持分会社の解散・清算もちぶんがいしゃのかいさんせいさん
持分会社が解散して清算に入る仕組みで、株式会社と違って総社員の同意や社員が欠けたことが解散事由になり、合名・合資会社には任意清算があります。清算人の決まり方と添付書面、任意清算の範囲が肢で突かれます。
持分会社の解散・清算は、合名会社・合資会社・合同会社が解散し、清算持分会社として財産関係を整理する手続です。会社法641条は存続期間の満了、解散事由の発生、総社員の同意、社員が欠けたこと、合併、破産手続開始の決定、解散命令の七つを解散事由とします。清算人は定款で定める者か社員の過半数の同意で定める者がいればその者、いなければ業務執行社員で、合名会社と合資会社は財産の処分の方法を定めて清算人を置かない任意清算もできます。肢で突かれるのは、株式会社との違い、清算人の登記の添付書面、清算中の退社の扱いです。
会社法 第641条(解散の事由)
持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 総社員の同意
四 社員が欠けたこと。
五 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)
六 破産手続開始の決定
七 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第二項の規定による解散を命ずる裁判

解散事由は七つで、総社員の同意と社員が欠けたことが特徴です
持分会社は、定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生、総社員の同意、社員が欠けたこと、合併による消滅、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判で解散します。株主総会の決議に代わるのが総社員の同意で、社員が一人もいなくなると当然に解散します。申請で解散の登記をするのは前の四つの事由で、2週間以内に本店の所在地で登記し、定款で定めた事由の発生なら事由の発生を証する書面を添付します。社員の死亡を解散事由と定款で定めた合資会社で社員が死亡しても、「Aの死亡による変更の登記,解散の登記及び清算人の登記は,同時に申請しなければならない」という肢は誤りで、同時申請の義務はありません。
清算人は定款か社員の同意で定め、いなければ業務執行社員です
清算持分会社の清算人は、定款で定める者か社員の過半数の同意で定める者がいればその者で、いなければ業務執行社員がなり、誰もいなければ裁判所が選任します。業務執行社員を定款で定めた会社では、選任の同意はその業務執行社員の過半数によります。社員が欠けたことや解散命令、設立無効・取消しの判決で清算に入ったときは裁判所が選任します。添付書面は、業務執行社員なら定款、定款で定めた者なら定款と就任承諾書、社員の同意で定めた者なら同意を証する書面と就任承諾書、裁判所が選任した者なら選任決定書です。各清算人が会社を代表するのが原則で、定款または定款の定めに基づく清算人の互選で代表する清算人を定められ、業務執行社員が清算人になる場合は代表社員が代表清算人になります。会社を代表する清算人が法人のときは職務執行者の氏名と住所を登記し、その就任や退任の登記には選任書面と就任承諾書などを添付します。
清算中は破産による退社が止まり、相続人が持分を承継します
清算持分会社には任意退社や破産・解散・後見開始による法定退社の規定が適用されません。「清算中の合名会社において,社員の一人について破産手続開始の決定があった場合には,当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。清算中に社員が死亡したときは、定款の定めがなくても相続人が持分を承継します。清算人が二人以上いれば、定款に別段の定めがない限り清算持分会社の業務は清算人の過半数で決め、社員が二人以上いれば事業の全部または一部の譲渡は社員の過半数で決めます。
合名・合資会社は任意清算ができ、合同会社はできません
合名会社と合資会社は、定款または総社員の同意で財産の処分の方法を定めることができ、存続期間の満了、解散事由の発生、総社員の同意で解散した場合にはその方法で清算します。任意清算では清算人を置かず、債権申出の公告も法定清算の手続も適用されません。合同会社は社員が有限責任なので任意清算が認められず、2か月以上の債権申出の公告と各別の催告を経て清算します。清算結了の登記の添付書面は清算に係る計算の承認を証する書面で、任意清算では財産の処分が完了したことを証する総社員が作成した書面です。
継続は社員の同意で、同意しない社員は退社します
存続期間の満了、解散事由の発生、総社員の同意で解散した持分会社は、清算結了まで社員の全部または一部の同意で継続できます。継続に同意しなかった社員は継続の日に退社するので、継続の登記と退社の登記を併せて申請します。「当該合名会社を継続することについて同意しなかった社員については,社員の退社による変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。設立無効や設立取消しの判決が確定した会社で原因が一部の社員にあるときは、他の社員全員の同意で継続でき、継続の登記に判決の謄本を添付します。
商業登記法 第99条(清算人の登記)
次の各号に掲げる者が清算持分会社の清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、当該各号に定める書面を添付しなければならない。
一 会社法第六百四十七条第一項第一号に掲げる者 定款
二 会社法第六百四十七条第一項第二号に掲げる者 定款及び就任を承諾したことを証する書面
三 会社法第六百四十七条第一項第三号に掲げる者 就任を承諾したことを証する書面
四 裁判所が選任した者 その選任及び会社法第九百二十八条第二項第二号に掲げる事項を証する書面
第九十四条(第二号に係る部分に限る。)の規定は、清算持分会社を代表する清算人(前項第一号又は第四号に掲げる者に限る。)が法人である場合の同項の登記について準用する。
第九十四条(第二号又は第三号に係る部分に限る。)の規定は、清算持分会社の清算人(第一項第二号又は第三号に掲げる者に限る。)が法人である場合の同項の登記について準用する。
試験ではこう問われる
- 持分会社に固有の解散事由は何か(総社員の同意、社員が欠けたこと)
- 清算持分会社の清算人は誰か(定款で定める者か社員の過半数で定める者、いなければ業務執行社員、誰もいなければ裁判所の選任)
- 清算中の社員の破産で退社の登記は要るか(要らない)
- 任意清算ができるのはどの会社か(合名会社・合資会社。合同会社はできない)
- 継続に同意しなかった社員はどうなるか(退社し、退社の登記を申請する)
この用語が問われた肢
清算中の合名会社において,社員の一人について破産手続開始の決定があった場合には,当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない。
定款で定めた存続期間の満了によって解散した合名会社が、社員の一部の同意によって継続する場合には、当該合名会社を継続することにつき同意しなかった社員について、社員の退社による変更の登記を申請しなければならない。
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