲げる事項
 イ 当該社債等が新設分割設立株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
 ロ 当該社債等が新設分割設立株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
 ハ 当該社債等が新設分割設立株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項
九 前号に規定する場合において、二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する同号の社債等の割当てに関する事項
十 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該新設分割設立株式会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次に掲げる事項
 イ 当該新設分割設立株式会社の新株予約権の交付を受ける新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下この編において「新設分割計画新株予約権」という。)の内容
 ロ 新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対して交付する新設分割設立株式会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
 ハ 新設分割計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、新設分割設立株式会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
十一 前号に規定する場合には、新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対する同号の新設分割設立株式会社の新株予約権の割当てに関する事項
十二 新設分割株式会社が新設分割設立株式会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨
 イ 第百七十一条第一項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が新設分割設立株式会社の株式(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
 ロ 剰余金の配当(配当財産が新設分割設立株式会社の株式のみであるものに限る。)
新設分割設立株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第三号に掲げる事項は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別して定めなければならない。

会社の建物から一部門の机と機械が運び出され、更地に新しい小さな建物が建つ。元の会社の代表者が鍵と株券を受け取り、職員が新しい帳簿を作る
新設分割は設立の登記で効力が生じ、分割会社の変更登記を設立会社の登記所を経由して同時に申請します
効力は設立登記の日略式なし・簡易あり申請人は分割会社設立の登録免許税は7/1000・最低3万円

効力は設立の登記で生じるので、分割会社の変更年月日も登記の日です

新設分割設立株式会社は成立の日に計画の定めに従って権利義務を承継し、成立の日は設立の登記の日です。分割会社の変更登記の変更年月日も設立の登記の日なので、登記所が閉まっている日を変更の年月日にすることはできません。「国民の祝日である日を変更の年月日として、新設分割株式会社の新設分割による変更の登記を申請することができますか」という問いに「はい。この場合、新設分割計画で定められた効力発生日に新設分割の効力が生じますので」と答える肢は誤りです。新設分割計画には効力発生日という項目がなく、登記期間は承認決議の日や債権者保護手続終了の日などのうち最も遅い日から2週間です。

承認は分割会社の特別決議で、略式分割はありません

分割会社は株主総会の特別決議で新設分割計画の承認を受けます。承継させる資産の帳簿価額の合計が総資産額の5分の1、定款でそれより低い割合を定めたときはその割合を超えなければ承認を省け、これが簡易分割です。新設分割には相手方の会社がないので、特別支配会社を前提とする略式分割はありません。「新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書に、新設分割計画が承認されたことを証する書面として株主総会の議事録を添付する必要がないのは、どのような場合ですか」という問いに「いわゆる簡易分割又は略式分割の場合には」と答える肢は誤りです。簡易分割のときは該当を証する書面と、取締役会議事録または取締役の過半数の一致を証する書面を添付します。

債権者保護手続は履行を請求できなくなる債権者がいるときだけです

分割会社の債権者で異議を述べられるのは、分割後に分割会社に履行を請求できなくなる債権者です。分割会社が承継させる債務の全部について重畳的債務引受をし、設立会社の株式のみを対価とする自己株式の取得や剰余金の配当を成立の日にする定めもなければ、該当する債権者はいません。「新設分割株式会社が新設分割設立株式会社に承継させる債務の全てにつき新設分割株式会社が重畳的債務引受けをする旨の定めがある場合には」という問いに「債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はありません」と答える肢は正しい肢です。成立の日に設立会社の株式のみを対価として株式を取得し、または配当する定めがあるときは、分割会社の全債権者が相手になります。

分割会社の登記は分割会社が、設立会社の登記所へ同時に出します

分割会社の変更登記は、設立会社の本店が管轄区域内にないときは設立会社の本店所在地の登記所を経由し、設立登記と同時に申請します。「A法務局、新設分割設立株式会社の本店所在地を管轄する登記所がB法務局の場合には」という問いに「B法務局に対し、同時に提出します」と答える肢は正しい肢です。申請人は分割会社自身で、合併の解散登記のように設立会社の代表者が代表する規定はありません。「新設分割による変更の登記の申請は、新設分割設立会社を代表すべき者が新設分割会社を代表してしなければならない」という肢は誤りです。分割会社の申請書には委任状以外の添付書面は要りません。

