業務執行社員と代表社員ぎょうむしっこうしゃいんとだいひょうしゃいん
持分会社の業務を執行する社員と会社を代表する社員で、定款で定めなければ全社員が業務執行社員として各自会社を代表します。登記されるかどうかは会社の種類で変わり、任期の扱いと決定の頭数が肢で突かれます。
業務執行社員と代表社員は、持分会社の運営の担い手です。社員は定款に別段の定めがなければ全員が業務を執行し、業務執行社員は各自が会社を代表します。定款または定款の定めに基づく社員の互選で業務執行社員の中から代表社員を定めることができ、代表社員の氏名は代表しない社員がいる場合に限って登記されます。合同会社では業務執行社員の氏名と代表社員の氏名・住所が常に登記事項です。肢で突かれるのは、任期の定めがある場合の登記の要否、決定を要する頭数、有限責任社員が代表になれるかです。
会社法 第590条(業務の執行)
社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
前項の規定にかかわらず、持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の社員が異議を述べた場合は、この限りでない。

定款で定めなければ全社員が業務を執行し、各自が会社を代表します
社員は定款に別段の定めがある場合を除き持分会社の業務を執行し、二人以上いれば業務は社員の過半数で決めます。業務を執行する社員を定款で定めたときは、その過半数で決め、常務は各業務執行社員が単独でできる仕組みです。業務執行社員は善良な管理者の注意で職務を行い、定款に別段の定めがなければ、会社や他の社員の求めがあればいつでも執行の状況を報告する義務を負います。業務執行社員は各自が会社を代表しますが、定款または定款に基づく社員の互選で代表社員を定めれば、その者だけが代表します。代表社員の氏名が登記されるのは代表しない社員がいる場合に限られ、合同会社では常に代表社員の氏名と住所を登記します。
任期の定めがあっても、再指定なら登記は要りません
定款で業務執行社員の任期を定めた合同会社で、任期満了後直ちに同じ社員が再び業務執行社員に定められたときは、登記事項に変更がないので登記は要りません。「任期満了後,直ちにその業務執行社員が再び業務執行社員に定められたときは,業務執行社員の選任による変更の登記の申請を要しない」という肢は正しい肢です。株式会社の役員のような重任の登記はなく、「業務執行社員の重任による変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。持分会社の業務執行社員には就任の年月日が登記されないので、同じ人が続く限り登記記録に動きはありません。任期の定めは定款の内部の約束にとどまり、登記官が任期の経過を審査することもありません。
有限責任社員も業務執行社員や代表社員になれます
合資会社の有限責任社員も定款で業務執行社員に定めることができ、業務執行権のある有限責任社員を互選で代表社員にすることもできます。「業務執行権を有する有限責任社員を代表社員に互選したことを証する書面を添付しても,代表社員の選任による変更の登記の申請をすることができない」という肢は誤りです。業務執行社員を定款で定めたときは、定款に別段の定めがない限り、正当な事由がなければ辞任できず、解任も正当な事由がある場合に他の社員の一致で行います。業務執行権や代表権の消滅の訴えで判決が確定したときの登記は裁判所書記官の嘱託です。定款で定めた業務執行社員の全員が退社したときは、その定款の定めは効力を失い、残った社員全員が業務執行社員に戻ります。
支店は業務執行社員の過半数、支配人は社員の過半数が原則です
業務執行社員を定款で定めた会社では、定款に別段の定めがない限り、支店の設置のような業務の決定は業務執行社員の過半数で行い、申請書にその一致を証する書面を添付します。支配人の選任と解任は例外的に社員の過半数で決めるのが原則で、定款で業務執行社員の過半数とすることもできますが、定めがなければ申請書に添付するのは社員の過半数の一致を証する書面です。「合資会社における支配人の選任の登記の申請書には,業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。合同会社で業務執行社員が業務を執行しないことになったときは、業務執行権の喪失による変更の登記を申請します。
会社法 第599条(持分会社の代表)
業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。
持分会社は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。
持分会社を代表する社員は、持分会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
試験ではこう問われる
- 定款に定めがないとき誰が業務を執行し会社を代表するか(全社員が業務を執行し各自代表する)
- 任期満了後に同じ業務執行社員が再指定されたとき重任の登記は要るか(要らない)
- 合資会社の有限責任社員は代表社員になれるか(なれる)
- 支店設置と支配人選任の決定の頭数はどう違うか(支店は業務執行社員の過半数、支配人は社員の過半数)
- 合名会社で代表社員の氏名が登記されるのはどんなときか(会社を代表しない社員がいるとき)
この用語が問われた肢
定款に業務執行社員につき任期の定めがある合同会社において,当該定款の規定による業務執行社員の任期満了後直ちに当該業務執行社員が再度業務執行社員に指定された場合には,業務執行社員の重任による変更の登記を申請しなければならない。
業務執行社員が 2 人以上ある場合には、合名会社における支店の設置の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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