募集設立ぼしゅうせつりつ
発起人が設立時発行株式の一部を引き受け、残りを引き受ける者を募集して株式会社を設立する方法です。創立総会で決められる事項と発起人全員の同意が要る事項の線引きが肢で突かれます。
募集設立は、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者を募集して株式会社を設立する方法です。会社法25条1項2号が定め、募集をする旨は発起人全員の同意で決めます。引受人の払込みが終わると発起人が創立総会を招集し、設立時取締役などの選任と設立経過の報告がそこで行われます。設立の登記の申請書には、発起設立の書面に加えて引受けの申込みを証する書面、払込金の保管証明書、創立総会の議事録を添付します。肢で突かれるのは、創立総会の決議で済む事項と発起人全員の同意が要る事項の線引き、そして創立総会の決議要件です。
会社法 第57条(設立時発行株式を引き受ける者の募集)
発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。
発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

設立時募集株式に関する事項は発起人全員の同意で決めます
設立時募集株式の数、払込金額、払込みの期日または期間、資本金と資本準備金に関する事項は、定款に定めが無ければ発起人全員の同意で決め、その同意があったことを証する書面を添付します。「定款に設立時募集株式の種類及び種類ごとの数,設立時募集株式の払込金額並びに払込期日又は払込期間の記載がなく,後にこれらを定めたときは,これらを定めるにつき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。他方で「定款に出資された財産の一部を資本準備金とする旨の記載がなく,後にこれを定めたときは,成立後の会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項について決議した創立総会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りで、これは発起人の同意で決める事項です。
創立総会は定款の変更と設立の廃止を決議できます
創立総会は招集の目的である事項以外を決議できませんが、定款の変更と設立の廃止はいつでも決議できます。発行可能株式総数を定款で定めていなかったときは、払込期日の後なら創立総会の定款変更で設けることができ、「設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日以後に発行可能株式総数を定めたときは,設立の登記の申請書には,発行可能株式総数の定めを設ける旨の定款変更の決議をした創立総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。本店の具体的な所在場所を創立総会で決議したときも、その議事録で足ります。「創立総会の議事録に本店の所在場所を決議した旨の記載があっても,設立の登記の申請書には,本店の所在場所について発起人の過半数の一致があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。
決議は総議決権の過半数かつ出席議決権の3分の2以上です
創立総会の決議は、議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で行います。出席した株主の3分の2だけでは足りず、「議決権を行使することができる設立時株主の議決権の3分の2を有する設立時株主が出席し,出席した当該設立時株主の議決権の3分の2に当たる多数をもって商号を変更する旨の定款変更の創立総会の決議をしたときは」変更後の商号で設立の登記を申請できるとする肢は誤りです。「議決権の過半数を有する設立時株主が出席し,出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上の賛成により設立時役員が選任された旨の記載がある創立総会の議事録」で足りるとする肢も誤りで、その記載だけでは総議決権の過半数の賛成があったことが分かりません。
書面による全員同意があれば創立総会の決議を省略できます
発起人が創立総会の目的である事項を提案し、議決権を行使できる設立時株主の全員が書面または電磁的記録で同意したときは、創立総会の決議があったものとみなされます。議決権を行使できない種類の株式の設立時株主は数に入らず、「普通株式の設立時株主の全員が書面により同意の意思表示をしたときは,創立総会の決議があったものとみなされる場合に該当することを証する書面を添付して設立の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。みなし決議の事項を内容とする創立総会の議事録を添付して申請できるとする肢も正しい肢です。
引受けが未了でも最低額に達していれば登記できます
設立時募集株式の一部に引受けの無いものがあっても、改めて募集をせずに設立の登記を申請できる場合があります。払込みや給付がされた財産の価額が、定款に定めた設立に際して出資される財産の最低額を下回らないときです。「設立時募集株式について引受けが未了であるものが存する場合であっても,出資された財産の価額が定款に定めた設立に際して出資される財産の最低額を下回らないときは,再度引受人の募集をすることなく,設立の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。登記期間は、創立総会の終結の日など会社法911条2項各号の日のうち最も遅い日から2週間です。創立総会で変態設立事項を変更する決議をしたときは、その決議の日から2週間を経過した日がこの比較に加わります。「当該決議がされた創立総会の終結の日から2週間以内にしなければならない」という肢は誤りです。
会社法 第73条(創立総会の決議)
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、当該定款の変更についての創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、設立時株主全員の同意を得なければならない。
創立総会は、第六十七条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 設立時募集株式の数や払込金額を決める書面は発起人の同意書か創立総会議事録か(発起人全員の同意書)
- 資本準備金の定めを創立総会の決議で済ませられるか(済ませられない。発起人全員の同意)
- 本店の所在場所を創立総会で決議したとき発起人の一致書面も要るか(要らない)
- 創立総会の決議要件は出席議決権の3分の2だけで足りるか(足りない。総議決権の過半数も要る)
- 引受け未了の株式があっても最低額を満たせば登記できるか(できる)
この用語が問われた肢
設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合において、定款に設立時募集株式の数、設立時募集株式 1 株と引換えに払い込む金銭の額及び設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日に関する事項の定めがないときは、設立の登記の申請書には、当該事項を決定した発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
発行可能株式総数を定款で定めていない場合において、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日以後に発行可能株式総数を定めたときは、設立の登記の申請書には、発行可能株式総数の定めを設ける旨の定款変更の決議をした創立総会の議事録を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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