司法書士の欠格事由しほうしょしのけっかくじゆう
欠格事由とは、司法書士となる資格を有しない者として5条1号〜6号に挙げられた事由で、拘禁刑以上の刑の執行を終わるなどしてから3年を経過しない者、未成年者、復権を得ない破産者、懲戒免職後3年・業務の禁止の処分後3年を経過しない者、他の士業の業務を懲戒で禁止されて3年を経過しない者が当たります。試験では、登録後にこれに当たると登録が必要的に取り消されて業務を続けられないことが問われています。
欠格事由は、4条の資格を備えていても司法書士となる資格を有しない者を定める規定です。5条は6つの号を置き、刑罰・年齢・破産・公務員の懲戒免職・司法書士としての業務の禁止・他の士業での懲戒を挙げています。期間の定めがある号は、どれも3年です。

司法書士法 第5条(欠格事由)
次に掲げる者は、司法書士となる資格を有しない。
一 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者
二 未成年者
三 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
四 公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
五 第四十七条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
六 懲戒処分により、公認会計士の登録を抹消され、若しくは土地家屋調査士、弁理士、税理士若しくは行政書士の業務を禁止され、又は税理士であつた者であつて税理士業務の禁止の懲戒処分を受けるべきであつたことについて決定を受け、これらの処分の日から三年を経過しない者
執行猶予付きの判決が確定した者も、猶予期間中は「刑に処せられ」た者に当たります
5条1号は、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者を挙げています。刑の全部の執行猶予は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間付けられるものです(刑法25条1項)。執行猶予が付いても、刑に処せられたことに変わりはありません。猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過したときに、刑の言渡しが効力を失います(刑法27条1項)。そのため、執行猶予付きの判決が確定した司法書士は、猶予期間中は欠格事由に当たります。なお、令和7年6月1日から、1号の「禁錮以上の刑」は「拘禁刑以上の刑」に改められています。

刑法 第27条第1項刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
懲戒免職・業務の禁止・他の士業での懲戒は、処分の日から3年間の欠格です
4号は公務員であって懲戒免職の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者、5号は47条により司法書士としての業務の禁止の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者です。6号は、懲戒処分により公認会計士の登録を抹消され、又は土地家屋調査士・弁理士・税理士・行政書士の業務を禁止された者などで、これらの処分の日から3年を経過しない者です。6号には、税理士であった者が税理士業務の禁止の懲戒処分を受けるべきであったことについて決定を受けた場合も含まれます。どの号も起算点は「処分の日」で、1号の刑罰だけが「執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから」を起算点にしています。
司法書士法 第5条第1項第6号懲戒処分により、公認会計士の登録を抹消され、若しくは土地家屋調査士、弁理士、税理士若しくは行政書士の業務を禁止され、又は税理士であつた者であつて税理士業務の禁止の懲戒処分を受けるべきであつたことについて決定を受け、これらの処分の日から三年を経過しない者
破産者は、復権を得るまで欠格事由に当たります
3号は「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を挙げています。期間の定めはなく、復権を得れば欠格事由に当たらなくなります。登録を受けている司法書士が破産手続開始の決定を受けると、この号に当たるので、連合会は登録を取り消さなければなりません(15条1項4号)。なお、司法書士法人が破産手続開始の決定を受けたときは、法人の解散事由になり(44条1項4号)、所属するすべての司法書士会を退会します(58条2項)。個人と法人で、破産の効果の現れ方が違います。
司法書士法 第5条第1項第3号破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
登録を受けた後に欠格事由に当たると、登録は必要的に取り消されます
15条1項4号は、司法書士が5条各号(2号を除く)のいずれかに当たるに至ったときは、日本司法書士会連合会がその登録を取り消さなければならないと定めています。破産手続開始の決定を受けた場合(5条3号)や、兼業する土地家屋調査士の業務を懲戒処分で禁止された場合(5条6号)も同じです。「司法書士の登録を受けている者が兼業している土地家屋調査士の業務を懲戒処分により禁止された場合には、日本司法書士会連合会は、その者の司法書士の登録を取り消さなければならない」という肢(R8 午後 問8 イ)は正しく、「司法書士の登録を受けている者は,破産手続開始の決定を受けた場合であっても,引き続き司法書士の業務を行うことができる」という肢(R2 午後 問8 ウ)は誤りです。
欠格事由は、登録の申請の段階でも登録後でも働きます
登録の申請をした者が司法書士となる資格を有しないときは、連合会はその登録を拒否しなければなりません(10条1項)。欠格事由に当たる者は資格を有しないので、この拒否の対象になります。登録を受けた後に資格を有しないことが判明したときは15条1項3号、登録後に欠格事由に当たるに至ったときは同項4号で、どちらも必要的な取消しになります。取消しの事由が生じたときは、本人又はその法定代理人若しくは相続人が、所属する司法書士会を経由して連合会に届け出なければなりません(15条2項)。
司法書士法 第15条第1項司法書士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。
一 その業務を廃止したとき。
二 死亡したとき。
三 司法書士となる資格を有しないことが判明したとき。
四 第五条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。
試験ではこう問われる
- 未成年者は、司法書士試験に合格しても司法書士となる資格を有しない(5条2号。R7 午後 問8 イ ○)
- 兼業する土地家屋調査士の業務を懲戒処分で禁止されると5条6号に当たり、連合会は登録を取り消さなければならない(15条1項4号。R8 午後 問8 イ ○)
- 同じ場面で、引き続き司法書士の業務を行うことはできない(5条6号・15条1項4号。R2 午後 問8 ア ×)
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は欠格事由に当たり、業務を続けられない(5条3号・15条1項4号。R2 午後 問8 ウ ×)
- 業務の禁止の処分を受けた者・懲戒免職を受けた公務員は、処分の日から3年を経過しないと資格を有しない(5条4号・5号)
- 執行猶予付きの禁錮以上の刑の判決が確定した者は、猶予期間中は5条1号に当たり、業務を続けられない(R2 午後 問8 オ ○)。現行法の文言は「拘禁刑以上の刑」
この用語が問われた肢
司法書士の登録を受けている者が兼業している土地家屋調査士の業務を懲戒処分により禁止された場合には、日本司法書士会連合会は、その者の司法書士の登録を取り消さなければならない。
未成年者は、司法書士試験に合格したときであっても、司法書士となる資格を有しない。
司法書士の登録を受けている者は,兼業している土地家屋調査士の業務を懲戒処分により禁止された場合であっても,引き続き司法書士の業務を行うことができる。
司法書士の登録を受けている者は,破産手続開始の決定を受けた場合であっても,引き続き司法書士の業務を行うことができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

