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株式交換かぶしきこうかん

商業登記 第9章 組織再編 過去問で4肢

株式会社がその発行済株式の全部を既存の他の株式会社または合同会社に取得させ、完全子会社になる組織再編です。登記をするのが原則として親会社だけであること、子会社側の登記が要る例外、債権者保護の要否で肢が作られます。

株式交換は、株式会社がその発行済株式の全部を、既存の他の株式会社または合同会社に取得させる組織再編です。完全親会社になる会社と、親会社が株式会社なら会社法768条、合同会社なら770条の事項を定めた株式交換契約を結びます。効力発生日に親会社が子会社の株式の全部を取得し、子会社の株主は対価として親会社の株式などを受け取ります。会社の財産は動かず株主が入れ替わるだけなので、登記をするのは原則として親会社だけです。肢で突かれるのは、子会社側に登記が要る例外と、債権者保護手続が要る場合です。

会社法 第768条

(株式会社に発行済株式を取得させる株式交換契約)
株式会社が株式交換をする場合において、株式交換完全親会社が株式会社であるときは、株式交換契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株式交換をする株式会社(以下この編において「株式交換完全子会社」という。)及び株式会社である株式交換完全親会社(以下この編において「株式交換完全親株式会社」という。)の商号及び住所
二 株式交換完全親株式会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の株主に対してその株式に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
 イ 当該金銭等が株式交換完全親株式会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式交換完全親株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
 ロ 当該金銭等が株式交換完全親株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
 ハ 当該金銭等が株式交換完全親株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
 ニ 当該金銭等が株式交換完全親株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
 ホ 当該金銭等が株式交換完全親株式会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
三 前号に規定する場合には、株式交換完全子会社の株主(株式交換完全親株式会社を除く。)に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
四 株式交換完全親株式会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式交換完全親株式会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次に掲げる事項
 イ 当該株式交換完全親株式会社の新株予約権の交付を受ける株式交換完全子会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下この編において「株式交換契約新株予約権」という。)の内容
 ロ 株式交換契約新株予約権の新株予約権者に対して交付する株式交換完全親株式会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
 ハ 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、株式交換完全親株式会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
五 前号に規定する場合には、株式交換契約新株予約権の新株予約権者に対する同号の株式交換完全親株式会社の新株予約権の割当てに関する事項
六 株式交換がその効力を生ずる日(以下この節において「効力発生日」という。)
前項に規定する場合において、株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式交換完全子会社及び株式交換完全親株式会社は、株式交換完全子会社の発行する種類の株式の内容に応じ、同項第三号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。
一 ある種類の株式の株主に対して金銭等の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
二 前号に掲げる事項のほか、金銭等の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
第一項に規定する場合には、同項第三号に掲げる事項についての定めは、株式交換完全子会社の株主(株式交換完全親株式会社及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて金銭等を交付することを内容とするものでなければならない。

大きな会社の代表者と小さな会社の株主が向かい合い、小さな会社の株券を全部差し出す代わりに大きな会社の株券を受け取る。小さな会社の建物は残る
株式交換で登記をするのは原則として完全親会社だけで、子会社は新株予約権を代えたときだけ登記します
親会社の資本金・発行済株式総数子会社の新株予約権変更登記は経由・同時・添付不要株券提出公告債権者保護は対価が株式以外か社債承継

登記をするのは親会社で、資本金と発行済株式の総数の増加です

株式交換で親会社が株式を発行して対価にすると、発行済株式の総数が増え、資本金に計上する額を定めれば資本金の額も増えるので、親会社が変更の登記をします。対価が金銭や自己株式だけで登記事項に変化がなければ、親会社にも登記は生じません。子会社は株主が親会社一社に変わるだけで、登記事項は変わらず原則として登記をしません。合併や分割のように株式交換をした旨や相手会社の商号を登記する規定はなく、親会社の登記簿を見ても株式交換の事実は読み取れません。登記期間は効力発生日から2週間です。

子会社の新株予約権を親会社のものに代えたときは子会社も登記します

株式交換契約で親会社が子会社の新株予約権者に対して親会社の新株予約権を交付する定めがあるときは、子会社の新株予約権は効力発生日に消滅します。子会社はその消滅による新株予約権の変更登記をし、親会社の本店が管轄区域内になければ親会社の登記所を経由して親会社の登記と同時に申請します。この申請書には委任状以外の添付書面は要りません。「株式交換完全子会社がする株式交換による新株予約権の変更の登記の申請書には、株式交換契約書を添付しなければならない」という肢は誤りです。

