社債と社債管理者しゃさいとしゃさいかんりしゃ
社債は会社が募集して引き受けさせる、割り当てた者に対する金銭債権で、社債管理者は社債権者のために弁済の受領や債権の保全をする者です。社債が登記事項でないこと、募集事項の決定機関、社債管理者を置かなくてよい場合で肢が作られます。
社債は、会社法2条23号が定める、会社が676条の募集によって割り当てる者に対して負う金銭債権で、募集社債に関する事項の定めに従って償還されるものです。株式会社だけでなく持分会社も発行でき、株式と違って社債権者は会社の構成員にはなりません。社債管理者は、社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理をする者で、702条が設置を原則として義務づけています。登記との関係では、社債は登記事項ではないという一点が出発点です。
会社法 第676条(募集社債に関する事項の決定)
会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集社債の総額
二 各募集社債の金額
三 募集社債の利率
四 募集社債の償還の方法及び期限
五 利息支払の方法及び期限
六 社債券を発行するときは、その旨
七 社債権者が第六百九十八条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨
七 社債管理者を定めないこととするときは、その旨
八 社債管理者が社債権者集会の決議によらずに第七百六条第一項第二号に掲げる行為をすることができることとするときは、その旨
八 社債管理補助者を定めることとするときは、その旨
九 各募集社債の払込金額(各募集社債と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)若しくはその最低金額又はこれらの算定方法
十 募集社債と引換えにする金銭の払込みの期日
十一 一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨及びその一定の日
十二 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

社債は登記事項ではなく、発行しても登記簿には現れません
会社法911条3項が列挙する株式会社の登記事項に社債はなく、社債を発行しても登記簿は動きません。新株予約権付社債を発行したときに登記されるのは、付された新株予約権の部分だけです。社債を発行した事実は社債原簿で管理し、登記簿ではなく社債原簿が社債権者を把握する帳簿です。登記事項でない以上、社債の発行による変更の登記という申請はなく、登録免許税も生じません。持分会社が社債を発行したときも同じで、登記簿からは社債の有無を読み取れません。社債を償還し終えたときも登記は動きません。
募集社債の事項は取締役会設置会社なら取締役会で決めます
募集社債に関する事項は、総額、各社債の金額、利率、償還の方法と期限、利息支払の方法と期限などで、676条が列挙します。通常の取締役会設置会社では、社債の総額など法務省令で定める重要な事項は取締役会が決め、それ以外は取締役に委任できます。指名委員会等設置会社では執行役に委任でき、取締役会設置会社でない会社では定款に別段の定めがない限り取締役の過半数の一致で決めます。株主総会の決議は要らず、株主に社債の割当てを受ける権利を与える制度もありません。
社債管理者は、各社債の金額が1億円以上などの場合を除いて置きます
会社が社債を発行するときは、社債管理者を定めて社債の管理を委託しなければなりません。各社債の金額が1億円以上である場合と、ある種類の社債の総額をその種類の各社債の金額の最低額で割った数が50を下回る場合には、置かなくてよいとされています。社債管理者になれるのは銀行、信託会社など法務省令で定める者に限られます。令和元年の会社法改正が令和3年3月1日に施行され、社債管理者を置かない場合に社債管理補助者を置ける制度が加わりました。社債管理補助者は担保付社債には置けません。社債管理者も社債管理補助者も登記事項ではなく、置いたことや変えたことで登記が動くことはありません。
会社の社債を現物出資の目的にすることもできます
募集株式の引受人が、その会社の発行した社債を出資の目的とすることもできます。償還期の到来していない社債は弁済期の到来した金銭債権には当たらないので、会社に対する金銭債権の特則では検査役の調査を省けません。それでも、引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えなければ、検査役の調査は要りません。「普通株式 2000 株のみを発行している会社が,その発行した償還期の到来していない社債を出資の目的とし,かつ,募集事項の決定の際に当該社債の価額を 800 万円と定めていた場合において,募集株式を引き受けようとする者が募集に係る普通株式200 株の総数の引受けを行う契約を締結したときは,検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付しなければ,募集株式の発行による変更の登記を申請することができない」という肢は、200株が2000株の10分の1を超えないので誤りです。
会社法 第702条(社債管理者の設置)
会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が一億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 社債の発行は登記事項か(登記事項でない)
- 募集社債の事項は誰が決めるか(取締役会設置会社は取締役会。株主総会ではない)
- 社債管理者を置かなくてよいのはどんな場合か(各社債の金額が1億円以上、社債の総額を最低額で割った数が50未満)
- 社債管理補助者はいつから置けるか(令和3年3月1日施行。担保付社債には置けない)
- 償還期未到来の社債を出資の目的にするとき検査役は要るか(10分の1以内なら要らない)
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