会社の登記の管轄と本店所在地の登記所かいしゃのとうきのかんかつとほんてんしょざいちのとうきしょ
商業登記の事務を、当事者の営業所の所在地を管轄する法務局・地方法務局・支局・出張所が扱うという仕組みです。会社は本店の所在地だけで登記すること、管轄違いが却下事由であること、管轄をまたぐ移転の経由申請が問われます。
会社の登記の管轄は、登記の事務を当事者の営業所の所在地を管轄する登記所がつかさどるという商業登記法1条の3の定めです。会社については本店の所在地を管轄する登記所が会社の登記記録を持ち、令和4年9月1日からは支店の所在地における登記の制度が廃止されたので、会社の登記は本店の所在地だけでします。管轄に属しない申請は却下され、本店を他の登記所の管轄区域内に移すときは旧所在地の登記所を経由して新所在地の登記を申請します。外国会社や個人商人の登記にもそれぞれの営業所を基準にした管轄があります。肢で突かれるのは、管轄の基準と、管轄をまたぐときの経由と同時申請の仕組みです。
商業登記法 第1条の3(登記所)
登記の事務は、当事者の営業所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。

登記所は法務局などで、営業所の所在地で決まります
商業登記の事務は、当事者の営業所の所在地を管轄する法務局、地方法務局、その支局または出張所がつかさどります。会社の営業所は本店なので、本店の所在地を管轄する登記所が会社の登記記録を持ち、すべての登記の申請先はその登記所です。商業登記の管轄区域は法務省令で定められ、同じ市内でも登記所が分かれることがあります。管轄区域の変更や商業登記事務の集中は省令や登記事務の委任で行われるので、本店の所在場所を変えなくても管轄が変わる場合があります。
令和4年9月1日から支店の所在地における登記はなくなりました
かつては支店の所在地でも商号、本店、支店の所在場所などを登記する支店登記簿があり、本店所在地の登記所を経由して申請することもできました。令和4年9月1日施行の改正で支店の所在地における登記の制度が廃止され、会社の登記は本店の所在地における登記に一本化されました。支店の所在場所そのものは本店所在地の登記記録の登記事項として残り、支店の設置、移転、廃止の登記は本店の所在地で申請します。支店の所在地の登記所に別の申請をする肢は改正後は成り立ちません。
管轄違いの申請は却下され、補正では直せません
申請に係る当事者の営業所の所在地が申請を受けた登記所の管轄に属しないときは、登記官は理由を付した決定で申請を却下します。管轄違いは補正できる不備ではないので、正しい登記所に申請し直すしかありません。管轄違いのまま登記がされてしまったときは、その登記は当事者が抹消を申請でき、登記官も職権抹消の手続をとります。経由すべき登記所を経由しないときや、同時にすべき他の登記の申請を同時にしないときも却下事由です。
管轄をまたぐ本店移転は旧所在地を経由して同時に申請します
本店を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、旧所在地では本店移転の登記を、新所在地では会社の登記事項の全部の登記を申請し、新所在地の申請は旧所在地の登記所を経由して同時にします。旧所在地の登記官が却下事由がないと判断して新所在地の登記所に送付し、新所在地で登記がされた後に旧所在地の登記記録が閉鎖されます。令和7年4月からは本店移転の際の印鑑の届出の手続が見直され、旧所在地で印鑑を提出していた者は新所在地での印鑑届を改めて出さなくてよくなりました。外国会社の登記所は営業所の所在地か日本における代表者の住所地で決まり、個人商人の商号や支配人の登記は営業所ごとの管轄です。個人商人が営業所を管轄外に移したときも、旧所在地で移転の登記を、新所在地で改めて登記をする二段の申請です。
商業登記法 第24条(申請の却下)
登記官は、次の各号のいずれかに掲げる事由がある場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 申請に係る当事者の営業所の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二 申請が登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするとき。
三 申請に係る登記がその登記所において既に登記されているとき。
四 申請の権限を有しない者の申請によるとき、又は申請の権限を有する者であることの証明がないとき。
五 第二十一条第三項に規定する場合において、当該申請に係る登記をすることにより同項の登記の申請書のうち他の申請書に係る登記をすることができなくなるとき。
六 申請書がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
七 申請書に必要な書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)を添付しないとき。
八 申請書又はその添付書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)の記載又は記録が申請書の添付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき。
九 登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。
十 申請につき経由すべき登記所を経由しないとき。
十一 同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき。
十二 申請が第二十七条の規定により登記することができない商号の登記を目的とするとき。
十三 申請が法令の規定により使用を禁止された商号の登記を目的とするとき。
十四 商号の登記を抹消されている会社が商号の登記をしないで他の登記を申請したとき。
十五 登録免許税を納付しないとき。
試験ではこう問われる
- 会社の登記はどこの登記所にするか(本店の所在地を管轄する登記所)
- 支店の所在地における登記は今もあるか(ない。令和4年9月1日に廃止)
- 管轄違いの申請はどうなるか(却下。補正はできない)
- 管轄外への本店移転の新所在地の申請はどうするか(旧所在地の登記所を経由して同時に申請)
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