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払込みを証する書面はらいこみをしょうするしょめん

商業登記 第4章 株式会社の設立 過去問で9肢

出資として金銭の払込みがあったことを証するために設立の登記の申請書に添付する書面で、発起設立では設立時代表取締役の証明書に通帳の写しを合綴したものが典型です。誰が作るか、募集設立では保管証明書が要るかが肢で突かれます。

払込みを証する書面は、発起人や引受人が出資として金銭を払い込んだことを証するために、設立の登記の申請書に添付する書面です。商業登記法47条2項5号が定めます。発起設立では払込取扱機関の払込金受入証明書のほか、会社を代表すべき者が作成した払い込まれた金額を証明する書面に預金通帳の写しなどを合綴したものを使えます。募集設立では、これに代えて払込取扱金融機関が交付する払込金の保管に関する証明書を添付します。肢で突かれるのは、誰が作った書面なら通るか、どの口座への払込みなら通るか、そして募集設立で保管証明書を省略できるかです。

商業登記法 第47条第2項第5号

会社法第三十四条第一項の規定による払込みがあつたことを証する書面(同法第五十七条第一項の募集をした場合にあつては、同法第六十四条第一項の金銭の保管に関する証明書)

銀行の窓口で発起人が硬貨を預け、設立時代表取締役が通帳の写しを証明書に重ねてクリップで留める
払込みを証する書面は、発起設立では代表者の証明書に通帳の写しを合綴したもの、募集設立では払込金の保管証明書です
設立時代表取締役が作成出資金領収書は不可募集設立は保管証明書第三者名義は委任書面

発起設立では代表者の証明書に通帳の写しを合綴します

発起設立の払込みを証する書面は、払込取扱機関の証明書に限られません。会社を代表すべき者が作成した払込取扱機関に払い込まれた金額を証明する書面に、口座の入金の記録が分かる預金通帳の写しや取引明細を合綴したものでも足ります。作成者は設立時代表取締役や設立時代表執行役で、代表取締役を定めない取締役会設置会社でない会社では設立時取締役が作りますが、設立時監査役ではありません。「設立の登記の申請書に,設立時監査役の作成に係る金銭の払込みがあったことを証する書面を添付して,設立の登記の申請をすることができる」という肢は誤りです。代表者が作った出資金領収書だけでも足りず、「設立時代表取締役が作成した出資金領収書を添付することができる」という肢は誤りです。合同会社では代表社員が作成した出資金領収書でも足り、株式会社との違いが肢になります。

募集設立では払込金の保管証明書が要ります

募集設立では、発起人は払込取扱機関に対して払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求でき、設立の登記の申請書にはこの保管証明書を添付します。発起人の出資分についても通帳の写しによる書面で代えることはできず、「払込金のうち発起人の出資の履行部分については,金銭の保管に関する証明書に代えて,払込取扱金融機関における預金口座に入金の記録のある預金通帳の写しを合てつした設立時代表取締役の作成に係る払込取扱金融機関に払い込まれた金銭を証明する書面を添付して,設立の登記を申請することができる」という肢は誤りです。保管証明書を交付した払込取扱機関は、記載が事実と違うことや返還の制限があることを成立後の会社に対抗できません。

第三者名義の口座なら受領権限の委任を証する書面が要ります

払込先の口座は発起人の名義が原則で、発起人を兼ねない設立時取締役の名義の口座を使うときは、発起人がその設立時取締役に払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面を添付します。登記実務では、発起人と設立時取締役の全員が日本国内に住所を持たないことが添付書面から明らかな場合に限り、それ以外の第三者の名義の口座への払込みも認められています。第三者名義の場合も同じ委任を明らかにする書面を添付します。「添付書面の記載から発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかである場合において,発起人及び設立時取締役以外の者名義の預金口座に出資に係る金銭が払い込まれたときは,当該設立の登記の申請書には,発起人が当該預金口座の名義人に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。他方で、法人発起人の代表取締役を兼ねる個人の口座に払い込んだ場合の肢があります。名義人が設立時取締役でなく、国内に住所を持たないという事情も無いまま委任を証する書面で申請できるとする肢は誤りです。

海外支店の口座でも払込みを証する書面になります

払込取扱機関は銀行、信託会社などで、内閣総理大臣の認可を受けて設置された邦銀の海外支店もこれに当たります。「内閣総理大臣の認可を受けて設置された邦銀の海外支店を払込取扱機関として,代表取締役の作成に係る当該海外支店に払い込まれた金額を証する書面に当該海外支店における口座の預金通帳の写しを合てつしたものを添付することができる」という肢は正しい肢です。払込みが定款の認証より前でも差し支えなく、登記実務では、定款の作成日より前の払込みであっても、その設立に際して出資されたものと認められれば受理されると扱われています。

新株予約権や募集株式でも同じ名前の書面が要ります

払込みを証する書面は設立だけの書面ではありません。募集株式の発行では払込みがあったことを証する書面を添付し、新株予約権の行使では、行使に際して金銭を出資するときは自己株式のみを交付する場合でも払込みを証する書面が要ります。「当該新株予約権の行使により自己株式のみが交付されるときであっても,新株予約権の行使による変更の登記の申請書には,その行使に係る新株予約権についての払込みがあったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。募集新株予約権の発行で払込みを証する書面を添付するのは、払込期日が割当日より前のときだけです。

会社法 第64条第1項

第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

試験ではこう問われる

  1. 発起設立の払込証明書は誰が作るか(設立時代表取締役または設立時取締役。設立時監査役ではない)
  2. 設立時代表取締役の出資金領収書で足りるか(足りない。合同会社の代表社員なら足りる)
  3. 募集設立で発起人の出資分を通帳の写しで済ませられるか(済ませられない。保管証明書)
  4. 第三者名義の口座に払い込んだときの添付書面は何か(受領権限の委任を明らかにする書面)
  5. 自己株式のみを交付する新株予約権の行使に払込みを証する書面は要るか(要る)

この用語が問われた肢

R7 問29 オ誤り

株式会社の設立が発起設立である場合の設立の登記の申請書には、出資の目的である金銭の払込みがあったことを証する書面として、設立時代表取締役が作成した出資金領収書を添付することができる。

R4 問28 エ誤り

払込金のうち発起人の出資の履行部分については、金銭の保管に関する証明書に代えて、払込取扱金融機関における預金口座に入金の記録のある預金通帳の写しを合てつした設立時代表取締役の作成に係る払込取扱金融機関に払い込まれた金銭を証明する書面を添付して、設立の登記を申請することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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