株式交付(令和3年3月1日施行)かぶしきこうふ
株式会社が他の株式会社を子会社にするために、その株式を譲り受けて対価として自社の株式を交付する、令和元年改正で設けられた組織再編です。親会社・子会社になれる会社の種類、既に子会社なら使えないこと、添付書面と登録免許税で肢が作られます。
株式交付は、株式会社が他の株式会社をその子会社とするために、その株式を譲り受け、譲渡人に対価として自社の株式を交付する組織再編です。令和元年の会社法改正で設けられ、令和3年3月1日に施行されました。株式交換と違って発行済株式の全部でなくても子会社化に足りる数以上を譲り受ければよく、相手会社との契約ではなく親会社が単独で株式交付計画を作ります。登記をするのは親会社だけで、肢で突かれるのは、どの会社が使えるか、どの書面が要るかです。
会社法 第774条の2(株式交付計画の作成)
株式会社は、株式交付をすることができる。この場合においては、株式交付計画を作成しなければならない。

親会社も子会社も株式会社に限られ、既に子会社なら使えません
株式交付をできるのは株式会社で、合同会社など持分会社は親会社になれません。「合同会社を株式交付親会社とし、株式会社を株式交付子会社とする株式交付計画書を添付して、株式交付による変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。株式交付子会社も株式会社に限られ、持分会社の持分を譲り受けて子会社にする形はありません。譲り受ける株式の数の下限は、効力発生日に議決権の過半数を持つ子会社になる数でなければならず、既に議決権の過半数を持つ会社を相手には使えません。「株式会社は、その議決権の過半数を有する他の株式会社を株式交付子会社として株式交付をすることにより、株式交付による変更の登記を申請することができない」という肢は正しい肢です。
承認は親会社の特別決議で、簡易株式交付と反対株主の通知があります
株式交付親会社は効力発生日の前日までに株主総会の特別決議で株式交付計画の承認を受けます。交付する対価の額が親会社の純資産額の5分の1、定款でそれより低い割合を定めたときはその割合を超えなければ承認を省けます。公開会社でない親会社と、差損が生じて取締役の説明を要する場合は省けません。一定数の株主が反対を通知したときは承認決議が要ります。子会社側には承認手続がなく、株式の譲渡人が個別に申込みをして譲り渡す仕組みです。効力発生日は親会社が単独で変更でき、当初の日から3か月以内の日に限られます。
債権者保護手続は対価に親会社の株式以外が含まれるときだけです
譲渡人に交付する対価が親会社の株式またはこれに準ずるもののみなら、親会社の債権者は異議を述べられず、債権者保護手続はありません。「株式交付親会社が、株式交付計画に基づき、株式交付子会社の株式の譲渡人に対し、株式交付親会社の株式のみを交付した場合は、株式交付による変更の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。金銭などを併せて交付するときは、株式以外の対価の割合が法務省令で定める5パーセント未満の場合を除いて官報公告と各別の催告をし、その書面を添付します。官報のほか定款の定めによる日刊新聞紙か電子公告で公告すれば各別の催告は省け、子会社側には債権者保護手続がありません。
添付書面は計画書と申込みの書面で、証券提出公告は要りません
商業登記法90条の2は、株式交付計画書、株式の譲渡しの申込みまたは総数譲渡し契約を証する書面、簡易に該当する証明、債権者保護の書面、計上証明書を列挙します。「株式交付による株式交付親会社の変更の登記の申請書には、株式交付計画書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。子会社の新株予約権を併せて譲り受けることもできますが、株式交付は新株予約権証券の提出公告を要する行為に含まれていません。「株式交付子会社が新株予約権証券を発行しているときは、株式交付による変更の登記の申請書には、株式交付子会社が新株予約権証券の提出に関する公告をしたことを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。効力発生日の変更は親会社だけが決めるので、「当該効力発生日の変更を決議した株式交付親会社及び株式交付子会社の取締役会議事録を添付する必要があります」と答える肢は誤りです。
登録免許税は増加した資本金の額の1000分の7で、最低3万円です
株式交付による変更の登記の登録免許税は、募集株式の発行と同じく増加した資本金の額を課税標準として1000分の7、3万円に満たなければ3万円になります。「株式交付により資本金の額が 1000 万円増加し、かつ、発行済株式の総数が 1 万株増加した場合において、株式交付による変更の登記を申請するときの登録免許税の額は、7 万円である」という肢は正しい肢です。発行済株式の総数の増加には別の税は掛かりません。登記期間は効力発生日から2週間です。
商業登記法 第90条の2(株式交付の登記)
株式交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
試験ではこう問われる
- 合同会社は株式交付親会社になれるか(なれない。親会社も子会社も株式会社)
- 既に議決権の過半数を持つ会社を相手に株式交付できるか(できない)
- 対価が親会社の株式のみのとき債権者保護手続は要るか(要らない)
- 子会社の新株予約権証券の提出公告の書面は要るか(要らない)
- 効力発生日の変更に子会社の取締役会議事録は要るか(要らない。親会社が単独で変更)
この用語が問われた肢
株式交付による変更の登記の申請書に、合同会社を株式交付親会社とし、株式会社を株式交付子会社とする株式交付計画書を添付して、株式交付による変更の登記を申請することができる。
株式会社は、その議決権の過半数を有する他の株式会社を株式交付子会社として株式交付をすることにより、株式交付による変更の登記を申請することができない。
株式交付親会社が、株式交付計画に基づき、株式交付子会社の株式の譲渡人に対し、株式交付親会社の株式のみを交付した場合は、株式交付による変更の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない。
株式交付による株式交付親会社の変更の登記の申請書には、株式交付計画書を添付しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。