資本金の額の減少しほんきんのがくのげんしょう
株主総会の決議と債権者保護手続を経て資本金の額を減らす手続で、減少分は準備金またはその他資本剰余金になります。決議の種類が三段階に分かれる点と、添付書面の要否が肢で突かれます。
資本金の額の減少は、株主総会の決議で減少する額と効力発生日を定め、債権者保護手続を経て資本金の額を減らす手続です。会社法447条が定め、減少する額はその日の資本金の額を超えられず、減少分の全部または一部を準備金にすることもできます。資本金の額は登記事項なので、効力が生じたら2週間以内に変更の登記を申請し、商業登記法70条の書面を添付します。肢は、決議の種類、債権者保護手続、添付書面の三つを組み合わせて作られます。
会社法 第447条(資本金の額の減少)
株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

決議は特別決議が原則で、二つの場面で緩みます
資本金の額の減少は株主総会の特別決議が原則です。定時株主総会で、その日の欠損の額を超えない範囲で減少するときは普通決議で足り、「当該定時株主総会の日における欠損の額を超えない範囲で資本金の額を減少する旨の決議が普通決議によりされたとしても,その旨の記載がされた株主総会の議事録を添付して,資本金の額の減少による変更の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。株式の発行と同時に減少し、効力発生日後の資本金の額が日前の額を下回らないときは、取締役の決定または取締役会の決議で足ります。「当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、資本金の額の変更の登記の申請書には、当該資本金の額の減少に関する株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢は誤りです。
債権者保護手続は欠損填補でも株式の発行と同時でも省けません
資本金の額を減少する場合は、理由を問わず債権者が異議を述べることができ、官報公告と知れている債権者への各別の催告を行います。官報のほかに定款で定めた日刊新聞紙または電子公告で公告したときは、各別の催告を省略できます。欠損填補のための減資でも、株式の発行と同時で資本金の額が減らない場合でも例外はありません。「当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときであっても,当該資本金の額の減少による変更の登記の申請書には,債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。減少の効力は定めた効力発生日に生じますが、手続が終わっていなければその日が来ても効力は生じません。
欠損填補の減資には欠損の額を証する書面も要ります
申請書には、官報公告と各別の催告をしたことを証する書面、異議を述べた債権者がいれば弁済や担保提供をしたこと、または害するおそれがないことを証する書面を添付します。定時株主総会の普通決議による欠損填補の減資では、一定の欠損の額が存在することを証する書面も要ります。「資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、一定の欠損の額が存在することを証する書面を添付することを要しない」という肢は誤りです。株式会社の減資では、減少額が登記簿上の資本金の額を超えないことを登記官が確認できます。資本金の額の計上に関する証明書は登記実務では添付を要しないと扱われ、要しないとする肢は正しい肢です。合同会社の減資では計上証明書が要り、要しないとする肢は誤りです。
額が元に戻っても登記は要り、無効判決は嘱託で登記されます
資本金の額の減少と同時に募集株式を発行して、減少後の資本金の額が元の額と同額になっても、減少と増加の二つの変更が生じているので登記の申請は要ります。「当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額と同額であるときは,資本金の額の変更の登記の申請をすることを要しない」という肢は誤りです。減資の無効の訴えの認容判決が確定したときは、裁判所書記官の嘱託によって登記され、会社が抹消を申請するのではありません。「資本金の額の減少の無効の訴えに係る請求を認容する判決書の謄本及び確定証明書を添付して、当該変更の登記の抹消を申請しなければならない」という肢は誤りです。
商業登記法 第70条(資本金の額の減少による変更の登記)
資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、会社法第四百四十九条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該資本金の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 定時総会で欠損の額の範囲内で減資するときの決議はどれか(普通決議。欠損の額を証する書面を添付)
- 株式の発行と同時の減資で資本金の額が下回らないとき株主総会議事録は要るか(要らない。取締役会議事録または取締役の決定書で足りる)
- 欠損填補や株式の発行と同時の減資で債権者保護手続は省けるか(省けない)
- 株式会社の減資の登記に計上証明書は要るか(登記実務では要らない。合同会社は要る)
- 減資の無効の判決が確定したとき会社が抹消を申請するか(しない。裁判所書記官の嘱託)
この用語が問われた肢
株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、資本金の額の変更の登記の申請書には、当該資本金の額の減少に関する株主総会の議事録を添付しなければならない。
定時株主総会において、当該定時株主総会の日における欠損の額を超えない範囲で資本金の額を減少する旨の決議が普通決議によりされた場合であっても、資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、一定の欠損の額が存在することを証する書面を添付することを要しない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。