設立時発行株式せつりつじはっこうかぶしき
株式会社の設立に際して発行する株式で、発起人が引き受けるものと募集に応じた引受人に割り当てるものがあります。数や払込金額をどの書面で決めたか、発行可能株式総数との関係が肢で突かれます。
設立時発行株式は、株式会社の設立に際して発行する株式です。発起人が引き受ける分については、発起人が割当てを受ける数、引換えに払い込む金銭の額、成立後の資本金と資本準備金の額に関する事項を、定款に定めが無ければ発起人全員の同意で決めます。募集設立では、募集に応じて割り当てる分を設立時募集株式と呼び、数・払込金額・払込期日などを発起人全員の同意で決めたうえで均等な条件で募集します。設立時発行株式の総数は、公開会社では発行可能株式総数の4分の1を下回れません。肢で突かれるのは、これらの事項を決める書面と、発行可能株式総数との数の関係です。
会社法 第32条第1項発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項

割当てを受ける数と払込金額は発起人全員の同意で決めます
定款に発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数や払い込む金銭の額の定めが無いときは、発起人全員の同意で決め、その同意があったことを証する書面を設立の登記の申請書に添付します。「定款に設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額の定めがなく,後にこれを定めたときは,設立の登記の申請書には,これを定めるにつき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。発起人ごとに払込金額を違えても構わず、10株ずつの割当てでAが100万円、Bが50万円と定めた同意書を添付しても設立の登記を申請できないとする肢は誤りです。
設立時募集株式の条件は募集ごとに均等でなければなりません
募集設立で設立時募集株式を募集するときは、その数、払込金額、払込期日または期間を発起人全員の同意で決めます。払込金額その他の募集の条件は募集ごとに、種類株式発行会社では種類および募集ごとに均等に定めます。「定款に設立時募集株式の数,設立時募集株式 1 株と引換えに払い込む金銭の額及び設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日に関する事項の定めがないときは,設立の登記の申請書には,当該事項を決定した発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。発起人の引受け分には均等の要件が無いので、発起人分と募集分を分けて考える必要があります。
公開会社では発行可能株式総数の4分の1を下回れません
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができません。公開会社でない会社ではこの制限が無く、発行可能株式総数の定款の定めは成立の時までに発起人全員の同意で設け、または変更できます。募集設立では、払込期日または払込期間の初日のうち最も早い日以後は発起人が定款を変更できず、創立総会の決議によります。発行可能株式総数を変更しても定款の再認証は要らず、「会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは,設立の登記の申請書には,当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない」という肢は誤りです。払込期日の後に創立総会で発行可能株式総数を定めたときは、その議事録を添付します。
引受けの意思表示には心裡留保と虚偽表示の規定が適用されません
設立時発行株式の引受けに係る意思表示には、民法の心裡留保のただし書と虚偽表示の規定が適用されず、発起人は会社の成立後は錯誤・詐欺・強迫を理由に引受けを取り消せません。設立時募集株式の引受人も、成立後または創立総会で議決権を行使した後は同じく取り消せません。引受けの安定が会社の資本の基礎を守るという考え方で、設立の無効の訴えが出資の瑕疵を理由に広がらないようにしています。引受けによって株主となる権利の譲渡は、成立後の会社に対抗できません。
定款認証の前に引受けや選任があっても設立の登記はできます
公証人の認証より前に設立時発行株式の引受けや設立時取締役の選任が行われ、その後に定款の認証がされた場合でも、登記実務ではその定款を添付して設立の登記を申請できると扱われています。「公証人による定款の認証を受ける前に設立時発行株式の引受け及び設立時取締役の選任がされ,その後に定款の認証を受けた場合には,当該定款を添付して,設立の登記を申請することができない」という肢は誤りです。単元株式数は定款の記載事項なので、発起人の同意で後から設けることはできず、同意書を添付して申請できるとする肢は誤りです。
会社法 第37条第3項設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 発起人の割当株式数と払込金額を定款に書かなかったとき何で決めるか(発起人全員の同意)
- 発起人ごとに払込金額が違う同意書で設立の登記ができるか(できる)
- 設立時募集株式の払込金額は均等でなければならないか(均等でなければならない。発起人分は別)
- 公開会社の設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の何分の1以上か(4分の1)
- 成立後に発起人が錯誤で引受けを取り消せるか(取り消せない)
この用語が問われた肢
当該設立が発起設立である場合において、定款に設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額の定めがなく、後にこれを定めたときは、設立の登記の申請書には、これを定めるにつき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合において、定款に設立時募集株式の数、設立時募集株式 1 株と引換えに払い込む金銭の額及び設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日に関する事項の定めがないときは、設立の登記の申請書には、当該事項を決定した発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
株式会社の設立が発起設立であり、発行可能株式総数が公証人の認証を受けた定款で定められている場合において、会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは、設立の登記の申請書には、当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない。
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