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持分会社の資本金の額もちぶんがいしゃのしほんきんのがく

商業登記 第12章 持分会社 過去問で8肢

持分会社のうち合同会社だけが登記する資本金の額と、その増減の手続です。資本金の額の決め方、増加と減少の添付書面、合同会社の減少に債権者保護手続が要ることが肢で突かれます。

持分会社の資本金の額は、社員の出資のうち会社が資本金として計上した額です。合名会社と合資会社では登記事項ではなく、合同会社だけが資本金の額を登記するので、登記の論点はほぼ合同会社の話になります。資本金の額は出資された財産の額の範囲内で会社が定め、株式会社のような2分の1の下限はありません。増加は新しい出資や資本剰余金の組入れで起き、減少は損失のてん補や出資・持分の払戻しのために認められ、合同会社の減少には債権者保護手続が要ります。肢で突かれるのは、決定の頭数と添付書面、そして減少の手続です。

会社法 第914条

(合同会社の設立の登記)
合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
七 合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
八 合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
九 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
十 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
 イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
 ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
十一 第九号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

出資者の硬貨の山を腕章の出資者が金庫と棚に分け、奥で職員が金庫の額だけを帳簿に記入
持分会社の資本金の額は合同会社だけが登記し、出資額の範囲で業務執行社員が決めます
2分の1の下限なし、零も可総社員の同意は不要減資に計上証明書と債権者保護合名・合資に資本金の登記なし

資本金の額は出資額の範囲で業務執行社員が決め、下限はありません

合同会社の資本金の額は、出資として払込みや給付がされた財産の額の範囲内で会社が定め、零とすることもできます。「資本金の額として,出資として払込み又は給付がされた財産の価額の2分の1以上の額を記載しなければならない」という肢は誤りです。決定は業務執行社員の過半数の一致などによる業務の決定で、定款の変更ではないので総社員の同意は要りません。「定款に資本金の額を定めていないときは,合同会社の設立の登記の申請書には,資本金の額の決定に係る総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。

増加の登記には払込証明が要り、金銭以外なら計上証明書も要ります

新しい社員の出資による加入で資本金の額を増やすときは、払込みや給付があったことを証する書面を添付し、出資が金銭以外の財産を含むときは資本金の額の計上に関する証明書も添付します。出資が金銭だけなら計上証明書は要らず、設立の登記でも同じ扱いになります。「当該出資に係る財産が金銭以外のものであるときは,当該資本金の額の増加による変更の登記の申請書には,資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。資本剰余金を資本金に組み入れる場合も同じで、「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面並びに資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。変更日は出資を伴う加入なら払込みを完了した日です。

減少には債権者保護手続と計上証明書が要ります

合同会社は損失のてん補、出資の払戻し、持分の払戻しのために資本金の額を減少でき、債権者は異議を述べられます。会社は官報に公告し、知れている債権者には各別に催告し、期間は1か月を下回れません。定款で定めた公告方法に従って日刊新聞紙や電子公告を官報に加えれば各別の催告を省けます。減少の登記には公告と催告をしたことを証する書面と、異議を述べた債権者への弁済などを証する書面、計上証明書を添付します。「合同会社の資本金の額の減少による変更の登記の申請書には,資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付することを要しない」という肢は誤りで、株式会社の減資と扱いが逆です。減少の決定は業務の決定なので、「当該資本金の額の減少につき総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。

合名・合資会社には資本金の額の登記がありません

合名会社と合資会社は無限責任社員がいるので資本金の額を登記せず、合資会社では代わりに有限責任社員の出資の目的と価額、既に履行した出資の価額を登記します。株式会社や合同会社と違い、増資や減資という登記は存在しません。合名会社や合資会社にも会計上の資本金はありますが登記事項ではなく、株式会社に組織変更するときは組織変更後の資本金の額の計上証明書が必要です。合同会社が合名会社や合資会社になる種類の変更では、資本金の額の登記は変更後の会社の登記事項から消えます。

商業登記法 第120条

(資本金の額の減少による変更の登記)
資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、会社法第六百二十七条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該資本金の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 合同会社の資本金の額に払込額の2分の1という下限はあるか(ない。零も可)
  2. 資本金の額の決定や減少に総社員の同意は要るか(要らない。業務執行社員の過半数の一致)
  3. 合同会社の減資に計上証明書は要るか(要る。株式会社の減資は不要)
  4. 合同会社の減資に債権者保護手続は要るか(要る。定款所定の日刊新聞紙や電子公告で催告を省ける)
  5. 合名会社・合資会社に資本金の額の登記はあるか(ない)

この用語が問われた肢

R3 問33 エ誤り

合同会社を設立しようとする場合において,定款に資本金の額を定めていないときは,合同会社の設立の登記の申請書には,資本金の額の決定に係る総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

R3 問33 ウ正しい

合同会社における資本剰余金の資本組入れによる資本金の額の変更の登記の申請書には,業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面並びに資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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