発起設立ほっきせつりつ
発起人が設立時発行株式の全部を引き受けて株式会社を設立する方法です。定款に無い事項を発起人の全員の同意で決めたか過半数で決めたかが、添付書面の名前になって肢で突かれます。
発起設立は、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けて株式会社を設立する方法です。会社法25条1項1号が定め、募集設立と違って発起人以外の引受人がいないので、創立総会も払込金の保管証明書もありません。発起人が定款を作って公証人の認証を受け、出資を履行し、設立時役員を選任して、本店所在地で設立の登記をすれば会社が成立するという流れです。設立の登記の申請書には、定款に書かれていない事項を発起人がどう決めたかを証する書面を添えます。全員の同意で決める事項と発起人の議決権の過半数で決める事項とが分かれており、この対応が肢で突かれるところです。
会社法 第25条第1項第1号次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法

定款に無い出資の条件は発起人全員の同意で決めます
発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、それと引換えに払い込む金銭の額、成立後の資本金と資本準備金の額に関する事項は、定款に定めが無ければ発起人全員の同意で決めます。設立の登記の申請書には、商業登記法47条3項によりその同意があったことを証する書面を添付します。「当該設立が発起設立である場合において,定款に発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数の記載がなく,後にこれを定めたときは,これを定めるにつき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。払い込む金銭の額についての同じ型の肢も正しい肢で、払込みや給付をした財産の額の一部を資本金として計上しないときにも、発起人全員の同意があったことを証する書面が要ります。
設立時役員の選任は発起人の議決権の過半数で決めます
定款で設立時取締役などを定めなかったときは、発起人が出資の履行後に選任しますが、その決定は発起人全員の同意ではなく発起人の議決権の過半数で足ります。添付するのは、発起人の議決権の過半数による決定があったことを証する書面で、人数の過半数ではなく出資の履行をした株式一株につき一個の議決権で数えます。「当該設立が発起設立である場合において,定款で設立時取締役,設立時会計参与,設立時監査役又は設立時会計監査人を定めず,後にこれらの者を選任したときは,これらの者の選任につき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。設立時会計参与について発起人全員の同意を要求する肢も、設立時取締役について発起人の全員の同意があったことを証する書面を要求する肢も、同じ理由で誤りとされています。本店や支店の具体的な所在場所、株主名簿管理人の決定は発起人の過半数の一致で決め、こちらは人数で数えます。
定款を変えなければならない事項は同意書では済みません
公証人の認証を受けた定款は、会社の成立前は発行可能株式総数に関する変更と検査役の報告を受けた裁判所の決定による変更を除いて変えられません。単元株式数は定款の記載事項なので、発起人の同意で後から設けることはできず、「後に発起人全員が単元株式数の定めを設ける旨の同意をしたときは,単元株式数に関する事項について,当該同意があったことを証する書面を添付して設立の登記を申請することができる」という肢は誤りです。他方で発行可能株式総数は、定款で定めていても成立の時までに発起人全員の同意で変更でき、改めて認証を受ける必要はありません。「会社の成立前に発行可能株式総数を変更したときは,設立の登記の申請書には,当該変更後に改めて公証人の認証を受けた定款を添付しなければならない」という肢は誤りです。商号のように成立前に変えられない事項を変えたいときは、変更後の定款について改めて公証人の認証を受けます。
定款の認証より前に引受けや選任があっても登記は受理されます
設立時発行株式の引受けや設立時取締役の選任が公証人の認証より先に行われ、その後に定款の認証がされた場合でも、登記実務ではその定款を添付して設立の登記を申請できると扱われています。「公証人による定款の認証を受ける前に設立時発行株式の引受け及び設立時取締役の選任がされ,その後に定款の認証を受けた場合には,当該定款を添付して,設立の登記を申請することができない」という肢は誤りです。監査役設置会社で設立時監査役の選任が認証より前だったときも同じで、「その後に定款の認証がされたとしても,設立の登記の申請は受理されない」という肢は誤りです。
変態設立事項が無ければ調査報告書は要りません
設立時取締役は選任後に出資の履行の完了などを調査しますが、設立の登記の申請書に調査報告を記載した書面を添付するのは、定款に現物出資などの変態設立事項の記載があるときに限られます。「当該設立が発起設立であり,定款にいわゆる変態設立事項についての定めがない場合には,設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することなく,設立の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。発起人が法人である場合も、その法人の代表取締役が設立時代表取締役を兼ねるからといって利益相反取引の承認を証する議事録は要らず、「B株式会社において利益相反取引を承認した株主総会又は取締役会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りです。
商業登記法 第47条第3項登記すべき事項につき発起人全員の同意又はある発起人の一致を要するときは、前項の登記の申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 定款に無い割当株式数・払込金額・資本金の額を決める書面は全員の同意か過半数の一致か(全員の同意)
- 定款で定めなかった設立時取締役や設立時会計参与の選任に発起人全員の同意書が要るか(要らない。発起人の議決権の過半数)
- 単元株式数を発起人の同意で後から設けられるか(設けられない。定款の変更が要る)
- 発行可能株式総数を成立前に変えたら定款の再認証が要るか(要らない。全員の同意)
- 定款の認証前に引受けや選任があったら登記は受理されないか(受理される)
この用語が問われた肢
当該設立が発起設立である場合において、定款に設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額の定めがなく、後にこれを定めたときは、設立の登記の申請書には、これを定めるにつき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
設立しようとする会社の定款に成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項についての定めがない場合において,当該株式会社に払込み又は給付をした財産の額の一部を資本金として計上しないときは,設立の登記の申請書には,当該事項について発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。