設立の登録免許税は資本金の1000分の7で、最低3万円です

新設分割による設立の登記の登録免許税は、資本金の額の1000分の7で、3万円に満たなければ3万円です。通常の設立の最低15万円は適用されず、「新設分割設立株式会社の資本金の額が 1000 万円である場合には」という問いに「15 万円です」と答える肢は誤りで、正しくは7万円です。分割会社の変更登記には3万円が掛かります。設立登記と同時に商号続用の免責の登記を申請するときは、「それぞれの登記に係る登録免許税額を合計します」と答える肢が正しい肢です。

商業登記法 第86条

新設分割による設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 新設分割計画書
二 定款
三 第四十七条第二項第六号から第八号まで及び第十号から第十二号までに掲げる書面
四 前条第四号に掲げる書面
五 新設分割会社の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に新設分割会社の本店がある場合を除く。
六 新設分割会社が株式会社であるときは、会社法第八百四条第一項の規定による新設分割計画の承認があつたことを証する書面(同法第八百五条に規定する場合にあつては、当該場合に該当することを証する書面及び取締役の過半数の一致があつたことを証する書面又は取締役会の議事録)
七 新設分割会社が合同会社であるときは、総社員の同意(定款に別段の定めがある場合にあつては、その定めによる手続)があつたことを証する書面(当該合同会社がその事業に関して有する権利義務の一部を他の会社に承継させる場合にあつては、社員の過半数の一致があつたことを証する書面)
八 新設分割会社において会社法第八百十条第二項(第三号を除き、同法第八百十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告(同法第八百十条第三項(同法第八百十三条第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告(同法第八百十条第三項の規定により各別の催告をすることを要しない場合以外の場合にあつては、当該公告及び催告))をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該新設分割をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
九 新設分割会社が新株予約権を発行している場合であつて、会社法第七百六十三条第一項第十号に規定する場合には、第五十九条第二項第二号に掲げる書面

試験ではこう問われる

  1. 新設分割の効力はいつ生じるか(設立の登記の日。祝日は変更年月日にできない)
  2. 新設分割に略式分割はあるか(ない。簡易分割だけ)
  3. 重畳的債務引受があり株式取得や配当の定めもないとき債権者保護手続は要るか(要らない)
  4. 分割会社の変更登記は誰がどこへ出すか(分割会社の代表者が設立会社の登記所を経由して同時に)
  5. 資本金1000万円の設立の登録免許税はいくらか(7万円。最低3万円)

この用語が問われた肢

R6 問34 ア誤り

【問】国民の祝日である日を変更の年月日として、新設分割株式会社の新設分割による変更の登記を申請することができますか。 はい。この場合、新設分割計画で定められた効力発生日に新設分割の効力が生じますので、新設分割株式会社については、当該日を変更の年月日として、その後法定の期間内に変更の登記を申請することができます。

R6 問34 エ誤り

【問】新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書に、新設分割計画が承認されたことを証する書面として株主総会の議事録を添付する必要がないのは、どのような場合ですか。 いわゆる簡易分割又は略式分割の場合には、当該登記の申請書に株主総会の議事録を添付する必要はありません。

R6 問34 ウ正しい

【問】新設分割計画において、会社法第 763 条第 1 項第 12 号に掲げる事項の定めがなく、かつ、新設分割株式会社が新設分割設立株式会社に承継させる債務の全てにつき新設分割株式会社が重畳的債務引受けをする旨の定めがある場合には、新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要がありますか。 この場合、当該登記の申請書に債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はありません。

R6 問34 イ正しい

【問】新設分割株式会社の本店所在地を管轄する登記所がA法務局、新設分割設立株式会社の本店所在地を管轄する登記所がB法務局の場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書と新設分割株式会社の変更の登記の申請書は、どの法務局に提出しますか。 B法務局に対し、同時に提出します。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

商業登記を肢別で解く

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