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資本金の額の増加と資本準備金しほんきんのがくのぞうかとしほんじゅんびきん

商業登記 第7章 株式と資本金 過去問で6肢

株式の発行に際して払い込まれた財産の額が資本金になり、その2分の1までは資本金に計上せず資本準備金にできる仕組みです。自己株式の処分分は資本金が増えない点と、計上証明書の要否が肢で突かれます。

資本金の額の増加は、設立または株式の発行に際して株主となる者が払い込みまたは給付した財産の額を資本金に計上することで、会社法445条1項が定めます。払込額の2分の1を超えない額は資本金に計上しないことができ、その額は資本準備金として計上します。資本金の額は登記事項なので、募集株式の発行では増加した資本金の額を登記し、登録免許税もその額を課税標準に計算します。肢で突かれるのは、資本金にできる額の上限と、計上の裏付けとして添付する書面です。

会社法 第445条

(資本金の額及び準備金の額)
株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。
合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転又は株式交付に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号、第四号若しくは第五号ロに掲げる事項についての定め又は報酬委員会による第四百九条第三項第三号、第四号若しくは第五号ロに定める事項についての決定に基づく株式の発行により資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。

大きな金庫に硬貨を入れる代表者と、半分を隣の小さな金庫に分ける経理係。奥で職員が帳簿に記入
払込額が資本金になり、2分の1までは資本準備金にでき、自己株式の処分分は資本金が増えません
2分の1まで資本準備金自己株式処分分は資本金にならない募集株式発行は金銭のみでも計上証明書設立は発起人全員の同意

払込額の2分の1までは資本準備金にできます

募集事項として増加する資本金と資本準備金に関する事項を定め、払込額の2分の1を超えない額を資本金に計上しないことができます。計上しないこととした額は必ず資本準備金になり、利益準備金や剰余金にはできません。何も定めなければ払込額の全額が資本金です。資本準備金の額は登記事項ではなく、登記簿に現れるのは資本金の額だけです。払込額が1000万円なら資本金は500万円以上1000万円以下の範囲で定め、残りが資本準備金になります。

自己株式を処分した分は資本金が増えません

募集株式の一部または全部が自己株式であるときは、その処分で払い込まれた額は資本金に計上されず、会社計算規則の定めに従ってその他資本剰余金の増減として処理します。新たに発行する株式と自己株式を同時に割り当てたときは、払込額のうち新株に対応する割合の分だけが資本金の増加の基礎になります。「出資の目的が金銭であり,募集株式の一部が自己株式である場合には,払込みがされた額の全額を増加する資本金の額とする募集株式の発行による変更の登記の申請をすることはできない」という肢は正しい肢です。自己株式だけを処分した場合は資本金の額に変更がなく、発行済株式の総数にも変更がないので、変更の登記そのものが要りません。

募集株式の発行では金銭出資だけでも計上証明書を添付します

資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法と会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付します。募集株式の発行では、出資が金銭のみで全額を資本金にする場合でも添付を省略できず、「出資の目的が金銭のみである場合において、その全額を資本金の額に計上するときは、募集株式の発行による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。「払込みがされた額の全額を資本金の額に計上するときは,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面の添付を要しない」という肢は誤りです。

設立では発起人全員の同意で資本金と資本準備金の額を定めます

設立に際しては、定款に定めがなければ、成立後の会社の資本金と資本準備金の額に関する事項を発起人全員の同意で定めます。払い込まれた財産の額の一部を資本金に計上しないときは、設立の登記の申請書に発起人全員の同意があったことを証する書面を添付します。「当該株式会社に払込み又は給付をした財産の額の一部を資本金として計上しないときは,設立の登記の申請書には,当該事項について発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。募集設立でも発起人全員の同意で定める事項なので、創立総会の議事録を添付させる肢は誤りです。

商業登記規則 第61条第9項

設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 払込額のうち資本金に計上しなくてよいのはどこまでか(2分の1まで。残りは資本準備金)
  2. 募集株式の一部が自己株式のとき払込額の全額を資本金にできるか(できない)
  3. 金銭出資のみで全額を資本金にするとき募集株式の発行の登記に計上証明書は要るか(要る)
  4. 設立で払込額の一部を資本金にしないとき何を添付するか(発起人全員の同意書)

この用語が問われた肢

R8 問32 ウ正しい

出資の目的が金銭のみである場合において、その全額を資本金の額に計上するときは、募集株式の発行による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

R3 問28 ウ正しい

設立しようとする会社の定款に成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項についての定めがない場合において,当該株式会社に払込み又は給付をした財産の額の一部を資本金として計上しないときは,設立の登記の申請書には,当該事項について発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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