新株予約権付社債しんかぶよやくけんつきしゃさい
新株予約権を付した社債で、社債の部分と新株予約権の部分を切り離さずに扱う証券です。募集の手続がどちらの規定によるか、登記に現れるのはどちらか、組織再編で社債権者を債権者保護の相手に含めるかで肢が作られます。
新株予約権付社債は、会社法2条22号が定める、新株予約権を付した社債です。社債権者として償還を受ける地位と、新株予約権者として株式の交付を受ける地位を1つの証券が併せ持ち、どちらかが消滅するまで一方だけを譲渡することはできません。募集は新株予約権の規定で進め、登記簿に現れるのも新株予約権の部分だけです。肢で突かれるのは、組織再編のときに社債権者を誰が債権者保護手続の相手にするかです。
会社法 第2条第1項第22号新株予約権付社債 新株予約権を付した社債をいう。

社債と新株予約権を一体で扱い、数は社債の金額ごとに均等に定めます
新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、その新株予約権付社債についての社債の金額ごとに均等に定めます。社債の金額が100万円の社債券に新株予約権1個という形で、どの社債券も同じ割合になる仕組みです。新株予約権付社債の社債権者は、社債が消滅した後でなければ新株予約権のみを譲渡できず、新株予約権が消滅した後でなければ社債のみを譲渡できません。証券を発行するときは社債券ではなく新株予約権付社債券を発行し、新株予約権が残ったまま社債を償還するときは券面の提示を求めて償還した旨を記載できます。新株予約権付社債券が発行されているときの組織再編では、新株予約権証券ではなく新株予約権付社債券の提出に関する公告をします。
募集は新株予約権の規定で進め、社債の募集規定は適用されません
新株予約権付社債を募集するときは、募集事項に676条各号の社債に関する事項を含めたうえで、238条以下の募集新株予約権の手続で進めます。676条から680条までの募集社債の規定は、新株予約権付社債の社債部分には適用されません。総数引受契約をするときは、新株予約権の総数と社債の総額の両方を引き受ける契約になります。申込者への割当ての通知には、割り当てる新株予約権の数とともに社債の種類と金額の合計額を含めます。
登記されるのは新株予約権の部分だけで、社債は登記簿に現れません
社債は株式会社の登記事項ではなく、新株予約権付社債を発行しても社債の総額や利率は登記されません。登記するのは、付された新株予約権について911条3項12号が定める数、目的である株式の数、行使価額、行使期間などです。行使に際しては社債を出資の目的とする定めが通常で、その旨と社債の価額が現物出資の定めとして登記されます。社債が償還されても新株予約権の登記事項に変化がなければ登記は動きません。新株予約権が行使または消滅したときや、登記された内容に変更が生じたときに変更の登記をします。
社債の債務を承継する株式交換では社債権者の保護手続も要ります
株式交換や株式移転で親会社が子会社の新株予約権付社債に付された新株予約権に代えて親会社の新株予約権を交付し、社債の債務を承継するときは、債務者が変わります。そこで子会社は、その新株予約権付社債の社債権者を相手に債権者保護手続をします。株式交換では親会社側でも債権者保護手続が要り、株式移転では設立会社がまだないので設立会社側の手続はありません。「当該株式移転完全子会社の新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、株式移転による設立の登記の申請書には、株式移転完全子会社が当該新株予約権付社債の社債権者に対して債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。株式交換完全親会社について「株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債権者に対して新株予約権を交付し株式交換完全子会社の社債に係る債務を承継する場合です」と答える肢も正しい肢です。新株予約権買取請求をするときは、別段の定めがない限り、併せて社債の買取りも請求しなければなりません。
会社法 第789条第1項第3号株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合 当該新株予約権付社債についての社債権者
試験ではこう問われる
- 新株予約権付社債の新株予約権の数はどう定めるか(社債の金額ごとに均等)
- 新株予約権だけ、社債だけを譲渡できるか(どちらかが消滅した後でなければできない)
- 募集に676条以下の社債の規定は適用されるか(されない。新株予約権の規定による)
- 社債の総額は登記事項か(登記事項でない)
- 株式交換で親会社が社債の債務を承継するとき子会社側の債権者保護手続は要るか(要る)
この用語が問われた肢
株式移転に際して株式移転設立完全親会社が株式移転完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式移転設立完全親会社の新株予約権を交付する場合において、当該株式移転完全子会社の新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、株式移転による設立の登記の申請書には、株式移転完全子会社が当該新株予約権付社債の社債権者に対して債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない。
【問】株式交換をした場合に、株式交換完全親会社についての株式交換による変更の登記の申請書に、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要があるのはどのような場合ですか。 株式交換の対価として株式交換完全親会社の株式以外の財産を交付する場合と、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債権者に対して新株予約権を交付し株式交換完全子会社の社債に係る債務を承継する場合です。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。