親会社の申請書には契約書と子会社側の手続の書面を添付します

商業登記法89条は、株式交換契約書、略式・簡易に該当する証明、親会社の債権者保護の書面、計上証明書、子会社の登記事項証明書を列挙します。続けて子会社の承認の書面、子会社の債権者保護の書面、株券提出公告と新株予約権証券提出公告の書面が並びます。子会社が現に株券を発行している株券発行会社なら、株式交換は株券提出公告をする行為なので、公告を証する書面が要ります。「株式交換完全子会社が現に株券を発行している株券発行会社であるときは,株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記の申請書には,株式交換完全子会社が株券の提出に関する公告をしたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。子会社の承認は株主総会の特別決議で、親会社が子会社の特別支配会社なら略式で省けます。

債権者保護手続が要るのは対価が株式以外のときと社債承継のときです

親会社の債権者が異議を述べられるのは二つの場合に限られます。子会社の株主に交付する対価が親会社の株式その他これに準ずるもの以外を含む場合と、子会社の新株予約権付社債の社債の債務を親会社が承継する場合です。「株式交換の対価として株式交換完全親会社の株式以外の財産を交付する場合と、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債権者に対して新株予約権を交付し株式交換完全子会社の社債に係る債務を承継する場合です」と答える肢は正しい肢です。子会社側で債権者保護手続が要るのは、新株予約権付社債の社債権者に対してだけです。対価が親会社の株式のみで、社債の債務の承継もなければ、どちらの会社にも債権者保護手続はありません。

商業登記法 第89条

(株式交換の登記)
株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する会社(以下「株式交換完全親会社」という。)がする株式交換による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 株式交換契約書
二 会社法第七百九十六条第一項本文又は第二項本文に規定する場合には、当該場合に該当することを証する書面(同条第三項の規定により株式交換に反対する旨を通知した株主がある場合にあつては、同項の規定により株主総会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないことを証する書面を含む。)
三 会社法第七百九十九条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該株式交換をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
四 資本金の額が会社法第四百四十五条第五項の規定に従つて計上されたことを証する書面
五 株式交換をする株式会社(以下「株式交換完全子会社」という。)の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に株式交換完全子会社の本店がある場合を除く。
六 株式交換完全子会社において会社法第七百八十三条第一項から第四項までの規定による株式交換契約の承認その他の手続があつたことを証する書面(同法第七百八十四条第一項本文に規定する場合にあつては、当該場合に該当することを証する書面及び取締役の過半数の一致があつたことを証する書面又は取締役会の議事録)
七 株式交換完全子会社において会社法第七百八十九条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該株式交換をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
八 株式交換完全子会社が株券発行会社であるときは、第五十九条第一項第二号に掲げる書面
九 株式交換完全子会社が新株予約権を発行している場合であつて、会社法第七百六十八条第一項第四号に規定する場合には、第五十九条第二項第二号に掲げる書面

試験ではこう問われる

  1. 株式交換で登記をするのはどの会社か(原則として親会社だけ)
  2. 子会社側の登記が要るのはどんな場合か(親会社の新株予約権を交付したとき。経由・同時・添付書面不要)
  3. 子会社の株券提出公告の書面は要るか(現に株券を発行していれば要る)
  4. 親会社の債権者保護手続が要るのはどんな場合か(対価が親会社株式以外、新株予約権付社債の債務承継)
  5. 株式交換をした旨は親会社の登記事項か(登記事項でない)

この用語が問われた肢

R4 問32 ウ誤り

株式交換に際して株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式交換完全親会社の新株予約権を交付する場合は、株式交換完全子会社がする株式交換による新株予約権の変更の登記の申請書には、株式交換契約書を添付しなければならない。

R2 問33 ウ正しい

株式交換をする場合において,株式交換完全子会社が現に株券を発行している株券発行会社であるときは,株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記の申請書には,株式交換完全子会社が株券の提出に関する公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。

R7 問34 ウ正しい

【問】株式交換をした場合に、株式交換完全親会社についての株式交換による変更の登記の申請書に、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要があるのはどのような場合ですか。 株式交換の対価として株式交換完全親会社の株式以外の財産を交付する場合と、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債権者に対して新株予約権を交付し株式交換完全子会社の社債に係る債務を承継する場合です。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

商業登記を肢別で解く

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