登録の拒否と審査請求とうろくのきょひとしんさせいきゅう
登録の拒否とは、日本司法書士会連合会が、資格がない者や入会の手続をとらない者、心身の故障で業務を行えない者、適格性を欠く者の登録申請を拒むことです(10条)。試験では、拒否された者に加え、申請から3か月を経過しても何の処分もされない者も、拒否されたものとみなして法務大臣に審査請求ができることが問われています。
登録の拒否は、10条1項が定めます。申請者が資格を有しないときのほか、入会の手続をとらないとき(1号)、心身の故障により業務を行うことができないとき(2号)、司法書士の信用又は品位を害するおそれがあるときなど適格性を欠くとき(3号)に、連合会は登録を拒否しなければなりません。2号・3号を理由とするときは、連合会に置かれる登録審査会の議決に基づき(10条1項後段・67条2項)、あらかじめ申請者に弁明の機会を与えます(10条2項)。

司法書士法 第10条第1項日本司法書士会連合会は、前条第一項の規定による登録の申請をした者が司法書士となる資格を有せず、又は次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、その登録を拒否しなければならない。この場合において、当該申請者が第二号又は第三号に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、第六十七条に規定する登録審査会の議決に基づいてしなければならない。
一 第五十七条第一項の規定による入会の手続をとらないとき。
二 心身の故障により司法書士の業務を行うことができないとき。
三 司法書士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他司法書士の職責に照らし司法書士としての適格性を欠くとき。
心身の故障や適格性を理由とする拒否は、登録審査会の議決と弁明の機会を経てします
10条1項後段は、2号(心身の故障により業務を行うことができないとき)又は3号(信用又は品位を害するおそれがあるときなど適格性を欠くとき)を理由に拒否しようとするときは、67条の登録審査会の議決に基づいてしなければならないと定めています。さらに10条2項により、連合会はあらかじめ申請者にその旨を通知し、相当の期間内に自ら又は代理人を通じて弁明する機会を与えなければなりません。これに対し、資格を有しないことや1号(入会の手続をとらないとき)を理由とする拒否には、登録審査会の議決は求められていません。

司法書士法 第10条第2項日本司法書士会連合会は、当該申請者が前項第二号又は第三号に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない。
登録審査会は連合会に置かれ、会長と委員4人で組織されます
登録審査会は、連合会の請求により、10条1項2号・3号による登録の拒否と、16条1項による登録の取消しについて審議します(67条2項)。会長と委員4人で組織され(同条3項)、会長には連合会の会長が充てられます(同条4項)。委員は、会長が法務大臣の承認を受けて、司法書士・法務省の職員・学識経験者のうちから委嘱し(同条5項)、任期は2年です(同条6項)。16条1項の取消し(引き続き2年以上業務を行わないとき、心身の故障により業務を行うことができないとき)にも、10条1項後段が準用され、登録審査会の議決が要ります(16条4項)。
司法書士法 第67条第3項登録審査会は、会長及び委員四人をもつて組織する。
登録を拒否された者は、法務大臣に審査請求ができます
連合会は、登録をしたときも拒否したときも、申請者に書面で通知し、拒否のときは理由も示します(11条)。拒否された者は、処分に不服があるときは法務大臣に審査請求ができます(12条1項)。行政不服審査法の一部の規定の適用については、法務大臣が連合会の上級行政庁とみなされます(12条3項)。
申請から3か月を経過しても処分がないときも、拒否されたものとして審査請求ができます
12条2項は、登録の申請をした者は、申請の日から3月を経過しても何らの処分がされないときは、登録を拒否されたものとして法務大臣に審査請求ができると定めています。連合会が処分をしないまま時間が過ぎても、申請者は審査請求で争うことができます。「司法書士となる資格を有する者が、司法書士名簿への登録の申請をした場合に、その申請の日から 3 か月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、法務大臣に対して審査請求をすることができる」という肢(R4 午後 問8 ウ)は正しい記述です。
司法書士法 第12条第2項第九条第一項の規定による登録の申請をした者は、その申請の日から三月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、法務大臣に対して審査請求をすることができる。
法務大臣は、上級行政庁とみなされるので、執行停止や登録を命ずる裁決ができます
12条3項は、行政不服審査法25条2項・3項と46条2項の適用について、法務大臣を連合会の上級行政庁とみなしています。これにより、法務大臣は、必要があると認めるときは申立て又は職権で執行停止をすることができ(行政不服審査法25条2項)、登録の拒否を取り消す場合に登録をすべきと認めるときは、連合会に対し登録をすべき旨を命ずることができます(同法46条2項1号)。登録の取消しについての審査請求では、17条が12条3項の「第四十六条第二項」を「第四十六条第一項」と読み替えています。行政不服審査法46条1項は、処分についての審査請求に理由があるときに、裁決で処分の全部若しくは一部を取り消し、又は変更すると定めており、上級行政庁である審査庁は処分を変更することもできます。
司法書士法 第12条第3項前二項の場合において、法務大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項並びに第四十六条第二項の規定の適用については、日本司法書士会連合会の上級行政庁とみなす。
試験ではこう問われる
- 登録の申請から3か月を経過しても何らの処分がないときは、拒否されたものとして法務大臣に審査請求ができる(12条2項。R4 午後 問8 ウ ○)
- 登録を拒否された者の審査請求先は法務大臣であり、法務大臣は連合会の上級行政庁とみなされる(12条1項・3項)
- 登録審査会は会長と委員4人で組織され、会長には連合会の会長が充てられる(67条3項・4項)
- 法務大臣は連合会の上級行政庁とみなされ、登録の拒否を取り消すときは連合会に登録をすべき旨を命ずることができる(12条3項、行政不服審査法46条2項1号)
- 登録の取消しを受けた者も、法務大臣に審査請求ができる(17条・12条1項)
- 心身の故障や適格性の欠如を理由とする拒否は、登録審査会の議決に基づき、弁明の機会を与えてする(10条1項後段・2項)
この用語が問われた肢
司法書士となる資格を有する者が、司法書士名簿への登録の申請をした場合に、その申請の日から 3 か月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、法務大臣に対して審査請求をすることができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

