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発行可能株式総数はっこうかのうかぶしきそうすう

商業登記 第7章 株式と資本金 過去問で8肢

株式会社が発行することができる株式の総数で、定款に定め、登記事項になります。公開会社では発行済株式の総数の4倍を超えられない場面が決まっており、その場面と設立時の定め方が肢で突かれます。

発行可能株式総数は、株式会社が発行することができる株式の総数で、定款の定めとして登記されます。会社法37条が設立時の定め方を、113条が成立後の変更の枠を定め、会社が発行できる株式の上限を定款で画し、株主の持分が無限に薄まらないようにする仕組みです。定款で定めを廃止することはできず、減少するときも発行済株式の総数を下回ることはできません。肢では、設立時の定め方と、公開会社の4倍の枠がどの場面で働くかが問われます。

会社法 第113条

(発行可能株式総数)
株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。
定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。
一 公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合
二 公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合
新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条第一項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。

枠線だけの大きな箱に株券が四分の一詰まり、代表者が空きを指さし、株主が箱の縁を押さえる
発行可能株式総数は定款で定める発行の上限で、公開会社では発行済株式の総数の4倍までの場面があります
成立までに定款で定める、再認証不要公開会社は4倍規制分割同時の増加は株主総会不要未行使の新株予約権は枠に数えない

設立時は成立までに定款で定め、発起設立の変更に再認証は要りません

発行可能株式総数は定款の絶対的記載事項ではありませんが、会社の成立の時までに定款で定めなければなりません。発起設立では、定款に定めがなければ発起人全員の同意で定款を変更して定めを設け、既に定めがあっても同じ同意で変更できます。公証人の認証を受けた後のこの変更に改めて認証は要らず、「会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは、設立の登記の申請書には、当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない」という肢は誤りです。募集設立では、払込期日以後は創立総会の決議で定め、「設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日以後に発行可能株式総数を定めたときは、設立の登記の申請書には、発行可能株式総数の定めを設ける旨の定款変更の決議をした創立総会の議事録を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

公開会社では4倍を超えられない場面が四つあります

設立時には、公開会社となる会社の設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の4分の1を下ることができません。成立後に定款を変更して発行可能株式総数を増やすときと、定款変更で公開会社になるときは、変更後の発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えられません。譲渡制限の定めを廃止して公開会社になる場合は、登記簿上4倍を超えているなら同時に是正が要ります。「登記簿上、発行可能株式総数が発行済株式の総数の 4 倍を超えているときは、当該申請と併せて、発行可能株式総数が発行済株式の総数の 4 倍を超えない範囲とする発行可能株式総数又は発行済株式の総数を変更する登記の申請をしなければならない」という肢は正しい肢です。公開会社でない会社にはこの枠がありません。

分割と同時の増加と併合時の定めには特則があります

株式の分割と同時に分割の割合の範囲内で発行可能株式総数を増やす定款変更は、株主総会の決議なしにでき、現に2以上の種類の株式を発行している会社だけが除かれます。株式の併合では、株主総会の決議で効力発生日における発行可能株式総数を定め、効力発生日に定款を変更したものとみなされます。併合後の発行可能株式総数も、公開会社では効力発生日の発行済株式の総数の4倍までです。併合後の数が従前と違えば、発行可能株式総数の変更の登記を併合の登記と同時に申請します。公開会社の4倍の枠は、設立時、増加時、公開会社になる時、併合時の四つの場面で働きます。

新株予約権の目的である株式の数も枠の中に収めます

新株予約権者が行使によって取得する株式の数は、発行可能株式総数から自己株式を除いた発行済株式の総数を控除した数を超えてはなりません。行使期間の初日が来ていない新株予約権は数に入れないので、「当該新株予約権の行使をすることができる期間の初日が到来する前に募集株式を発行した場合において,当該募集株式の発行後の発行済株式総数に新株予約権の目的である株式の数を加えた数が当該会社の発行可能株式総数を超えるときは,当該会社の発行可能株式総数の変更の登記をしなければ,当該募集株式の発行による変更の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。行使期間に入った新株予約権があるなら、その分の枠を残したうえで募集株式を発行しなければなりません。

会社法 第37条

(発行可能株式総数の定め等)
発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

試験ではこう問われる

  1. 発起設立で成立前に発行可能株式総数を変えた定款に再度の認証は要るか(要らない。発起人全員の同意)
  2. 募集設立で払込期日以後に発行可能株式総数を定めるのはどこか(創立総会)
  3. 譲渡制限の廃止で4倍を超えているとき何をするか(同時に発行可能株式総数か発行済株式の総数を変える登記)
  4. 行使期間の初日が来ていない新株予約権の目的株式数を枠に数えるか(数えない)

この用語が問われた肢

R7 問29 イ誤り

株式会社の設立が発起設立であり、発行可能株式総数が公証人の認証を受けた定款で定められている場合において、会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは、設立の登記の申請書には、当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない。

R4 問28 オ正しい

発行可能株式総数を定款で定めていない場合において、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日以後に発行可能株式総数を定めたときは、設立の登記の申請書には、発行可能株式総数の定めを設ける旨の定款変更の決議をした創立総会の議事録を添付しなければならない。

R4 問29 ア正しい

株式の譲渡制限に関する定めの廃止による変更の登記の申請をする場合において、登記簿上、発行可能株式総数が発行済株式の総数の 4 倍を超えているときは、当該申請と併せて、発行可能株式総数が発行済株式の総数の 4 倍を超えない範囲とする発行可能株式総数又は発行済株式の総数を変更する登記の申請をしなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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