目的もくてき
会社が営む事業の内容で、定款の絶対的記載事項であり会社法911条3項1号の登記事項です。適法性・営利性・明確性の審査、具体性が平成18年から審査されなくなったこと、目的変更の登記の決議と登録免許税、法人が発起人になるときの目的の範囲が肢で突かれます。
目的は、会社がどのような事業を営むかを示す事項で、会社法27条1号により定款の絶対的記載事項、会社法911条3項1号により設立の登記の登記事項です。会社の権利能力は民法34条により定款で定めた目的の範囲内に限られるとされますが、判例は目的の範囲を遂行に必要な行為まで広く解しています。登記官は目的が適法で、営利性があり、意味が明確かを審査します。平成18年5月1日の会社法施行後は、事業の具体性は審査の対象から外れました。肢で突かれるのは、審査の基準、目的変更の登記の手続、法人が発起人になる場面です。
会社法 第27条(定款の記載又は記録事項)
株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所

審査は適法性・営利性・明確性で、具体性は審査しません
目的が法律で禁じられた事業なら適法性を欠き、営利を目的としない活動だけなら株式会社の目的として営利性を欠く扱いです。意味が分からない語や外国語だけの目的は明確性を欠くので、日本語で誰が読んでも意味が取れる言葉で書きます。会社法施行前は「商業」や「サービス業」のような包括的な目的は具体性がないとして受理されませんでしたが、類似商号の規制の廃止とともに具体性は審査しないことになり、現在は広い書き方も登記できます。許認可が要る事業は、許認可の申請の際に目的に記載があることを求められるので、登記の段階で漏れなく書いておく必要があります。
目的の変更は特別決議の定款変更で、登記事項の変更として3万円です
目的の変更は定款変更なので、会社法466条と309条2項11号により株主総会の特別決議で決め、登記には株主総会議事録と株主リストを添付します。登記すべき事項には変更後の目的を全部書き、登録免許税は登記事項の変更の区分で3万円です。商号変更と同時に申請しても同じ区分なので合わせて3万円で足りますが、本店移転は別の区分で管轄内でも3万円が加わります。許認可を受けた事業を目的から外すときも、登記の添付書面として許認可庁の承認は要りません。
法人発起人は目的の範囲外が明らかでない限り受理されます
会社が他の会社の発起人になることは、発起人となる会社の目的の範囲内の行為である必要があります。登記官は添付書面から判断し、明らかに範囲外と認められない限り設立の登記を受理します。「法人が発起人である場合には,申請書の添付書面によって,申請に係る会社設立の発起行為が明らかに当該法人の目的の範囲外のものと認められない限り,設立の登記の申請は受理される」という肢は正しい肢です。発起人が法人であることを理由にその登記事項証明書を設立の登記に添付する必要はなく、設立しようとする会社の目的と発起人の目的に関連があれば足ります。
目的の範囲は権利能力の限界ですが、判例は広く解しています
民法34条により法人は定款で定めた目的の範囲内で権利を持ち義務を負います。判例は会社について、目的の遂行に必要な行為や社会通念上期待される行為を広く範囲内と解し、政治献金や寄付も認めています。目的の範囲外の取引が無効になる場面は実際にはほとんどなく、登記の目的は取引の相手方に事業の内容を知らせる公示の意味が中心です。一般財団法人のように目的が事業の成功の不能という解散事由に結びつく法人もあり、株式会社では目的の達成を解散事由にするには定款で解散の事由として定めて登記します。
「出資の目的」は別の概念で、肢の文脈で読み分けます
商業登記の肢で「目的」の語は、事業の目的のほかに「出資の目的」という意味でも頻繁に使われます。出資の目的は金銭か現物かという出資の対象のことで、現物出資の検査役の調査や資本金の額の計上に関する証明書の要否を問う場面に出てきます。「出資の目的が金銭であり,募集株式の一部が自己株式である場合には,払込みがされた額の全額を増加する資本金の額とする募集株式の発行による変更の登記の申請をすることはできない」という肢は正しい肢ですが、事業の目的とは無関係です。目的の語が出たら、定款の事業目的か出資の対象かを文脈で切り分けてから読みます。
会社法 第911条第3項第1号目的
試験ではこう問われる
- 登記官が目的について審査するのは何か(適法性・営利性・明確性。具体性は審査しない)
- 目的の変更の決議要件は何か(株主総会の特別決議)
- 目的変更と商号変更を同時に申請したときの登録免許税はいくらか(合わせて3万円。本店移転は別区分)
- 法人が発起人のとき目的の範囲をどう審査するか(明らかに範囲外でない限り受理)
- 「出資の目的」は事業の目的と同じか(違う。出資の対象を指す)
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