司法書士の登録の取消ししほうしょしのとうろくのとりけし
登録の取消しとは、日本司法書士会連合会が司法書士名簿の登録を取り消すことで、業務の廃止・死亡・資格がないことの判明・欠格事由への該当では取り消さなければならず(15条)、2年以上業務を行わないときや心身の故障のときは取り消すことができます(16条)。試験では、登録を受けた後に破産や他の士業での業務禁止など欠格事由に当たると、登録が必要的に取り消されて業務を続けられないことが問われています。
登録の取消しには、連合会が取り消さなければならない場合(15条1項)と、取り消すことができる場合(16条1項)があります。前者は、業務を廃止したとき、死亡したとき、資格を有しないことが判明したとき、5条各号(2号を除く)の欠格事由に当たるに至ったときです。後者は、引き続き2年以上業務を行わないときと、心身の故障により業務を行うことができないときです。

司法書士法 第15条第1項司法書士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。
一 その業務を廃止したとき。
二 死亡したとき。
三 司法書士となる資格を有しないことが判明したとき。
四 第五条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。
登録後に欠格事由に当たると、連合会は登録を取り消さなければなりません
15条1項3号の「司法書士となる資格を有しないことが判明したとき」は、登録の時点ですでに資格がなかったことが後で分かった場合を、4号の「該当するに至つたとき」は、登録の後に欠格事由が生じた場合を指します。15条1項4号は、5条各号のうち2号(未成年者)を除く事由を挙げています。破産手続開始の決定を受けた場合、拘禁刑以上の刑に処せられた場合、兼業する土地家屋調査士・弁理士・税理士・行政書士の業務を懲戒処分で禁止された場合などがこれに当たります。「司法書士の登録を受けている者が兼業している土地家屋調査士の業務を懲戒処分により禁止された場合には、日本司法書士会連合会は、その者の司法書士の登録を取り消さなければならない」という肢(R8 午後 問8 イ)は正しい記述です。取消しの事由が生じたときは、本人又は法定代理人・相続人が、所属する(していた)司法書士会を経由して連合会に届け出ます(15条2項)。
2年以上業務を行わないときと心身の故障のときは、取り消すことが「できる」にとどまります
16条1項は、引き続き2年以上業務を行わないとき(1号)と、心身の故障により業務を行うことができないとき(2号)に、連合会が登録を取り消すことができると定めています。15条と違い、取り消すかどうかは連合会の判断に委ねられます。この取消しには10条1項後段が準用され、登録審査会の議決に基づかなければなりません(16条4項)。取り消したときは、その旨と理由を書面で本人に通知します(16条3項)。また、心身の故障により業務を行うことができないおそれがある場合として法務省令で定める場合に当たることになったときは、本人又は法定代理人若しくは同居の親族が、所属する司法書士会を経由して連合会に届け出るものとされています(16条2項)。
司法書士法 第16条第1項司法書士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消すことができる。
一 引き続き二年以上業務を行わないとき。
二 心身の故障により業務を行うことができないとき。
取消しは官報で公告され、法人の社員である司法書士は法人を脱退します
連合会は、登録を取り消したときは遅滞なく官報で公告し(18条)、その旨を事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に通知します(施行規則18条1項)。司法書士法人の社員である司法書士の登録が取り消されると、その社員は法人を法定脱退します(43条1号)。登録の取消しに不服がある者は、15条1項によるものでも16条1項によるものでも、法務大臣に審査請求ができます(17条による12条1項の準用)。
司法書士法 第43条第1項第1号司法書士の登録の取消し
懲戒の手続中は、業務の廃止を理由とする取消しが止められます
法務大臣は、司法書士に懲戒処分をしようとするとき、聴聞の通知などをした後、直ちに連合会に通告します(50条1項)。通告を受けた連合会は、処分の手続が結了した旨の通知を受けるまで、業務の廃止(15条1項1号)や16条1項による登録の取消しができません(50条2項)。そのため、手続の途中で業務を廃止して登録を消し、懲戒の手続から外れることはできません。止められるのは業務の廃止による取消しと16条1項の取消しで、死亡(15条1項2号)や欠格事由への該当(同項4号)による取消しは50条2項の対象になっていません。手続が結了し、業務の禁止の処分がされたときは、法務大臣はその旨を連合会と所属する司法書士会に通知します(施行規則38条)。業務の禁止を受けた者は、処分の日から3年間は資格を有しない(5条5号)ので、その後の登録の取消しは15条1項4号によることになります。登録の取消しに不服がある者は、法務大臣に審査請求ができます(17条・12条1項)。

司法書士法 第50条第2項日本司法書士会連合会は、司法書士について前項の通告を受けた場合においては、法務大臣から第四十七条各号に掲げる処分の手続が結了した旨の通知を受けるまでは、当該司法書士について第十五条第一項第一号又は第十六条第一項各号の規定による登録の取消しをすることができない。
試験ではこう問われる
- 兼業する土地家屋調査士の業務を懲戒処分で禁止されると、連合会は登録を取り消さなければならない(5条6号・15条1項4号。R8 午後 問8 イ ○)
- 同じ場面で、引き続き司法書士の業務を行うことはできない(R2 午後 問8 ア ×)
- 破産手続開始の決定を受けた司法書士は、引き続き業務を行うことはできない(5条3号・15条1項4号。R2 午後 問8 ウ ×)
- 執行猶予付きの禁錮以上の刑の判決が確定した司法書士は、引き続き業務を行うことはできない(5条1号・15条1項4号。R2 午後 問8 オ ○)
- 引き続き2年以上業務を行わないときは、登録を取り消すことができる(16条1項1号)
- 16条1項の取消しには登録審査会の議決が要る(16条4項・10条1項後段)
- 懲戒の通告を受けた連合会は、手続結了の通知を受けるまで業務の廃止による登録の取消しができない(50条2項)
この用語が問われた肢
司法書士の登録を受けている者が兼業している土地家屋調査士の業務を懲戒処分により禁止された場合には、日本司法書士会連合会は、その者の司法書士の登録を取り消さなければならない。
司法書士の登録を受けている者は,兼業している土地家屋調査士の業務を懲戒処分により禁止された場合であっても,引き続き司法書士の業務を行うことができる。
司法書士の登録を受けている者は,破産手続開始の決定を受けた場合であっても,引き続き司法書士の業務を行うことができる。
司法書士の登録を受けている者は,執行猶予付きの禁錮以上の刑の判決の言渡しを受け,これが確定した場合には,引き続き司法書士の業務を行うことはできない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

